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手術から二週間。回復は芽が出てくるように

右胸の全摘手術から二週間が経った。
ありがたいことに、経過は順調なようで、日に日にキズも回復していると感じる。

キズの回復を “実感” したのは、手術から10日目を過ぎたくらいだったと思う。
それまでは、自分の身体なのに、右胸のところに触ることも怖かったし、寝返りを打ったり右腕を動かしたりすることにも、どこかぎこちなさというか不自由さがあった。
けれど、10日目くらいの朝に、身体の違和感がすとんと減って、左手で右胸を触ることも怖くなくなり、右腕を動かすことの不自由さも格段に減ったのを感じたのだった。
これまで、手術も骨折すらしたことがなく、ケガといえば捻挫と擦り傷くらい(あとは親知らずを抜く処置くらい)だった自分にとって、10センチに及ぶような大きな傷は初めてのことだった。
ああ、キズって、こんな風に治ってくるんだ、と思った。
身体ってすごいな、とも思った。

◇ ◇ ◇

身体の回復といえば、術前の最後の化学療法からもひと月以上が経ち、気がつけば、味覚も元に戻ってきたようだ。
美味しく感じられなくて飲まなくなっていたコーヒーや、クッキーなど小麦が使われたお菓子も、また以前のように美味しく感じられるようになってきた。
抜けてしまった毛も少しずつ生えてきている。
髪の毛は、触ると、まだ出始めの短い頼りない不揃いの毛が、指先に “ざらり” というか “ふわり” というかに触れる程度で、見た目にはほとんどわからない。
まつ毛も眉毛も髪の毛も、今生え始めてきてくれたのは、どれも弱々しい産毛のような毛たちだ。

特にまつ毛は、本当に細くて、すぐに曲がってしまうほどの頼りないまつ毛なのだが(折れて目に入ってしまうのが少し痛い)、その長いことに驚き。
ひゅうっと、これまでこんなに長くなったことのない長さにまで伸びてきたのだから、面白い。
昔、子犬を飼い始めた時、家に来たばかりの犬のまつ毛がとっても長かったことを思い出した。長くカールした産毛のまつ毛は、獣医さんが切ってしまい、そのあとには、しっかりとした太いまつ毛(でも短い)が生えてきて、あの長くて繊細なまつ毛はいなくなってしまったことを。
自分のまつ毛も、もう一度生え変わる頃には、しっかりした今までどおりのまつ毛になって戻ってくるのだろうか。

抗がん剤や手術からの回復の兆しは、こんな風に、身体のいろんなところで、まるで芽が出るように始まっている。

◇ ◇ ◇

毎日のリハビリは、今のところ、こつこつと続けている。
一日3回、10回セットの動きを2パターン。
忘れないように、サボらないように、やる気を切らせないように、カレンダーにはシールを貼ることにした。(やった日には6つのシールが貼られることになる)

まるで子供じみていて、とても50代後半の人がやることとは思えない行為だけれど、恥ずかしながら今のところ役に立っている。

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