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伊勢物語 | The Tales of Ise

 「伊勢物語("The Tales of Ise")」を読み始めてから、もう既に3ヶ月近く経った。
 読み始めたきっかけは、私の個人企画「#ほしかったラブレター」に応募してくださったk_maru027さんの記事だった。



 高校生のときに使っていた教科書に「伊勢物語」は掲載されていたが、授業では取り上げられなかったので、まったく読んだことがなかった。
 今年の2月の頃、なにか英語で読める本はないか、と興味を持てそうな本を探していたので、「伊勢物語」(The Tales of Ise)を英訳で読んでみることにした。

Penguin Classics

 いきなり英語で読んでもよかったのだが、まず日本語の文庫本で、原文とその口語訳を読んでみた。そのあと、英語で読み始めて現在にいたっている。あと10ページ弱で「The Tales of Ise」を読み終えるところだ。

角川ソフィア文庫

英語で古典作品を読むメリット

 日本語で読める古典作品をわざわざ英語で読む必要などないではないか?、と言う人もいると思う。
 そのとおり!。日本語の原文や口語訳を読めば、ストーリーも分かる。英語で読んだら、わけがわからなくなるだけだ。そういう主張も成り立つ。否定するつもりはないが、あえて英語で古典作品を読む理由を挙げてみたい。

①古典作品を現代作品として読むことができる。

 日本語の原文が古語で書かれていても、たいてい「現代英語」で翻訳されている。
 英語が好きか嫌いかにもよるが、古語で読むよりも英語のほうが分かりやすいということはある。
 日本人とはいえ、古語の日本語より現代英語のほうが抵抗感が少ないという人も多いだろう。

 また、英訳の場合、読者として想定されているのは、日本人ではなく外国人である。日本文化について詳しくないことを前提としているので、脚注が詳しく分かりやすい。
 もちろん、現代日本人と古典の世界の日本人は多くの共通点があるから、いちいち解説がなくても理解できることはある。しかし、潜在意識を顕在化して言葉にしてみると「そういうことか!」と気付くこともある。

②英語では主語が要請される。

 源氏物語の場合にも当てはまるが、古典の世界では、とくに女性の名前は人前では呼ばれない。古典の原文では、きちんとした名前が表に現れることがほとんどない。それ故に、古典原文には、主語がない文章が多く、それなりに学習した経験がないと、動作の主体が誰が誰なのか分からなくなってしまう。
 それに比べると、英語では基本的に主語のない文はないので、意味が理解しやすい。

③解説が詳しい。

 今回、(日本語の)文庫本を読んでから、英語の「伊勢物語」を読んだ。
 文庫本にも脚注や解説はついていたが、一段ごとに解釈の仕方や学説が書かれてはいなかった。
 それに対して、ペンギン版「The Tales of Ise」には、伊勢物語の一段ごとの英訳のあとにすべて、様々な学者の学説や、解説者であるドナルド・キーンさんの意見が書かれており、とても分かりやすかった。

 他の日本文学はどうか知らないが、図書館へ調べに行っても、意外と「伊勢物語」の解説書は少なかった。源氏物語の解説書は比較的多かったが、伊勢物語の解説書は数冊しか見つけることができなかった。

 本気で研究するならば、絶版になった古書なども集めるべきかもしれない。しかし、そこまでの気力はなかったし、集められたとしてもすべてに目を通すことはできないだろう。また、理解できるとも限らない。そういう意味で、わずか366ページのペンギン版「The Tales of Ise」は(嫌いな言葉だけど)コスパが良かった。

④ルビがふっていなくても

 文庫でも、専門書でも、すべてにルビがついているわけではない。
 文庫本を脇におきながら、対応する英語の箇所を見れば、読めない漢字も読める。当然のことながら、英語では固有名詞はすべてローマ字表記されている。 
 


結び

 本当は、"The Tales of Ise"に登場していて自分で調べてみた英単語の「語彙集」(glossary)を載せるつもりだった。調べた単語は、直接本に書き込んである。入力して記事にすれば、かなりの量になるだろう。

 いずれ記事にするかもしれないが、英語の記事は人気がない。
 「伊勢物語を英語で読む人のための単語集」なんて、どれだけ需要があるのだろう?
 私だけが「ふふふ😊」と思っていればそれでいいような気もする😄。

 とりあえず、残りの10ページを読んで、次の英語本に移ろうと思う。


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