ショートショート「連想ゲーム」
ここは、とある三流大学に通う学生の部屋。
想像していただきたい。
3人もいれば湿度80%を叩き出しそうな男たちが6畳一間に集まっている。
「いいか。
俺は、このマイナー極まりない己の大学の名を全国に知らしめる為、大学生活の精力すべてをこれにつぎ込んだと言っても過言ではない。国営放送だ、国営放送だぞ。俺たちはこの国営放送の有名クイズ番組「連想ゲーム」に出場できる権利を得たわけだ。」
山郷法科大学 ーーー
この息巻いている男が通う大学だ。
名前から見てもどの都道府県にあるのかも分からない。おそらく、県庁所在地の駅からは程遠い、私鉄の各駅停車駅からバスで30分くらいかかりそうな場所にありそうだな。
というイメージすらある。
大学の場所も知られてないのに、唯一知られている事とすれば、法律に特化した大学にもかかわらず偏差値は38程度で「名前が書ければ入れる法学部」というキャッチフレーズを付けられたことだ。
「よし、練習をはじめるぞ。
「連想ゲーム」名物、ワンワンコーナーだ。
このコーナーは出題者から与えられる問題に、擬音語、擬態語を2回繰り返して回答する、一番の盛り上がりを見せるコーナーだ。
よし、俺が出題者となって、吉田と山崎に順番に出題する。では吉田から、いいな。」
「小川」
「流れる」
「さらさら」
「定番だな。まぁいいだろう。」
「緊張」
「他人行儀」
「よそよそ」
「…え、よそよそしい、とは言うけど
それ擬音語か??」
「気持ちいい」
「この上ない」
「シコシコ」
「こらーーー!!!
それはお前が朝晩ヤッてるやつだろうが!
国営放送!国営放送!!」
「じゃ、次。ピンポン」
ーーーーーーーーー ピンポーン。
「先輩、本当にピンポン、誰か来ましたよ。」
「国営放送でーす!
いらっしゃいますかーー!!
受信料の徴収に参りましたーー!」
「ヤベぇ!!お前ら、あとは頼んだ。
俺はベランダから逃げる!」
「ちょっ!!!!先輩!!!待って!!!
ここは5階・・・」
「あーーーーーーーーーーーーーー!!!」
(fin)