見出し画像

【感情紀行記】夢の起点

 自然体験とか学習的なものを重視していたのか、たまたま機会がなかったのか、興味がなかったのかはわからないが、幼少期においてほとんど遊園地とか、ディズニーというものに触れてこなかった。初めてディズニーに行ったのもディズニーに詳しい友人家族に誘われていったくらいだ。そのような幼少期を過ごしたからなのか、遊園地とか、アトラクションというものに興味がないどこか、嫌いであった。高所恐怖症であるのも一因であるけれども、鶏が先か卵が先かわからない。

 そんな自分が中学以後、ディズニーにどハマりした。きっかけは、小学校卒業の時に同学年の友人たちと家族で行ったことだ。朝から始まり、忙しく動いていた。長時間立って待つのも得意ではないので割と辟易としていた。転機が訪れたのは夜だ。ぬいぐるみなどが好きで、初めて行くディズニーシーを本などで予習していた自分はどうしてもダッフィーと言われるディズニーシーで生まれた熊のぬいぐるみが欲しかったのだ。少し離れたエリアにしか売っていなかったので、一緒に入園した友人たちと離れお店へと向かった。雑誌で見た赤い建物の中には、所狭しとダッフィーが並んでいた。初めは手に手に入れられればよかったものの、母親からぬいぐるみ一つ一つの顔の違いを教えてもらい、吟味した。数分吟味した後に、その中の一帯を選び、購入した。

 ケープコッドと呼ばれる港町を再現したエリアから、ディズニーシーの中心的なエリアである、メディテレ二アンハーバーへと進んだ。肌寒い冬空中、あまり直接的に触れ合ってこなかった母親と、中学で離れ離れになる友人たちと会うために歩いていく。出会ったばかりのダッフィーを抱きしめ、温かみを感じた。海外に行ったことのなく、初めて見るような異国情緒あふれる夜景が開け、今までに感じたことのない感動と言葉にできない多幸感に襲われた。幸せの代名詞のようなそんな情景にうっすらと涙が出たが、母親にバレないように拭った。

 人工的な遊園地で、人間の幸せを作ることができるのかという驚きから、ディズニーにどんどんとハマっていった。そこから、キャラクターにハマり、ショーにハマり、幸せの場面を切り取るべくカメラを買った。写真も極め、沼へと引き摺り込まれた。今の人生を振り返るとすれば、ある意味小さな転機はあのダッフィーと情景にあったと思う。冬になると思い出す、そんな思い出である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?