Oval Design

私たちOvalは「新鮮なものをつくる」「価値あるものをつくる」をテーマにデザインをして…

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私たちOvalは「新鮮なものをつくる」「価値あるものをつくる」をテーマにデザインをしています。グラフィックデザイン、ウェブ、展示会構成、メディアプランニング、イベント企画など。幅広い視点でデザインしています。https://oval-design.co.jp/

マガジン

  • ビジネス歳時記「武士のおもてなし」

    その昔、戦いに明け暮れていた戦国武将ですが、季節感を取り入れた「もてなしの心」を大切にしていました。その知恵や教えを季節の歳時記に寄せて、ビジネスで戦う現代の戦士たちにご紹介していきたいと思います。

最近の記事

ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第53話「籍田」

慈愛の心で導いた、鷹山の米づくり5月に入ると、日本各地は田植えの季節を迎えます。GWに田植えの手伝いも兼ねて帰省するという話を聞くと、やはり瑞穂の国の稲作文化が脈々と続いている歴史を改めて感じます。   ところで、米の銘柄は数多く、山形の「つや姫」もブランド米として知られていますが、同じく山形県・米沢市の「上杉籍田米(うえすぎ せきでんまい)」※はご存知でしょうか。江戸時代中期に厳しい経済状況から藩を立て直し、今でも市民に“鷹山公”と慕われる、米沢藩9代藩主の上杉鷹山(うえす

    • ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第52話「春告魚」

      北前船が北国と京都を結んだ、 由縁の魚〽沖のカモメに 潮時問えば わたしゃ立つ鳥 波に聞け──おなじみの民謡「ソーラン節」で、カモメに尋ねているのは、寒流系海水魚のニシンの群れ。雪解けの春に北国に押し寄せることから、春告魚(はるつげうお)とも呼ばれています。 江戸時代半ばから、主だった蝦夷地の漁場が少しずつ広がりました。そのニシンを運ぶために、商人たちが競い合うように木造の北前船※で日本海側の寄港地を巡り、土地の商材を売り買いしながら大きな富を得たともいわれています。  

      • ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第51話「花見小袖」

        春爛漫を演出した、秀吉の「良き夢」 各地から桜の便りが届き始める3月は、花見の季節に入ります。旧暦の慶長3年(1598)3月15日には、豊臣秀吉が京都・伏見の醍醐寺(だいごじ)※で、歴史に残る絢爛豪華な「醍醐の花見」を行いました。 醍醐寺に咲き乱れる桜の花とともに、秀吉に連れ添う正室のおね※や側室、家臣、味方についた大名の妻女や息女1300人とされる女性たちが、贈られた美しい小袖※で饗宴に招かれ、秀吉は「我が世の春よ」とその情景を心ゆくまで楽しんだのでした。 「良き夢を見

        • ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第50話「招き猫」

          猫の恩返しに救われた、第2代 彦根藩主猫の恋止むとき閏の朧月(芭蕉)───更に衣を着込むほど寒いことから「衣更着(きさらぎ)」とも記される2月ですが、その寒さをよそに猫たちにとっては熱い恋の季節。 「ニャーオ、ニャーオ」と鳴き交わす「猫の恋」は、早春の季語です。ちなみに、「ニャン」が連なる2月22日は「猫の日」だとか。2年前から国内で飼育されている猫が犬の数を上回り、巷では何度目かの猫ブーム※が起きている模様です。 「猫に小判」「猫の手でも借りたい」の諺もあり、忠犬の犬に

        ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第53話「籍田」

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        • ビジネス歳時記「武士のおもてなし」
          52本

        記事

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第49話「割粥」

          ひと碗に込められた、忖度の粥1月も終わりに近づき、年始の行事や新年会なども済み、そろそろ胃腸にも疲れが出てくるころではないでしょうか。1月は七草粥、小豆粥などの行事食が知られていますが、身体の中から温めてくれるお粥は消化もよく、胃腸をやさしく整えるのに役立つ料理です。 この粥に一家言あり、こだわりを持っていたのが豊臣秀吉です。晩年は飽食を戒め健康に気を使い、粥を食べていたという秀吉ですが、山寺でもてなされたひと碗はどのような味だったのでしょうか。今回は、この粥にまつわるお

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第49話「割粥」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第48話「煤払い」

          一年の厄も落とした、大奥での胴上げ我が家は団で煤をはらひけり(一茶)。12月に入り、そろそろ大掃除の日程を決めなくてはと、考えている方も多いのではないでしょうか?   江戸時代も、12月は正月を目前にして一年の汚れを落とす大掃除をしました。当時は蝋燭などを多く使う暮らしだったことから「煤払い」や「煤掃き」ともいい、江戸城の「将軍家の煤払いの定日」(12月13日)に倣い、武家屋敷や町人の商家などでも、この日に多く行われました。 町家では、掃除が終わると陣頭指揮をとった家長など

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第48話「煤払い」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第47話「蜜柑」

          武将も待ち望んだ、暮れの贈答品「下積みの蜜柑ちいさき年の暮れ」(浪化)── “こたつ蜜柑”などというように、蜜柑(みかん)は手軽に食べられる冬の果物ですが、物流が発達していなかった昔は現在のように豊富に手に入るものではなく、子どもたちはお歳暮で届く木箱などに入った贈答用蜜柑を楽しみにしていたものでした。   贈答品としての蜜柑の歴史は古く、すでに江戸時代にもありましたが、当時は武家や裕福な商家など限られた人たちの間での高級品でした。あの食通の徳川家康も蜜柑を好み、親しい大名な

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第47話「蜜柑」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第46話「献立」

          閑所で考えた、食へのこだわり紅葉も深まり、田畑に霜も降りる11月。その異称は「霜月(しもつき)」のほかに「食物月(おしものづき)」という呼び名もあります。 それは、その年に採れた穀物や農作物などを神様に供えて感謝する新嘗祭や、地域で行われるさまざまな収穫祭などが行われる季節となるから。また、秋のおいしい味覚を身近に感じる季節になるからでもあります。   最近は “料理男子”という言葉も浸透してきましたが、単なるグルメだけではなく、自ら献立を考え、調理してもてなすことが上手な

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第46話「献立」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第45話「席画」

          将軍を楽しませた、御用絵師の遊び心11月は学校では学芸会や文化祭が開かれ、美術館などでもさまざまな催事が行われる“美術の秋”。展示されている作品を鑑賞するだけではなく、芸術家たちが即興で行うパフォーマンスやインスタレーションなども興味深いものですが、それらは実は「席画」(せきが)※という絵師たちの芸術活動のひとつとして江戸時代初期から行われていました。 今回は、天皇や将軍の目の前で作品を描く彼らが、時には度肝を抜く演出で観客たちを楽しませたという、席画にまつわる話を集めてみ

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第45話「席画」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第44話「温泉」

          将軍の実力を示した、温泉の力10月は、温泉旅行なども楽しい行楽の秋。その昔、江戸時代の将軍や大名たちも同じでした。中でも熱海温泉の湯に惚れこみ、子供たちを連れて長逗留し、それができない時は「熱海よいとこ日の丸たてて、御本丸へとお湯が行く」と地元に残る唄にもあるように、熱海の湯を江戸城まで“お取り寄せ”して楽しんでいたのが徳川家康です。   今でも、熱海の湯前神社※では10月初旬に湯汲み神事が行われ、湯桶で温泉を運んだ当時の様子を再現するイベントなどが行われています。今回は、こ

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第44話「温泉」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 「握り飯」第43話 

          腹ごしらえに頬張るおにぎりは、勝利を願う力飯「焼飯をほうばりながらゑさをさし」───さっきまで動かなかった竿が揺れはじめ、急に釣果が出たのでしょうか。これは、釣り人が魚と対峙する合間に焼きおにぎりを食べて腹ごしらえをしながら、釣り針に餌をかけるさまを詠んだ江戸時代の川柳のひとつ。 昔も今も、おにぎりやおむすびと呼ばれる握り飯※は、外で活動するときには欠かせない携帯できる食事のひとつです。  10月は気候も落ち着き、紅葉狩りや運動会などの野外活動も楽しく、新米の美味しい秋を

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 「握り飯」第43話 

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第42話「敬老」

          家長が支えた、武家の介護9月は敬老の日がありますが、海外でもお年寄りを敬う日や行事は気候が落ち着く秋口が多いようです。 日本では、8世紀ごろに聖徳太子が悲田院(ひでんいん)※という身寄りのない貧窮の病人や孤老を収容する救護施設を建立した歴史的な事実があり、敬老の日の制定はそれにちなんで昭和26年(1951)ころから始まったといわれています。   現在、日本では高齢者は一般的に年金受給の始まる65歳以上からとされ、人口は3627万人(総務省統計局 2022年9月15日現在推計

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第42話「敬老」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第41話「お救い小屋」

          官民が力を合わせた、復興の拠点づくり「地震、雷、火事、親父」とは、この世で怖いもの順に並べたことわざ。最後のかつて家長として権力を握っていた「親父」とは、台風を表わす「大山嵐(おおやまじ)」が訛って伝わったとされています。 ところで、9月は近年の度重なる震災の教訓を見直す防災月間として位置付けられています。そこで、今回は江戸時代の地震対策や、救援活動について少し触れてみたいと思います。 およそ300年続いた江戸時代の中で起きたマグニチュード6~7以上の地震は、およそ30回

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第41話「お救い小屋」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第40話「夏の氷」 

          平和な夏の涼感を楽しむ、氷のごちそう「鶯も番をして鳴く氷室かな」(一茶)――暑さも極まる8月上旬までの厳しい気候を、「極暑(ごくしょ)」や「酷暑(こくしょ)」と言いますが、店先に揺れる氷の文字が恋しくなるころでもあります。 今でこそ冷蔵庫や製氷機のおかげで、一年中ふんだんに氷を身近なものとしています。しかし、近代以前は山の洞窟などに設けた氷室)※という“自然の冷蔵庫”に、冬の氷を保存して使っていました。   夏に氷室から運び出した氷を口にできるのは、天皇や公家、武士でも将軍

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし 第40話「夏の氷」 

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし  第39話 「虫籠」

          細い竹ひごに込められた、人の情けと虫時雨「消えなんとして仏燈や虫しぐれ」(佐藤紅緑) 8月も立秋を過ぎて旧盆のころになると、迎え火や送り火とともに虫の音にも季節の変わり目を感じます。 このころを境に、蟬に鈴虫や松虫など秋の虫たちが加わり、一段と壮大な虫時雨が聴かれます。蜩ひぐらしの「カナカナ」や鈴虫の「リーンリーン」など、虫の鳴き声を季節の情緒あふれる音色として聴き分けることができるのは日本人で、他国の人の耳には雑音としか聴こえないようです。 そして『江戸名所図会 五巻』

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし  第39話 「虫籠」

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし「手紙」第38話

          手紙で心を摑んだ、“筆武将”の 伊達政宗7月の異称は文月。この季節の代表的な歳時の七夕では、古くから書の上達を願って短冊を飾ります。「書は人なり」と言いますが、仙台藩主として活躍した伊達政宗※は、 “筆武将”といわれるほどの能書家※でもありました。現在、古文書として残っている手紙は千通を超え、家臣や家族に宛てて自筆で書いた書状の中には人間味溢れる言葉が並び、今の時代に読んでも心を打たれるものがあります。 政宗が母への贈り物に添えた手紙や、離れて暮らす息子を励まし続けた手紙な

          ビジネス歳時記 武士のおもてなし「手紙」第38話