ロシア文学を読むための必要最小限の露文法

 私がドストエフスキーをはじめとするロシア文学を読み始めたのは、大学生になってからのことである。

 ロシア文学をはじめて読む人は、誰でも感じるであろうことをまとめると、
①19世紀のロシア文学は長い
②登場人物の名前が長い
③呼び名がコロコロ変わる(ように感じる)。

 この3つの事情があって、ロシア文学に抵抗感を持つ人が多いのではないだろうか?
 慣れてしまえば、戸惑うことはあっても読み進めることはできるとは思うが、ロシア文学を読む前に、知っておくと便利な「ロシア語文法」についてまとめておきたい。


ロシア人の3つの名前

 沼野充義(著)「NHK 気軽に学ぶロシア語」(NHK出版)の中で、ロシア人の名前について次のように説明されている。

ロシア人には以下の3つの名前があります。
★имя(イーミャ) 
「名」(ファーストネーム、親につけてもらう名)
★отчество(オーチェストヴァ)
「父称」(父親の名から自動的に決まる名)
★фамилия(ファミーリヤ)
「姓」

この3つを並べて言う場合には、
「名+父称+姓」の順番が普通ですが、
公式の場では「姓+名+父称」の順になることもあります。

前掲書p.27

例えば、ドストエフスキーの名前は

フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
( Фёдор Mихáйлович Достоевский )

ですが、
日本人の名字にあたるのが
「ドストエフスキー」であり、
下の名前にあたるのが
「フョードル」ということになります。

「ミハイロヴィチ」が、お父さんの「下の名前」から作られる「父称」ですが、この父称からドストエフスキーのお父さんの名前が「ミハイル」( Михаи́л )
であることがわかります。

 また「父称」は「息子」である場合と「娘」である場合とでは異なります。

お父さんの名前が
Сергей(スィルギェーイ [セルゲイ])なら、
「息子の父称」は
Сергеевич(スィルギェーイェヴィチ)となり、
「娘の父称」は
Сергеевна(スィルギェーイェヴナ)となります。

その他代表的なものを書いておくと、

父の名 
Иван(イヴァーン[イワン])
息子の父称
Иванович(イヴァーナヴィチ)
娘の父称
Ивановна(イヴァーナヴナ)

父の名 
Пётр(ピョートル)
息子の父称
Петрович(ピトローヴィチ)
娘の父称
Петровна(ピトローヴナ)


ロシア人の名前と愛称

 またまた、ややこしいのだが、
英語のMichael(マイケル)が
Mike(マイク)という愛称になるように、ロシア語にも「愛称形」がある。

代表的なものを挙げておく。

[男性名]

(名)→(愛称形)

Алексей → Алёша
アレクセイ→アリョーシャ

Борис → Боря
バリース[ボリス]→ ボーリャ

Владимир → Володя
ヴラヂーミル → ヴァローヂャ

[女性名]

Анна→Аня
アーンナ→アーニャ

Наталья Наташа
ナターリヤ→ナターシャ

Татьяна→ Таня
タチヤーナ→ターニャ

(前掲書、p.62)


日本語訳でもよく登場するロシア語

ありがとう
Спасибо.(スパシィーバ)

すばらしい
Хорошо.(ハラショー)

大きい
Большой.(ボリショイ)

ボリショイ劇場
Большой театр(ボリショイ・テアートル)
→英語に直訳すれば
「Big Theater」といった感じだろうか?


ロシア語では英語のbe動詞にあたるものを用いない(現在形)。

細かい説明をする代わりに例文を載せておきます。

Кто это ? (クトー エータ?)
これは誰ですか?
= Who is this ? 

Что это ? (シトー エータ)
これは何ですか?
= What is this ? 


まとめ

最小限度ということでここまでにしておきますね。
というか私も詳しいわけではないので。

少しでもロシア文学へのハードルが下がったことを期待しつつ😀。



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