見出し画像

「 夏の季語 」のトリビア😎

 だんだん暑くなってきて、夏を感じるようになった。ついこのあいだまで、桜の花が咲いていたはずなのに。
 この前、散歩していたときに、じゃがいもの花が咲いていた。

じゃがいもの花

 今では一年中食べられる野菜が多いから、旬がいつなのか分かりにくくなっている。
 最近読んでいる「季語ものしり事典」(新海均 [ 編 ], 角川ソフィア文庫)によると、「馬鈴薯の花」は夏の季語。
 じゃがいもの花は、マリー・アントワネットがこよなく愛した花だそうだ。薔薇でも、百合でもない。「じゃがいも」の花というのは意外な感じがする。舞踏会でも好んで髪飾りにしたという。

じゃがいもの花に言霊ねむりけり
           佐藤鬼房

 また、「野菜の花つながり」では、「玉蜀黍🌽」(とうもろこし)の花も夏の季語。花盛りの雌しべには、シルクのような光沢があり、「絹糸」(けんし)とも言う。コロンブスがヨーロッパに運んだ当初は、絹糸を鑑賞するために栽培されていたようだ。日本へは16世紀にポルトガル人によって持ち込まれ「なんばん」と呼ばれた。

兵散つてたうもろこしの花浄土
         金箱戈止夫

新海均「季語ものしり事典」
角川ソフィア文庫

 ところで、不勉強で、こういう季語もあるのか!、初めて知ったのが「○○忌」という季語。夏に亡くなった方々が季語になっている。
 広島の原爆で亡くなったことを表す「広島忌」「原爆忌」「平和祭」。
 葛飾北斎の「北斎忌」、太宰治の「太宰忌」「桜桃忌」、森鷗外の「鷗外忌」なども夏の季語になっている。
 「河童忌」は芥川龍之介。

道と道しづかに別れ原爆忌
          川口真理

物干しに富士やをがまむ北斎忌
          永井荷風

鷗外忌父鷹揚となりにけり
          小林貴子

水洟や鼻の先だけ暮れ残る
         芥川龍之介

この記事が参加している募集

スキしてみて

国語がすき

記事を読んで頂き、ありがとうございます。お気持ちにお応えられるように、つとめて参ります。今後ともよろしくお願いいたします