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映画『ゴダールの探偵』 ゴダールの「パルプ・フィクション」(ネタバレ感想文 )

監督:ジャン=リュック・ゴダール/1985年 仏

70年代のゴダールは政治映画に傾倒していて、80年代に商業映画に戻ってきたんですよね。
当時大学生だった私は既にゴダール嫌いだったので、実は80年代以降のゴダール作品、つまり商業映画復帰後のゴダール作品を今日に至るまで1本も観たことがありません。
有り体に言って、今回の「追悼 ジャン=リュック・ゴダール映画祭」で観た本作が初鑑賞。

いやあ~、嫌いだわぁ(笑)

意味もなく無駄に女性を裸にするのも嫌い

タランティーノも好きだという『はなればなれに』(1964年)は画面に躍動感があったように思うんです。

ところが本作は、止まった画面に空虚な言葉が延々と重ねられる。
頭でっかちゴダールの悪い癖。出来の悪いアニメみたい。
それは私の思う映画的な面白さではないんだよな。
むしろ台詞なんか無くたって、動きだけで観せて(魅せて)ほしいんだ。
ほんとに(画面が)動かないで能書きばっかり。安楽椅子探偵か!

当時日本では、ミニシアターブームと好景気が重なって、いろんな外国映画を買い漁ってたんですよ。ゴダール作品もその一つ。
なんなら、ちょっとしたゴダールブームでしたよ。六本木とかで上映されてた記憶がある。だから世間的には「オシャレ映画」として捉えられてたようにも思います。
実際、私の友人も(普段は映画なんか全然観ない人だったけど)映画館に観に行ったそうで、「観客の頭が四角や三角になっていくのが分かった」って感想を言ってました。
それ、正しい感想。
難解というか理解不能というか、何故こんな撮り方をするのか理解不能。
そこまで解りにくくすることに何の意味がある?って思っちゃう。

実は今回、後学のために80年代ゴダールを経験しようと思って、でもツマラナイであろうことはある程度予想できたので、まあジャン=ピエール・レオとか知ってる役者が出てれば少しは耐えられると思ってこの作品を選んだんです。
そしたら、『ラ・ブーム』の父ちゃんが出てた。
てゆーか、あんた『はなればなれに』にも出てたんだ。

クロード・ブラッスール

ツマランツマラン言いながら、ちょっと面白いことに気がつきまして。

タランティーノは『はなればなれに』ファンだと書きましたが、もしかすると、彼は意外にもゴダール好きかもしれません。
そう考えるとこの映画、『パルプ・フィクション』(94年)っぽいんです。
複数の話が交錯するところとか、ボクシングの八百長試合とか。

『パルプ・フィクション』っぽいってことに気がついたら、映画ってそんなに高尚なものではないということを思い出しました。ヒッチコックが言うところの「たかが映画じゃないか」。ゴダールは無駄に持ち上げられすぎ。

結果、所詮映画なんて「6と9を見間違えた」程度の話を2時間近くかけて描くようなもんなんですよ、という映画に思えてきた。
そう考えると深いな。

(2023.05.03 ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞 ★★☆☆☆)

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