そこは色彩が混ざり合う空間
会場についた。
頭の上から、笑い声がする。
心臓がバクバクと不穏な音を立て、それまで乾いていなかったはずの口の中が干上がった気がした。
ああ、来てしまったのだ。本当に。
ここに。noハン会に。
微かに強張った足で階段を上る。一段間違えて、あれ、と首を傾げた。
声がするのはその上の階だったので、ああ間違えたか、と再び階段へ。
見つけたのは可愛らしい看板。Twitterの写真通り。
黒いドアを見つめて約1秒。ぴしっと音を立てて固まっていたところを、ドアから出てきたおまゆさんの夫さんに救われた。
ドアをくぐって広がった空間は、音楽と明るい声に満ちていた。
ーーあれ、なんだろう。
それまで歩いていた住宅街とも、人の多い駅とも違う空気が、そこに見えた気がした。
それは火花だろうか。ーーいいや、違う。
それを深く考えるより先に、足が、人に向かっていく。
おまゆさん、Kojiさん、はるさん、原口あゆみさん、香嶌一伽さん
参加したnoterの皆さん。
今まで、会ったことのない人達。
だけどきっと、魂の色が似ている人達。
涙が、出そうだった。
胸がいっぱいになってしまって、どうすればいいのかわからなかった。
ーーああ、やっと。やっと会えました。
そう、声に出さなかったのが奇跡だと思うほど、私は今までずっと「自分と似た色の人」に実際に会いたかったのだと、その時、気づいた。
・ ・ ・
kojiさんの、生き生きとしたブックカバーとイラストたち。
香嶌一伽さんの、きらきらと自分から輝くアクセサリーたち。
原口あゆみさんの、不思議な存在感と力を放つ石達。
そして何より、noterさんたちから滲み出す色、色、色。
私が扉をくぐって圧倒されていたのは、ものと人が発する「色」たちが優しく溶け合い、それでいて確固として独立していることだったのだ。
私はnoハン会へ行く直前のnoteに、「美術館に行くような気分」と書いた。
あれは間違いじゃなかった。だけど全然、違った。
私が赴いたのは、「庭園」だ。
数々の花たちが成長して咲き誇るように、どこまでも続き成長し、果てしなく広がる色彩の世界。
以前書いた通り、数々のドラマがそこにはあった。
けれど、「語りかけてくる」なんて、とんでもない。
それは「勝手に見えてきた」。
最初に「火花」という言葉が出てきたのは、闇の中で鮮烈に瞬く火花のように「強い」というイメージに触れたせいだったんだろう。
けど、火花のようにバチバチと激しいものでは全くない。
強い色達は広がって、包んで、溶け合って、さらに大きくなって。
何か、とても素晴らしいものが新たに生まれる――。
そんな予感を覚える、とてつもないエネルギーを宿す大きさになって。
私は令和元年8月25日、あの場にいたことに、今もまだ感動を覚えている。
・ ・ ・
そして、感謝をしなければいけない。
Kojiさんのおかげで、「天と地の火の祭」がこの世に生まれたこと。
小冊子に、自分の物語が載っただけじゃなく、それがnoterさんたちの素晴らしい作品に囲まれていたこと。
noハン会を支えてくれた、たくさんのnoterさんたちのおかげで、「千羽はるの世界」に、ちょっぴり自信が持てたこと。
noハン会は今一度、「千羽はる」がこれから先、どういう世界を描くのかを振り返る、一番大事なきっかけになったこと。
言いたいことが、本当にたくさん、ありすぎて。
だけど、実際の私は口下手で、この口から出る言葉はあまりにも貧相過ぎて、歯がゆかった。
ここで書いている今も、あの場で皆さんに伝えたいこと、知ってほしいこと、たくさんあったのに……と、悔やんでいる自分がいる。
だから、私はここで文章にする。
随分、長くて下手な文章になってしまったけれど。
「noteハンドメイド交流会」は、とても心地よく、刺激に溢れた庭園だったことがほんの少しでも伝わってくれれば、嬉しい。
読んでいただきありがとうございます。 頂いたサポートは、より人に届く物語を書くための糧にさせていただきます(*´▽`*)