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【英論抄読】大腿骨近位部骨折患者における術後移動性の予測因子としてのCAS

📖 文献情報 と 抄録和訳

大腿骨近位部骨折患者における術後移動性の予測因子としての積算歩行CAS

Yamamoto N, Tomita Y, Ichinose A, Sukegawa S, Yokoyama S, Noda T, Kawasaki K, Ozaki T. Cumulated ambulation score as predictor of postoperative mobility in patients with proximal femur fractures. Arch Orthop Trauma Surg. 2022 Mar 15.

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DOI, PubMed

📚 概要

[はじめに]
術後早期の移動能力を評価する指標としてCAS(cumulated ambulation score)が開発された。本研究では、大腿骨近位部骨折の術後におけるCASと自立歩行との関連を推定することを目的とした。

[方法]
このレトロスペクティブコホート研究は、大腿骨近位部骨折の手術を受け、受傷前に自立歩行が可能であった高齢者223名を対象とした。認知障害、受傷前のBarthel index、CASを説明変数とした多変量ロジスティック回帰分析により、術後2週間(モデル1)および3ヶ月(モデル2)の自立歩行が予測された。モデル化結果に基づき、スコアリングシステムを構築した。

[結果]
術後2週間および3ヶ月の時点で自立歩行が可能であった患者数は、それぞれ115名および169名であった。単変量解析の結果、CASは術後2週間および3ヶ月の自立歩行と有意に関連した。多変量解析では,モデル1およびモデル2の予測精度は良好であり、AUROCはそれぞれ0.855および0.868であった。説明変数のうち、モデル2のCASのみ術後の歩行能力との有意な関連は認められなかった。モデル1、2ともにスコアリングシステムも良好な予測精度を示し、カットオフスコアはモデル1が3.5、モデル2が9.5であった。

[結論]
CASは術後2週間の自立歩行能力を予測したが、この関係は術後3か月では限定的であった。したがって、CASは急性期病院退院時の自立歩行の予測に役立つ可能性がある。

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CAS の評価方法
I.ベッド上仰臥位から肘掛け付き椅子または車椅子への移乗動作、もしくはその逆方向への移乗動作
II.肘掛け付き椅子または車椅子座位からの立ち座り動作
III.屋内歩行動作(平行棒を含む必要な歩行補助具の利用可)
の3つの基本動作の合計スコア。各動作は、自立:2 点、介助:1 点、不可能:0 点で得点化。1 日のスコアは0~6点であり、最終的に術後3 日間の累積点数 18 点満点とする。

非常に簡単な評価で多職種と共有しやすい。また、3日間の累積スコアという点も有用であると思う。本研究は、術後1日目,3日目,5日目のCAS累積スコアである。

急性期の段階で中・長期的な歩行自立を予測し、回復期病棟と連携していく。これは、今後のリハビリテーションにおいて必須になってくると思うし、これを実現するために、CASは一つの有用な手段であると感じた。

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