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Introduction 伝説のピアノ指導者の教え
『…じゃ、そろそろ始めようか』
再生ボタンを押された黒い小さなレコーダーは、
静かにデスクに置かれた。
声は静かに続いていく。
祖父が膝の上で幼子に語りかけるような、
懐かしい心地よさが、夕暮れの部屋を明るく満たす。
『私に残された時間は、あまりない。だが、言葉は残すことができる。
私の思いを、必要とする人に、伝えてほしい』
レコーダーの声が、ゆっくりと広がっていく。
鼻の奥から感情が
vol.6ピアノ指導とは生徒に幸せを分け与えること【伝説のピアノ指導者】
(初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…)
ピアノを教える者は、いつも幸せであるべきだ。
なぜなら我々の仕事は、生徒に幸せを分け与えることだからだ。
ピアノを弾くことは、幸せになること。
自分だけの時間を味わい尽くすことだ。
この世の中、自分のためだけの時間を持つことが
どれだけ難しいか、わかるだろう?
多くの人間は、他人の人生を生きている。
誰かと比
vol.5ピアノを教えるのが大好きな先生に生徒は集まる【伝説のピアノ指導者】
(初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…)
「好きなことを仕事にしよう」
最近、そういう言葉をよく見かけるね。
好きなことなら楽しんでできるし、集中力も違う。
アイデアもどんどん浮かんで、行動に結びつきやすい。
好きなことを仕事にすると上手くいくのは、そういうことだろう。
ピアノ指導は、好きでなければうまくいかない。
なぜなら、あなたが教えることが好きでな
vol.4ピアノ指導者の「成功」とは?【伝説のピアノ指導者の教え】
(初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…)
あなたは、どんな表情で生徒を迎えているだろうか?
いつも幸せな気持ちで生徒を迎えられているだろうか?
伝えたいことがいっぱいで、待ちきれないだろうか?
これから始まるレッスン、生徒との時間にワクワクしているだろうか?
一人の生徒を心から喜ばせることは、簡単ではないね。
指導力もセンスも、ユーモアも、人間的な魅力も
vol.3お金や生徒数でピアノ指導者の価値が決まるのか?【伝説のピアノ指導者の教え】
(初めてお読みいただく方は、こちらの「Introduction」から…)
さて、今日も始めようか…
今日はそうだな、ピアノ指導者としての「価値」について話そうか。
ピアノ指導者としての価値とは何だろう?
私の考えを話す前に、これだけは確かなことがある。
どれだけお金を稼いだか、
どれだけたくさん生徒を教えたか、
どれだけ教室を大きくしたか。
そんなことで、我々の価値は決まらない。
ピ
vol.2生徒のためという使命感【伝説のピアノ指導者の教え】
「私は、何のために存在するだろうか?」
ピアノ指導者として、いつも心に置いておくべき問いだと思う。
いわば「使命」のことだ。
なぜピアノを教えているのか?
あなたが存在する根源的な理由。
私が考える「使命」については後で話すとして、
なぜここが大事だと思うかね?
それはね、「もうあと少し」と頑張れる力になるからだ。
たとえば、レッスンが終わった後の生徒へのフォロー。
手を抜こ
vol.1天職とは生徒の幸せのために生きること【伝説のピアノ指導者の教え】
ピアノ指導が「天職」だと感じている人はどれだけいるだろう。
天職とは「これが私の生きる道だ」と思える仕事、
これ以上、自分に合う仕事はないと言い切れるもの。
もし今、あなたがピアノを教えることが、
「天職」だと感じられるなら、とても幸せなことだ。
ただ、そういう人は、それほど多くないと思う。
天職だと感じていない指導者のほうが多いかもしれない。
だが、それは当然なんだね。
天職とは、自