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「人間辞職宣言」未来のイブ

"暗鬱たる偶像よ、私は世を避けてあなたと一緒に暮らす覚悟を決めた!私は人間を辞職する"1886年に発表され、アンドロイドという呼称を初めて使い、後のSF作品、近年では押井守監督の映画イノセンスに強く影響を与えている本書は、約130年前に書かれたにも関わらず古さは全く感じさせない‬。

個人的には、古典SF好きとしては以前から読まなければ!と思いつつ、ようやく今回、齋藤磯雄訳で読んだのですが。これが良かった!当時流行の【脱魔術、ヘーゲル主義】そして【発明王エジソンの電話や電球】といった思想や発明がどのように社会で受け止められてきたかが、時代がかった文体だからこそよく伝わってくる気がしたので。

また肝心の内容に関しても(細部の描写はともかく)全然古くなく、むしろ100年以上前にも関わらず、最近の【不気味の谷】や【シンギュラリティ】といったロボットやAIで話題になっていることが既に予見されているのにも驚きました。著者自身は没落した名門貴族の末裔として、"殴られ屋"を生業とした赤貧の生活をしていた様ですが、どういった心境やキッカケで本書を書いていたのか。何とも想像してしまいます。

古典SF【攻殻機動隊】好きの誰かに、また人間と人工生命との関係性を描く作品が好きな誰かにオススメ。

PS:イケメン名門貴族すらまさかの「人間辞職宣言」(な!なんだって!!)をさせる本書のアンドロイドのツンデレ的魅力が炸裂です。ええ「可愛いは正義」相手が人間かどうかなんて軽く超えるのです。あと文中では触れてませんが、魔術師エジソンの中二病感も素晴らしい。

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