「ドライブデート」 vol.3
二人して、雪山に向かっていた。
スキーは、SAJ1級を持っている彼女の方が上手かった。
「運転手は僕だ車掌も僕だ」って感じで、ひたすら運転していた。
パジェロのショートボディは、雪山走行には長けていた。
ブロックタイヤにタイヤチェーンを巻き付けて、
ガツガツ登っていく頼れる存在だった。
定番のユーミンを聴きながら、スキー気分を車内で味わっていた。
いざスキー場に着くと、徹底したスキー教室が待っていた。
何度も言うようだが、彼女の方がスキーは上手かった。
自分の滑りは、変な癖が付いていて、ショートターンが上手く出来ない。
徹底してレクチャーを受けるのが、冬の雪山デートの定番になっていた。
「もっと真っ直ぐに落ちるように」「そこは真っ直ぐに板を揃えて」
粉雪が降るナイター営業のゲレンデ、屈託ない笑顔で懸命に教えてくれた。
「そう、そう、はいターン」「そこで、ストックは使わない」
怒られたり、褒められたり、やさしく言われたり、強く言われたり、
様々な声たちが、雪山にこだました。
お陰様で、かなり癖もなくなり上達した気がした。
レクチャーが一頻り終えると、彼女は自分が滑りたくて、
上級者コースへと上っていった。
約15分後、息一つ切らさないで彼女が目の前に戻ってきた。
「あー、楽しかった」と、笑顔で彼女が言った。
こんなに早く、あの高い頂から滑り降りてきたとは、凄すぎる。
と、心の中で思いながら、清々しい笑顔がとても可愛く見えた。
夜は就寝タイム、一つのベッドで手を握りながら、即就寝してしまった。
いつもの雪山のドライブデート、何も変わったことは起きない。
今でも、雪山へ行くとレクチャーしてもらった声がこだまして
聞こえてくる。
「きれいにターン、出来てたよ」「もう10本、頑張ろう」
意外と体育会系でスパルタだった。
ぐっすり眠れたせいで、帰りのドライブも事故なく無事に
帰ることが出来た。
「ありがとう」
帰り際にキスして、別れた。
ペンションで使った、ボディソープの香りがした。
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