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乗数効果 | 減税か?公共事業か? | note公式「今週のおすすめnote5選」で紹介されました☺️

 景気対策には、大きく分けると2つある。不景気のときには、金利を下げて世の中に出回る「お金」の量を増やす「金融政策」と、公共事業を増やしたり、減税したりして景気を刺激する「財政政策」がある。

 この記事では、「財政政策」を扱う。同じ額を使うならば「減税」と「公共事業」とでは、どちらが景気をヨリ刺激することができるのか?
 結論を先にいうと、一般的に「公共事業」のほうが経済刺激効果は大きいとされる。どうしてだろうか?少し考えてみよう。

 国民が所得のうち、9割を消費し、1割を貯蓄に回すと仮定してみよう。

公共事業の場合

例えば100億円の「公共事業」を行うとすると、

第1ラウンドでは
100億円使われる。
第2ラウンドでは
100×0.9億円。
第3ラウンドでは
100×0.9×0.9億円。
第4ラウンドでは
100×0.9×0.9×0.9億円。

減税の場合

同じく100億円の「減税」を行うとすると、

第1ラウンドでは
100×0.9億円。
第2ラウンドでは
100×0.9×0.9億円。
第3ラウンドでは
100×0.9×0.9×0.9億円。
第4ラウンドでは
100×0.9×0.9×0.9×0.9億円。

直感的に言うと

直感的に言うと、公共事業の場合は、第1ラウンドで100億円がすべて使われるが、減税では、第1ラウンドで90億円は使われるが、残りの10億円は貯蓄に回ってしまう。最初のインパクトが異なる。

⚠️「ラウンド」とは、一通り政策の効果が世間に行き渡ることをいう。

乗数効果とは何か?

いま上に書いたことを数式化してみる。

公共事業に使われる金額をY、消費に当てられる割合をCとすると、次のようになる。
(上の例で言うと、Y=100, C=0.9である)

第1ラウンドから第nラウンドまでの合計をS とおくと、

Y = 100億, C = 0.9 を代入すると、
S = 100 / ( 1-0.9 ) = 100÷0.1 = 1000億
よって、100億円の「公共事業」をおこなうと、最初に投入した額の10倍のリターンがあることになる。

同様にして100億円の「減税」をおこった場合は、

よって S = 900億円。


結び

 理論上の計算では、公共事業のほうが減税より、経済押し上げ効果は大きい。ただし、それはお金が世の中に回りつづけるという場合である。
 公共事業の金額が同じであっても、常識的に、波及効果が大きいものと、小さいものがあるだろう。
 よく行われる「住宅補助金」や「住宅減税」は、住宅を購入する人が多ければ、「家具」や「家電」などの追加需要が見込めるからである。
 「教育」にお金を使うことは、波及効果が大きいと思われるが、教育がどれだけ経済にプラスの影響を及ぼしたのかを検証することが難しい。

追記

乗数効果は、高校生で学ぶ「等比数列の和」を学んだ人ならば、理解しやすい。
経済学を学んでも、金持ちになれる訳ではないが、無味乾燥な数学の公式に、命が吹き込まれるような気がする。


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この前、「今日の注目記事」で紹介されましたが、同記事が今日(2/2)は「今週のnote5選」で再び紹介していただきました。とても名誉なことで嬉しく思います😃💕。


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