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また誰かを愛すよ#3:その眼を見て
私は人の眼を見ることが,本当は好き。
眼を見ていると,その人の感情が直に伝わってくる感じがして,つい見ていたくなる。しかし,そんなことを毎回するわけにはいかない。何せ,怪しまれるから。そして,変な圧力を感じさせたくない。でも,本当は見ていたい。
ただ,最近の私は視線を落としたり,違う方向を見たまま話すことが多いような気がする。もちろん,四六時中そうしているわけではない。ちゃんと目を見て話した
また誰かを愛すよ#1
「夏を感じますね」
ある平凡な日に,主任は言った。まるで“月が綺麗ですね”のような,写実的な言葉を突然こぼした,あの瞬間を忘れない。彼はいつも日陰にいるような人で,でも私にとっては心地の良い陽向のような存在であった。あの一言が,私に対する気遣いの塊であったとしても,こんなに,“ここに居て,良かった”という安堵感を与えてくれたことは感謝以外の何物でもない。
最初から心を許せる人は,早々に居ない。