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インフルエンザ④ 治療の原則

ということで、クリスマスですね。皆さんの所にはサンタクロースがやってきたのでしょうか。

ちなみに何歳までサンタさん信じていましたか??

さて、前回まで、インフルエンザの「検査」についてお話ししてきましたが、検査やる意味あるのか!!???と思ってきていませんか?

どんなときに検査をすべきか?という疑問を考える前に、そもそも検査をしてどうするのか?ということを考えてみます。

検査は何故するのか?

この疑問に対する答えは至ってシンプルです。

その検査をすることによって、何か医学的マネジメントが変わるか?

この一点です。

一方で、実際にその検査を行うかどうかは、検査が患者に与える不利益の度合い、との天秤、になります。

では、「インフルエンザ」と診断することで医学的なマネジメントは変わるのでしょうか?

インフルエンザを診断すると、抗インフルエンザ薬、が処方されるから診断は必要だ、、、という声が聞こえてきそうですが、そもそもインフルエンザって治療すべきなんだっけ?という点を考えてみます。

インフルエンザに対する治療の考え方の原則

インフルエンザは、誤解を恐れずにいえば、「ちょっとひどい風邪」「うつりやすい風邪」で、self-limited つまり、自然経過で治癒する病気です。

インフルエンザ脳症、タミフルによる異常行動などの、社会的インパクトを持ったイベントが取りざたされたり、製薬会社の戦略も相まって、「とにかく速く診断して、速く薬を飲まないとヤバイ病気」という誤解をされていますが、基本的に元気な子ども、元気な大人には、抗インフルエンザ薬は不要です。

一方で、当然、肺炎、脳症などを初め非常に重症化する方がいらっしゃるのも事実ですし、発症当初では重症化のリスクが判断しきれないということもあり、治療の必要性は慎重に判断する必要があります。

2019/2020 シーズンにおけるインフルエンザの治療指針が日本小児科学会から出されていますが、治療の原則は以下のように示されています。

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「重症化リスク」については、米国感染症学会より以下の提言がなされています。

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これらを踏まえ、目の前の患者さんを「治療対象」とするかどうかを慎重に判断していくことになります。

小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン