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【トレーニー必見!】究極の身体を目指して〜体幹の非対称性が上半身トレーニングメニューに与える影響〜

左右対称な身体は存在するのか!?

結論から言います。

『身体の左右の非対称性はほとんど全ての人に存在します』。

12年間一般の方も含めて左右対称である体を僕は臨床の現場では見たことがありません。

それは利き手、環境、行ってきたスポーツやレクリエーション活動、仕事の影響、睡眠中など人間が活動する上で左右非対称となる運動や姿勢となる時間は圧倒的に多く。対称となる活動は本当に少ないのです。

また最近では身体の構造の左右非対称性に着目したコンセプトも存在します。

その中で私達は見た目の美しさや機能性を高める為に左右対称性であることを追求しています。
僕自身は、運動系(姿勢や動き)の専門家として怪我や痛みで困っている人を対象としていることが多いので個々の構造や機能を把握した上で運動を最適化することが目標となります。

ですので僕自身の立場は左右非対称性は必ず存在することを認めながらも、それを尊重して必要であれば左右対称性へ促すこともあります。

最も重要なのは問題解決するためにどうするか?

これを読んでいる方は、

①怪我や痛みに悩んでいる方
②筋トレにおいて効き方や可動性に左右差を感じる方
③見た目の左右差を感じる方

が多いと思います。僕の専門は怪我や痛みですので主に①>②>③の優先順位を念頭に置きながらお話したいと思います。

身体の非対称性の根源は脊柱にある!?

特に体幹の非対称性で着目すべき点は、脊柱と肩甲骨です。
そして脊柱と肩甲骨は動かしやすい組み合わせが存在します。

例えば…

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脊柱を右回旋すると右側の肩甲骨が内転しやすくなります。
皆さんも実際に体感してみると分かりやすいかもしれません。
脊柱を左回旋させて右肩関節を屈曲するのと、脊柱を右回旋させて右肩関節の屈曲をした場合に腕の上げやすさはどうでしょうか?

断然右回旋する方が右肩関節を屈曲しやすかったと思います。肩関節屈曲運動においても肩甲骨の内転は大切ですからもちろん内転しやすい方が肩関節が屈曲しやすくなります。

脊柱の回旋の左右差による肩甲骨への影響を実際にPULL系種目で有名なワンハンドローイングにで考えて見ましょう。

ワンハンドローイングにおける脊柱の左右差が肩甲骨に与える影響とは?

ワンハンドローイングは、主に脊柱のわずかな同側回旋と肩甲骨の内転・下制と肩関節の伸展運動により中背部である僧帽筋や広背筋を狙ったトレーニングです。脊柱の回旋を伴うかどうかは人によってわずかに見解が異なるようです。

ワンハンドローイングのような片側種目の場合には、脊柱の動的な回旋の左右差が影響を及ぼします。

例えば…

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胸椎が右回旋しやすく、左回旋しにくい方がいます。その方が左側のワンハンドローイングを行った場合には、左回旋が不足することで肩甲骨の内転が不足し結果広背筋の収縮が不十分になります。

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ワンハンドローイングの場合には、脊柱の可動域ももちろん大切ですが、可動性を獲得した中での左側のワンハンドローイングをしている際に左回旋が不足しないような安定性が最も大切かもしれません。

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(注:ここでいう左回旋の不足とは開始肢位以外の運動中または終了肢位までにニュートラルポジションよりも右回旋位であることを指します)

ここまでは脊柱が肩甲骨に与える影響をお話しましたが、もちろん脊柱の可動性と安定性に問題がない場合は、次に肩甲骨の問題を疑っていきます。

ベンチプレスにおける脊柱の左右差が肩甲骨に与える影響とは?

では種目を少し変えましょう。
次はベンチプレスにおいて脊柱の左右差はどのように影響するのでしょうか?ここでは主に肩関節への影響についてお話したいと思います。

何らかの理由で脊柱(胸椎)が右回旋位となった場合には肩甲骨と肩関節にはどのような動きの問題が起こるのでしょうか?

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胸椎が右回旋した状態で、肩甲骨の位置は同じであると規定します。この状態でベンチプレスのボトムのポジションでは肩関節の水平伸展の角度が左側が増大します。この水平伸展の増加は肩関節の前面の軟部組織に伸張ストレスを加えます。

脊柱の問題も、肩甲骨の寄せの問題も最終的には肩関節(肩甲上腕関節)の水平伸展の増大という形で現れてきます(肩甲骨の寄せに関する記事はコチラ↓)。


その動きの問題が痛みの原因となっているケースが少なくありません。図では分かりやすく記載していますが、この微細な左右差は反復することで大きな差として現れたり、高負荷で現れたりするケースがあります。

またこの肩関節前面組織への反復運動は組織を伸張し上腕骨頭の不安定性へと移行した場合には、痛みは長期化しやすく繰り返します。

もしあなたが現在ベンチプレスで肩関節の前面に違和感を感じているならば、すぐにでも体幹の非対称性を改善ししっかりと肩甲骨を寄せて、グリップの幅を狭くするなどの対応が必要かもしれません。

まとめ

・非対称性は誰にでも存在するもの
・脊柱の非対称性は肩甲骨と肩関節の動きの問題を引き起こす
・長期化する痛みの問題は肩だけではなく脊柱を含めて見直す必要がある

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