ディザスタームービーなのに多幸感でいっぱいになる！ 韓国映画【EXIT】
有毒ガスが街中に蔓延するという大災害が起こり、街は大パニック！
大変な状況に置かれた主人公たちに早く脱出して欲しい！と願う一方で、二人の脱出劇を永遠に観ていたい！とも思ってしまう…。
災害パニック映画なのになぜか幸せな気持ちになる、とても不思議な映画です。
2019年公開の韓国映画、EXIT。私が最初に観たのは2020年の一回目の緊急事態宣言が発令された頃でした。
得も言えぬ閉塞感を感じていた時期に、エクストリームジョブとこのEXITは言いようがないほどの爽快感と多幸感を与えてくれて、「あぁ、映画に救われるってこういうことなのかも」と思ったりしました…。
以下、ストーリーには触れていますが、最終的なネタバレはしていません。
【あらすじ】
韓国のある都心部に、突如として原因不明の有毒ガスが蔓延し、道行く人たちが次々に倒れて街はパニックに陥る。外が緊急事態になっていることは知らず、高層ビルの中で母親の古希を祝う会に出席していた青年ヨンナムは、そこで大学時代に思いを寄せていた山岳部の後輩ウィジュと再会する。しかし、そんな彼らのもとにも有毒ガスの危険が迫り、2人は地上数百メートルの高層ビル群を命綱なしで登り、飛び移り、危険な街からの脱出を図る。
（映画.comより抜粋）
もう初っ端から、クスっと笑っちゃうんです。
主人公のヨンナム（チョ・ジョンソク）は大学の山岳サークルの元エースで、ボルダリングとかも本格的にできちゃうタイプだったのですが、就職に失敗し、長らく実家でニートみたいな生活をしていて、家族に疎まれているんです。
そんな彼は、飛びぬけた運動能力を維持するため、日々公園の鉄棒でトレーニングをしているのですが、近所の子供たちには「ちょっとおかしな人認定」されていて、甥っ子にも他人のフリをされてしまったり。
能力のある若者でもなかなか就職できないという、韓国の社会問題が垣間見えるところでもあるのだけど、それよりも何よりヨンナムを演じるチョ・ジョンソクさんのコメディアンっぷりが最高で、ずっとニヤニヤしっぱなし。
そんな彼が思いを寄せるのが、大学の後輩だったユナちゃん演じるウィジュ。両親の古希祝いの会場で、副店長として働いていたウィジュに再開するのですが、その会場の近くで有毒ガスがまき散らされ、街は大惨事に陥ってしまうんです。
数分で人を死に至らせる上になかなか消えず、時間が経つたびに徐々に上がってくる有毒ガス。そんな有毒ガスあるのか？というツッコミは多少あるのですが、ヨンナムとウィジュは、この場から脱出しようと全身全霊で挑んでいきます。
ここで発揮されるのが、山岳部時代に培ったスキルと身体能力。有毒ガスを短時間吸い込んでしまった姉のために救護ベッドを作ったり、SOSの救命信号をみんなに教えたり。この救命信号、ずっと耳に残っちゃいます。その後劇中の思いもよらないところで再び登場して笑っちゃいました。
救護ヘリに乗るにはどうしても屋上に行かなければいけないのに、しょーもない店長は鍵を持っていなくて（自己保身のため取りに行こうともしない）、ヨンナムは屋上のドアを外側から開けようと、意を決して外壁を登って屋上に行こうとするのです…。
もうここからはずっと、ハラハラドキドキの展開が続きっぱなし！！
一体この状況でどうやってビルからビルに移るの？とか、暗闇の中、低層ビルにいるヨンナム達はどのように救護ヘリに気づいてもらえるようにするの？とか、どこを切り取っても面白い！
二人とも身体能力が凄まじいのですが、実際にチョ・ジョンソクさんとユナちゃんは猛特訓したそうです。全力で走るシーンなど、圧巻なほど足が速いのですが、走りすぎて歩くことすらできない状態になるまで頑張ったのだとか。
アクションムービーとして申し分ない面白さなのですが、それ以上にやっぱり主人公2人の利他的な精神に胸を打たれます。
決して突出した人物ではない、ごく普通の人間が（特にヨンナムは周りにバカにされている）、有事の時にここまで頼もしく、全力で現状を打開しようとする姿が美しくて。
でも二人ともよく泣くんです。「本当は私が助かりたかった！」とか「もうダメだよー」なんてすぐに弱音を吐く。そんな姿もすごく人間らしくで愛おしい。
ツッコミどころがないワケではないですが、それを面白さでカバーしてしまう最高の映画です！それと、ユナちゃんが猛烈に可愛い。ダッサいジャージ着て髪を振りかざしてても可愛い。恐るべし美少女（やっぱりいつまでも美少女と言ってしまう）。
ちなみにライムスター宇多丸さんの2020年のシネマランキングで、10位に入っていましたよ。
いつもレビューしている韓国ノワールとは違い、これなら老若男女誰でも楽しめます（笑）。
ちょっとダサめのエンディングテーマも最高です！
極私的スキ度★★★★★★★★★（９）
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