マガジンのカバー画像

月の手紙

14
月をテーマに綴りました
運営しているクリエイター

記事一覧

月の手紙

月の手紙

私がここで綴るわけ
無常の過去を曝け出す
理想と違う今を消す
ひとりよがりの
言葉たち

じぶんぎらいが
消えてゆく
その場限りの
麻薬のよう

ただのいいわけ
それだけが
こころ優しき人たちの
もとへ行きつき
すくわれる

悲しみは
二分の一に
分かち合い
嬉しさは
不思議と二倍
増え続く

そんな想いの欠片たち
言葉に乗せて雲の上

そして誰かの言葉に
助けられる
そうなのかも知れません

月の手紙

月の手紙

月に託す願いは
どこかでみているあの人に
ちゃんと届く
そう信じていた

果たせないままの約束
そんなものばかりが増え
空を仰ぐ

また俯くと
暗くなった画面
そこに写ったのは
自分
なんて顔だ

月が見る私は
あの頃から
変わっていないのだろうか…

おもいゆき

おもいゆき

降る雪の
数は誰かの
嘆きごと
積もりゆく手を
灰色に塞ぐ

重くのしかかり
足元に絡む雪

どこかツイていない
日々のそれが
空に向かって投げた
いつかのそれが

音もなく
自分に帰ってきたようだ

重い雪
時も温もり
想い行き

月の手紙

月の手紙

仕事帰りに
見上げる夜空
弓張り月と
一際明るい星ひとつ
とりわけ平場の私には
想いも届くはずもなく

あなたがそう見えるように
あなたがそう感じるみたいに
私の手のひらもからだも
暖かくはないのですよ

あなたがそう見えるように
あなたがそう感じるみたいに
私は彼の方から遠く
よりあなたに近いのですよ

あなたの常套句は
おもいすごし
そうきこえるのです

月の手紙

月の手紙

朝陽に追われ
逃げ戻る
見上げる空に
古めかし
私の気持ち
月模様

冷たい朝
川の水面に映る朝焼けを
見上げる
そこには小さく
朔に向う暁月が朝陽から
逃げる

現実を見たくない自分のようだ
昔からある私の癖

月が欠けているのではなく
ひかる場所が見えていないだけ

あなたの影が私のひかりを隠している
ただそれだけ

満月だけが好きなあなたに
教えてあげたい

あなたが望む完璧さは
私にはない

もっとみる
秋冷

秋冷

いちばん近くのあの星に
いちばんの願いを話かけ

庭で奏でる
虫たちも
静か
見上げる同じ月

会員証頂きました
ありがとうございます…

月を見た

月を見た

どれ程の人が同じ時間月を見たかな。

月に視聴数があったら面白いのにな。

あ、有名人の〇〇さんログインしたよ!
今月見てるって!
なんてね。

ここで見ている月もそこで見ている月も同じ月なんて信じられないな。

月の地上では雅な音楽に合わせて、兎たちが餅をついているんだよ。

かぐや姫様、今日は日差しが強いですね。
今宵の地球は新月です。
無数に見える光の点はあの者たちの瞳でしょうか。

なんて

もっとみる
夜雲

夜雲

十六夜の月も
まだひかり強く
流れる雲は
隠れ場所知らず

薄曇り
月のひかりが
あればこそ
夜雲移りゆく
時を露に

孤独の色

孤独の色

そう感じるのは
ひかりなき世界の色

そんなはずはないと
もがいても否しても

誰かが決めたその色は
闇に消される鮮緑なのだ

私の中にいる
遠い日のあなたは

何も躊躇うことなく
足りないことだけ求めて

そんな私もあなたも
孤独の色をしていた

十三夜の月は
後の月

満月の次に綺麗だと
言われる月です

その次で
いいのと消える
こえ微か
後の月には
かげも孤独で

月の手紙

月の手紙

小望月

私の小さな思い出を
月に小さく刻みましょう

小さな小さな望みでも
叶うと信じて生きるから

あっという間の夏休み
勇気を出して誘う夜
あなた手には線香花火
私の手には蚊取り線香
そっと静かに火を点ける

青い思い出
浮いてきて
恥ずかし頬を
赤らめる

あの頃のうた

月の手紙

月の手紙

会いに行くのは想いだけ
月が導くその先へ
届いて欲しいと願うだけ

あなたへ続くこの道に
想いだけでも伝えてと
乗せて願いを月は導き

月も短夜急いで光り
ひとり酔う酒覚まさずに

日々様々
人とモノ
時間と想い
そこに浮き出る模様は
その時々だけ

今日も笑っていられた
大丈夫…

月の手紙

既朔
見上げる空
ひと張りの弓
そこから放たれるひかり
時に優る人の言葉

嬉しいと思う気持ちは
溢れていると思っていた
繊細な気持ちに焦点を合わせる
そんな言葉を見つけられないまま
ひかりわずかな既朔の月は姿を消す

月の手紙

光の当たらない地球の裏側に
月の力を借りてあかりを伝える
私の気持ちも
月に向かって伝えれば
会う事も話す事も出来ない
あなたに届きますか
伝わりますか

お月様同じ空を眺め
同じ月を見ているあの人に届く様に
どうか私の思いを
映して下さい…
そして伝えてください…

月の手紙

月の手紙

満月と地球の
間にある雲
何事も無いように
僕の見上げる顔を覆う

でもわかるんだ

決して雲には気づかない
僕たちの引力を