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米国株師匠🍅アウトライヤー寄稿224



第223回から続く


ウォール街、10年ひとくくり


昨日の流れをそのまま引き継いで、さらに昨日から輪をかけての7月13日木曜日のアメリカのマーケットですね。

昨年末、アウトライヤーの第1回目のスペースを開催させていただいた際、1980年代からのウォール街を10年毎に区切って、それぞれどんな10年だったかという事を自分の実体験から述べました。

ウォール街、10年ひとくくり~英語で10年のことDecadeって言いますけど、まあ、1ディケイド、ワン・ディケイドでどんなワン・ディケイドだったかってことです。スペースをお聞きになっていただき、記憶にある方もいらっしゃるかと推察致します。

・1980年代~M&A(企業の買収・合併)の10年
・1990年代、IPO(新規の公開株)、Add on financings(公募増資)が盛んだったキャピタル・マーケッツ(資本市場)の10年
・2000年代~ウォール街のバルジ・ブラケット(巨大投資銀行)が、自身のバランスシートに約30倍、もしくはそれ以上のレバレッジをかけて、バランスシートを使ってゲーム、競争した時代~ITバブルの崩壊もありました。記憶に新しい、サブプライム、100年に一度の金融危機。
・2010年代~量的緩和の時代

この2010年代からの10年、QEの時代、新しいお金がたくさん産み出されました。産み出されて、そのお金が米国債に交換されて行ったというかたちだったわけです。

そして新型コロナ。お金いっぱい刷っちゃって。刷っちゃったお金がリバースレポのファシリティのところにあって。リバースレポからのお金が、イエレンさんが強烈に発行しているT-Bills(米財務省短期証券)に行って。TGAが再構築されている。TGAの再構築はこれだけではもちろんありません。税収というものがありますから。昨日述べましたが、、、日々の動きで見れば、今日のリバースレポの残高これこれしかじか減、今日のTGAの残高これこれしかじか増。今日TGAの残高これこれしかじか増、その今日の増分を差し引き、除いて、今日の純に残りのリバースレポからの分を流動性と考える事が出来るわけです。

”現時点で”流動性が吸い上げられているという構図にはなっていません。

以前、直近の寄稿で述べましたが、米政府の会計年度末9月30日、TGAの再構築目標6000億ドル、もう危険な峠はすでに超えていて、順調にTGAの再構築は進んでいます。
だから、僕も含めて、TGAの再構築で流動性が吸い上げられると予想したアメリカの専門家の人達、予想は外れましたね、と、過去の寄稿で述べました。

ここで、ロージー(バラ色)、楽観、ソフトランディングのシナリオを今一度よく見ますとね。

・FRBのピボット(政策転換)


FRBが最後に金利を引き上げた時点から、そう間髪を入れずに・そこから2か月内くらいには金利を下げる。いったん金利を下げたら、いっとき長きにわたって金利を下げ続ける。

・業績



S&P500の2023年通年の1株当たり利益については3%ダウン
S&P500の2024年通年の1株当たり利益については、利益回復で11%アップ。
これを長い目、来年に飛んで見ると、S&P500の2024年の1株当たり利益$240に、フォワードPEで、20xでも、21xでも、22xでも掛ける。
単に、そこからはじきだされた数字、20xで、S&P500のインデックス~4800、21xで同5040、22xで同5280。

インフレも抑制されてきているようだし、あ~これ、ブルマーケットやん。
M2の供給量があ~、とか、FRBはバランスシートの縮小をしているけれども、そんなのあんま関係ないやん。え~やん、株買いや~、買いィ。というシナリオですね。
金融状況が言われているほど引き締まっていないから、リセッション、そんな差し迫っているわけでもないし。その時は、FRBは金利の下げに転じるだろうし。

いっぽうで、上記のソフトランディングのシナリオに水を差しますとね。
今、金融状況は言われているほど引き締まっていないわけですから、FRBは、金融政策を、今後出来るだけタイトに、出来る限りタイトに持って行きたいというところでしょうね。

インフレ、今の水準から2%に持って行くところが難儀


昨日も言いましたが、インフレ、今の水準から2%に持って行くところが難儀なんですから。失敗したら、また、インフレ再発の恐れさえあるわけですから。当然のことですが、それを、リッチモンド連銀のバーキン総裁、一貫して痛いほどわかっていらっしゃるから、昨日、引用したブルームバーグ記事のご発言ですね。

過去のこの寄稿で当時述べましたが。オリビエ・ブランチャードMIT(マサチューセッツ工科大学)教授(元IMF国際通貨基金のチーフエコノミスト)が、インフレターゲット、2%じゃなくて3%に置いたら?という主旨の事を述べたら、即座に、バーナンキ元FRB議長、ウィリアムズNY連銀総裁がそんなことできない、2%だ、と反論して。その後パウエル議長も2%だと明言なさった経緯があります。

業績
第221回の寄稿で述べましたが、僕はこの寄稿で、コンセンサス予想S&P500の1株当たり利益2023年通年については3%ダウン、同2024年については11%アップ~これには賛同しかねますと述べております。

第221回寄稿からの引用~”ゴールドマン・サックス・グループの株式ストラテジストは、米企業が第2四半期業績についての低い市場予想を「満たすか上回る」と予想。ただ、24年の利益急回復期待は「楽観的過ぎる」とみている。”

”ただ、24年の利益急回復期待は「楽観的過ぎる」とみている。”

ですよね~、僕もそう思っています。

第2四半期の業績発表。そして、ソフトランディングのシナリオを採用する方々は、今年第3四半期の業績が、今年の業績の底。そこから徐々に回復して、来年2024年、利益回復、11%増のシナリオです。が。

これ楽観的すぎませんか?これから、金融政策において、FRB、出来るだけタイトに行く、これが、この事が、この出来るだけタイトに持って行く、が、FRBが避けて通りかったと表向き言われている、ハードランディングへ導く事になると、まあ、僕は考えております。

現在、クレジット市場で起こっている事や、商業用不動産のところで起こっている事のお話などを聞けば聞くほど、ソフトラインディング?そもそも、ランディングできるランドあるの?ソフトに?という印象は否めません。
これは、僕の印象なだけですが。

何がどうであろうが、誰がどう言おうが、マーケットの反応は、今、マーケットはこれほど上がっているわけですから。6月15日のアウトライヤーのツィートで、上は4500超、下は4250割れてから、という事をツィートしましたが、その4500超の水準までやってきました。

ここからのポイントは、前述、FRBは、金融政策を、今後出来るだけタイトに、出来る限りタイトに持って行きたいというところですね。

まあ、僕は、4月からマーケットはフロス(泡、あぶく)と見て。フロスの高いところS&P500で4300と見て。それよりさらに200ポイント以上高いところを現実には目にして。買わなかったし、買えなかったし、で、完敗ですね。

この寄稿で述べて参りました通り、6月初旬の実父の死去により、現在、日中は、それ関連の事にほとんどの時間を使っておりますので、実際の行動として、相場に取り組むという事はしておりません。そうできませんし、そうするつもりもありません。

現実的に、相場に復帰出来るとしても、早くても、この秋頃から、9月後半くらいからかとも思っております。僕の場合は、相場で生計を立てているというわけではございません。相場については、張り付いて出来る時にやりますが、このように自分個人にとって喪中でございますので、これが、理由で何もしておりません。

そんな中、アウトライヤー寄稿は、今、出来る範囲で継続させて頂いておりますが、16日日曜日から来週前半にかけては、お休みさせて頂きます。その翌週も週前半はお休みさせて頂きます事、あらかじめご了承いただけましたら。

かつて、ニューヨークやロンドンで、アメリカ人の同僚やイギリス人の同僚と、仕事終わりに天下国家について論じたこともありました。楽しいひと時でした。
今は、天下国家よりも、自分の一番身近な血縁、血、という事、家族において、自分の責任を完遂する事のみに集中致しております。

現在、金利「高い、を、より長く」とか、そういうことも、忘れちゃったのか、もうどうでもいいのか、ソフトランディングのシナリオまっしぐら、ピボット(FRBの政策転換)もセットメニューで。流動性もわっしょい、で。ちょっと、サマーラリー、夏のお祭り気分。

誰がどう言おうが、こうマーケットは反応して、走っているところですから。

昨日、”インフレについて、9%から今の水準になる事よりも、リッチモンド連銀のバーキン総裁が強調されておられます通り”目標2%を強調”、今の水準が2%になる事の方がはるかに難儀である事、FRBの人達も、マーケットも、理解しているわけですよね。”と述べました。

今の水準が2%になる事をやり間違えたら、そりゃ、インフレ、ぶり返しますからね。ウォール街の投資銀行もその試算チャートだされておられましたよね、確か。
2%に持って行くところがいかに難儀か。いや、これ、やり間違えたら、大変です。

BofAが素晴らしい試算出されておられましたが~引用~ディスインフレをベースにした効果のピークを、まさにどのように通り越してこうと行こうしているのか。
それから見ても、いかにここから2%に持って行くことが難儀な事か。

おそるおそるというところはあるにせよ、新しいブルマーケットの初期段階というご意見
いっぽうで、フロスからのバブルでも、バブルの最後は、垂直に見えるくらいに、マーケットが吹き上げるくらいに噴き上げて、そこにある群集心理を全部引き連れて巻き込んでから下落、これまで何度も見て来た姿でもあります。

ビクトリーラップが、早すぎますって。


昨日、下記、申しましたでしょ。
ラエル・ブレーナードNEC委員長の話もサクッと拝見致しました。
引用~”The economy is defying predictions that inflation would not fall absent significant job destruction."
米経済は、重大な雇用破壊がなければインフレは下がらないという予測を裏切っている
来年の大統領選をにらんでますかね。私達は、雇用破壊せずに(皆さんのお仕事をお守りして)インフレ抑制に成功しているという、強調、アピールでございましょうか。
まあ、それにしても、ずいぶんとお早いビクトリーラップですね。早すぎませんか???ここから、インフレターゲット2%へが、ホント難儀だと思いますけど。”

ラエル・ブレーナードNEC委員長に限らず、
ビクトリーラップが、早すぎますって。
早すぎます~。


8月のジャクソンホール


7月のFOMC、8月のジャクソンホール、いろいろありますから。
いや、最初、インフレは、束の間(transitory)って、言ってたんでしょ。
束の間のはずが、500ベースポイントも最速のペースで利上げして、固定30年の平均住宅金利7.12%とかに、つい先日、なったわけですよね。様変わりでした。

この2日間、CPIの発表後を見ていて、なんか、僕の知っているアメリカが戻ってきた感じがしていて(笑)。やる時はとことんやって、お祭りして、わっしょいで。引かなきゃならなくなったら、ぺんぺん草も生えないくらいに、サ~っと引く、この世の終わりか、っていうくらいに。

忍耐の人、パウエル議長。フェドプット切りにお取り組みなさっておられて、もうQE(量的緩和)、ZIRP(ゼロ金利政策)には戻らないという闘いをなさっておられて。

わっしょ~い、ソフトランディングぅ~!


でもね、最速のペースで金利これだけ引き上げて来て、クレジットのマーケットでも、この寄稿で述べて来た通り、いろんなことが起こっていて。

その影響は、”後ずれ”、遅行という形で、これは出て来る、あるでしょうね。

インデックスのレベルで言うなら、S&P500が4000ドル、4100ドル近辺で、弱気とか、売りとか言っていた弱気筋は、外れ。400ポイントも、500ポイントも逆に動いて、能書き必要ありません、ってことです(笑)。

ただ、ポイントは、もっと大きな構図で、これを、ベアーマーケットラリーの終局のバブルと見るのか、それとも、おそるおそるというところはあるにせよ、新しいブルマーケットの初期段階と見るのか。
これですね。
僕は、現在、前者でみており、ハードランディングのシナリオを採用しております。
鍵を握っているのは、流動性と業績、FRBが、パウエル議長が、今後いかによりタイトで行く姿勢を打ち出すか

僕もですね。外資系企業生活を離れてから、かれこれ10年ちょっと立つんですね。今現役で、ウォール街の著名投資銀行や投資信託などで働いているトレーダーさんやファンドマネージャーさん、僕達が現役で働いていた頃、大学、大学院の学生だったとか、その頃産まれたという方もいらっしゃると思うんですね。そういう意味で、世代の違いは大きいと思いますけど。それでも、過去の最速のペースで金利を引き上げて来たFRB、この10年、20年で見ても、最も大きな金利引き上げサイクルにあるわけですね。で、ビクトリーラップ、って???これは、ちょっちね~ですね(笑)。

ビクトリーラップはないでしょ(笑)。この事については、世代は関係ないでしょ~って思っています。

いや、後ずれして、影響出ますって。
金利を引き上げ続けるというのはそういう事ですから。
”後ずれ”、”遅行”。

前述のような予定で、寄稿を今後お休みさせて頂きますが、また、何か、これはお伝えしておこうとか、新しいこととかございましたら、サクッと寄稿できるように努めます。どうぞよろしくお願い致します。

あっ、そう言えば。

ブルームバーグ記事からの引用です。

・「セントルイス連銀ブラード総裁が辞任、8月14日までは顧問」


今日、この寄稿を書きながら、FRBウォラー理事のスピーチも拝見させて頂きました。2回の利上げに対して言及されておられましたね。早過ぎるビクトリーラップがどうかこうかは脇に置いて。
パウエル議長が、利上げについて当初から、2回もしくは複数回という示唆をしてきている事を、ウォラー理事のスピーチを拝見させて頂きながら、再認識しております。
金融状況が思っているほど、世間一般で言われているほど、引き締まっていない、FRBのジレンマがここにあるのですから、インフレ退治のための利上げの回数は重要ですね。今日のウォラー理事のスピーチ、2回の利上げへの言及は、ここで、よくノートしておきたいと思います。



第225回へ続く




最後に …
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私、アウトライヤーは、OUTLIER とは関係ありませんが、
OUTLIERは素敵な商品です
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アウトライヤー
より。外れ値です。でも異常値ではありません。
笑って許してくださいね。ごゆるりとお時間ある時ご覧になってください。
背景にある経歴:80年代後半から、ペインウェバー証券会社、メリルリンチ証券会社、ベアー・スターンズ証券会社等々の外資系証券会社東京支店法人営業部門に勤務。外資系企業生活で24年の歳月が流れました。
ペインウェバー証券会社ニューヨーク本社にて、2名のメンターのもと、米国株式業務を基礎から習得。なぜ、2名だったかと言いますと、フロントオフィス業務用に1名=MIT出身のトレーダーで数学者、バックオフィス業務用に1名=米国では名の知れたバックオフィスの専門家でした。当時、NY証券取引所にもしばしば、足を運び、入り口から出口まで、叩き込まれました。その後、日本国内の機関投資家向け外国株式営業に携わり、メリルリンチ証券会社とベアー・スターンズ証券会社では、それぞれ東京支店法人営業部門外国株式営業部長として、東京、ニューヨーク(ウォール街)、ロンドン(シティ)を中心に、アジア諸国も含めて、世界中を飛び回りました。グローバル株式・金融業務に従事する上で、メリルリンチ証券会社では、当時のメリルリンチ・グローバル株式営業部門におけるアジア地域2名のグローバル・エクティ・コーディネーターの1人として、米国株式を中心に、グローバルに株式業務推進役の職責も兼務。(この時とっても楽しかったです)
2012年2月に外資系企業生活を終えました。
同2012年年春から、日本企業の顧問に就任。
一貫して、この30年超の期間、何度も何度も現地に足を運び、そこにいた人々と直接仕事をした事を含めて、アメリカの金融政策、アメリカの株式市場を見つめてきました。
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