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【建築模型の魅力を伝えたい】okamoto barba namiインタビュー


okamoto barba nami 個展「STAY」を、2024年2月28日(水) – 3月10日(日) の期間にピカレスクギャラリーで開催いたします。

今回は、okamoto barba namiさんにご自身のことや制作エピソード、今回展示される作品についてインタビューしました。ぜひお楽しみください。


ー自己紹介をお願いします。

建築模型や製図の技法を使って、ドローイングや立体造形など、空間をテーマにした作品を作っています。関係者以外の目に触れることが少なく、プレゼンテーションの手段におさまっている建築模型を、ショーアップしてもっと世に広めるのを目標にしています。ジオラマやドールハウスなど、馴染みの「ミニチュア」とはまた少し毛色の違った建築模型がもつ魅力を伝えていきたいと思っています。

ー現在の作品の世界観が生まれたきっかけを教えてください。

専門学校の空間デザインの授業で「スタディ模型」という存在に出会いました。 大雑把にいうと空間デザインの検討のために作られるざっくりした模型(ビジュアルデザインでいうところのラフ画)のことです。 ブレインストーミングの立体版のようなものなので、深く考えすぎず精度や素材に拘らず、たくさん数を作ります。そうすると、予想をしていなかったおもしろい現象が起きたり、法規や設備を無視した美しい、トリッキーな空間が生まれたり、ラフさが効いてやたらかっこいいプロダクトができたりします。

しかし空間デザインは、実現に近づくほど縛りが増えて、スタディの時点の純粋さを保つのは非常に難しいことだと思われます。スタディだけずっとやっていたい、そして精度や素材にもこだわったらすごく魅力的なものになるのではないか。幸いなことに、そんなわがままを、今も続けられています。

ー作品で使用している素材を選んだ理由を教えてください。

基本的に建築模型のポピュラーな素材をそのまま使用しています。建築模型材料は、加工が容易で、最低限の強度と見映えを保つ方向に進化してきたので、独特のエッジ感や素朴さ、図太さ、儚さを醸し出します。「できるだけ多くの案を美しく立体化したい」という私の希望にも沿った、頼もしい素材群です。

特にお世話になっているのは紙です。安価で加工も比較的しやすく、エッジも立って強度もある、なんてありがたい存在かと、常に感謝しています。立体を作るときに秩序が保たれる感じも好きです。

ー普段、何からインスピレーションを受けていますか?

日々目に入ってくるあらゆるもの(フォント、隙間、設備、ダンサー、観葉植物、洋服、グラフ、器、地図、デザート、なんでもかんでも)に、空間性を見出しています。(見出そうとしている?) 居られそうか、留まれそうか。
居られるとしたら、スケール感は?その特性はどう作用しそうか、機能しそうか? そして特に魅力的な空間になりそうなものはスケッチにして、立体にして、という運びです。 所謂「降りてくる」ようなことはなく、組み合わせ(今は主に家具との)をひたすら試しているといった感じです。

ー影響を受けたアーティストや、作品はありますか?

絵本

幼少の頃から読み続けていて、常に影響を受けています。
今回は、特に好きな四天王をご紹介します。
ジョージ・メンドーサ、ドリス・スミスの『だれのおうちかな?
(フレーベル館)どの家にいちばん住みたいかな?と、驚くほど真剣に考えていました。ちなみに、今もです。

アネット・チゾン タラス・テイラーの『バーバパパシリーズ』(偕成社)
作者ご夫妻が建築士、数学・生物教師と知り、深く深く納得したものです。

安野光雅の『ふしぎなたね』(童話屋)数学は驚くほど苦手ですが、嫌悪感がないのは安野光雅先生のおかげです。数学がうつくしいということだけは知っています。

わたりむつこ、中谷千代子の『いちごばたけのちいさなおばあさん』(福音館)とんでもない空間感、断面図の魅力が爆発しています。

無印良品

小学校高学年のときに無印良品に出会ったときの衝撃は忘れられません。今の白模型好きにも通じている気がします。

ゲームの空間

私はゲームを全くプレイしませんが、スクロール系のゲームの空間に惹かれがちです。要素が整理されていて秩序があり、装置と空間の間のようで、物理法則がちょうどよく無視されるというか、おおらかになるのも心地よいです。 とくにスーパーファミコンのドンキーコング1、2、3は、何度も何度もプレイ動画を拝見しています。

ーこれからどんな作品を作りたいですか?

空間的なものは身の回りにたくさん転がっているので、できるだけ取りこぼしなく、いろんな組み合わせを試したいです。模型化の順番を待っている案もノートに溜まっているので、どんどん立体化していきます。

今回はガラス作家であるゆきあかりさんとのコラボレーションをさせていただき、自分の力ではどうにもならなかった空間の模型化が叶ったことが幸いでした。今後もこういった試みを続けていけたらと思います。

☞ ゆきあかりさんのInstagram
https://www.instagram.com/yukiakari_glass/

ー ご出展いただく作品のコンセプトを教えていただけますか?

「wreathe / 環」

10月から1月にかけてリースを目にする機会が多く、この形を住空間に転用しようとしたらどうなるかなと考えていました。
いくつかパターンを考えて、水平面材の積層で垂直方向の環を作ると綺麗だったので採用しました。ずらして積まれた水平面は、床・天井・棚・階段・ロフト・床下収納と、印象や機能が自然に決まるような、逆に揺れるような、不思議な様相になったと思います。 実現不可能ではないですし、見たところ楽しげだけども、なんともギリギリな空間です。

「水に水に落ちた部屋 / 浅」

ゆきあかりさんの水の器のシリーズから、ウォータークラウン型の器をオーダーさせていただきました。こちらは水深の浅いほうです。
瞬間的であるウォータークラウンと、まとまった時間をはらんでいる家具との取り合せが矛盾して愉快です。現象としてはかなりアクシデントなのに、家具が取り澄ましている感じも味わいがあります。

「ホイップ・ドロップ・ネスト」

こちらもゆきあかりさんに製作していただいた器で、ウォータークラウンとは対照的な、デフォルメされた雫のかたちです。

ゆきあかりさんは打合せ時に雫と呼んでらっしゃったのですが、私にはホイップクリームの印象が強かったので、どちらもタイトルに入れることにしました。そうしたら、偶然にも敬愛するゲームの好きなステージ名に通ずるものがあったので、あやかるべく語感の近い単語を考えてくっつけました。

ネストの持つ生命・生物属性が、器の有機的な形状に合っていて気に入っています。 ソファと取り合わせる家具に悩みましたが、つんと伸びていく空間に合わせて、箱を積んだかたちの棚にしました。

ーお客様、ご来場予定の皆様に向けてメッセージをお願いいたします!

建築模型をあらためて見るのは初めてだという方もいらっしゃるかと思います。独特の素材感やエッジ感を拾っていただき、建築模型の魅力をお伝えできましたら幸いです。

設計をされている方におかれましては、私が好き勝手に作っている空間が少しでもインスピレーションを刺激できたら光栄に思います。

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okamoto barba namiさん、たくさんの貴重なお話をありがとうございました。

皆さまはどのエピソードが心に残りましたか?
ピカレスクスタッフは、okamoto barba namiさんの建築模型、素材に対する愛情がひしひしと伝わってきて、早く実際の作品を見てみたくてたまりません。模型の緻密さと素材のやわらかな色合いが、見る人それぞれの「こんなおうちに住みたいな」という気持ちにふわっとリンクして、楽しい想像を広げることができそうです。

okamoto barba namiさんの展示作品実物を一堂に鑑賞できる貴重な機会です。皆さまのお越しを、お待ちしております。

okamoto barba nami 個展「STAY」


〈会期〉2024年2月28日(水) – 3月10日(日)

〈詳細〉

〈 okamoto barba nami 公式SNS〉
X https://twitter.com/o_barba_n
Instagram https://www.instagram.com/okamotonami
minne https://minne.com/@okamotonami

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【基本営業日時】
*営業 水 - 日・祝 11:00 - 18:00
*定休 毎週月火
*会場 Picaresque Gallery
*住所 東京都渋谷区代々木4-54-7
*電話 070-5273-9561

■開催中&過去に開催した展示一覧
https://picaresquejpn.com/category/information/

■開催&開催予定の展示一覧
https://picaresquejpn.com/exhibition-calendar/

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