働くということ 総合職女子から専業主婦へ 〜隣の芝生は超青い〜

職業欄のある書類を提出するとき、それがたとえ任意のアンケートのときでさえ、「無職」と申告することに慣れない。

新卒で入社した会社を7年半で退職し、パート勤務へ。妊娠がわかり、お腹が大きくなってきた妊娠7ヶ月でパート先を退職した。

私はいわゆる就職氷河期世代で、真っ黒のリクルートスーツを着て、やっと獲得した内定。
私の周りは性別関係なく総合職を希望する者が多かった。私も大多数の友人と同じくして、「転勤できます!長く働いて御社に貢献できる人材に!営業いきます!」などとアピールした記憶が…。

新卒で入社した会社は、数年前までは女性の総合職採用をしていなかった。業界的にどうしても男性イメージが強い業界だったので、そこまで差別的な意図はないのかもしれないが。

最初の配属地であった地方から首都圏への転勤が決まったのが入社5年目のとき。
この転勤を機に労働環境について悩むようになった。

それは圧倒的な男女比率の差である。
転勤後の職場はワンフロワに80名程の社員がいる環境だったのだが、うち女性は当時5〜6名。
新卒が配属されるような部署ではなかったので、男性の平均年齢は40代。管理職がうじゃうじゃいる少し特別な部署。
目立つつもりもなく、むしろ目立ちたくはないのだが、何となく常に目立っているような、見られているような感覚があった。

入社5年目、若手から中堅社員へ差し掛かり、最初の役職への昇進に差が出る頃だった。総合職だから、飲み会の誘いも仕事!という謎の思い込みもあって、おじさん達の中にぽつんと女性ひとりという場面にも耐えた。楽しさ1割、めんどくささ9割で過ごすのに、翌日出社したら「昨日はありがとうございました」と始業前に声をかけて回る。今思えば、よくあんなに面倒なことしていたな…と思い出すだけで苦しくなる。

仕事自体はやりがいを持って楽しめていた。が、ここでは書けないような、精神的ダメージを受ける事件が発生し、引き継ぎもままならない状態で退職した。謎の「総合職プライド」で飲み会に参加してたくらいなら、退職時の引き継ぎこそ社会人としてちゃんとしろよ!!なのだが、当時はそんなこともできないくらい会社を信用できなくなり、職場にも行けない状態だった。

私が正社員の職を退いたのは予想外のきっかけだったが、あの職場環境で昇進しながらガツガツ働けていたか?と問うときっと無理だったとおもう。
私は大学生時代に思い描いていたキャリアウーマンにはなれなかった。就職活動をするとき、やりたい仕事をイメージすることはできる。けれど、社会に出て働くとき、仕事内容よりも、その職場環境に順応できるか、人間関係に恵まれるかということの方が私にとっては重要なのではないかと感じた。
それなのに、外で働くことが大変なことはわかっているはずなのに、いざ専業主婦となり職業欄「無職」で過ごしていると、それはそれでモヤモヤとしてしまうのだ。

昨今、結婚して子供ができても働く女性像がスタンダードとなってきている。わたしはまた大学の就職活動時に、周りと同じく総合職を希望したように、「子供ができても働いている状態」にならなくては…と焦っている。

必死に頑張っているワーキングマザーや、様々な理由でひとり親となり奮闘している方々に比べて、子供と過ごせる時間は格段に多いわけで、我が子の成長をいちばん近くで見ることができるこの環境はとてもありがたい。子供がいる毎日は当たり前ではなくて、特別な毎日だということを忘れたくない。心穏やかに、育児に集中できるこの日々を大切に感謝しながら、今は毎日をこなすことにいっぱいいっぱいだけれど、時々は1年後、5年後、10年後の自分をイメージする時間を持ちたいとおもう。

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