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コメディ礼賛 (6)TVコントショー「サラリーマンNEO」 悲哀を自虐に、そして笑いに

NHKで深夜番組「サラリーマンNEO」が始まった頃、真剣に怒っている知人がいました。
「公共放送が、あんな『おフザケ番組』を垂れ流して!」
この人は《お笑い》にほとんど理解がありませんでしたが、いわゆる《会社員生活》を経験していなかったこととも「アンチ」と関係しているかもしれません。
まあ、NHKもそうした「アンチ」の存在は意識していたとみえて、放送はずっと《深夜枠》でした。

その後番組にあたる「LIFE!〜人生に捧げるコント〜」は、もっと早い時間に放映されています。内村光良を中心としたその番組ももちろん面白いのですが、基本的には「東京03」や「ジャングルポケット」が演じるショートドラマ化したコントと同質です。

一方、「サラリーマンNEO」「会社組織」という「日常」を切り取っており、会社員生活の長い私は、なんといってもこの番組のファンです(でした)。
この番組は、《サラリーマンの悲哀》を理解し、《自虐的》に寄り添い、かつ揶揄からかって、徹底的に《笑い》を獲ろうとしていました。
しかも、「サラリーマンNEO」は、いわゆる《お笑い芸人》をまったく使わず、当時はあまり名を知られていない俳優ばかり起用していた。

最も有名なコント・シリーズが《セクスィー部長》でした。
《サラリーマン社会の不条理》を感じさせる場面で、妙な腰つきで現れる色香恋次郎(沢村一樹)が、脇の下からフェロモンを振りまきながら、クレーマー系やわがまま系《美女》を悩殺し、《平和裏に》事態を収拾する。

なにせ、
➀不条理を解決する。
➁美女を悩殺する。

という、男性サラリーマンの《理想と夢》を具現化してくれるのですから、人気が出ないわけがない。

ただ、私が個人的に最も好きだったのは、
・博多よかばい食品物語
・サラリーマン体操

のふたつです。

《よかばい食品》は、田口 浩正、入江雅人、野間口徹という福岡県出身の男優たちが、コテコテの博多弁を使いながらローカル企業の製品開発戦略などを馬鹿馬鹿しくも真面目に議論したり、東京に売り込みをかけたりするコントです。
毎回、会社スローガン、
「味もよかばい 値段もよかばい よかばい! よかばい! よかばい食品!」
と掛け合うのも、なんだか《朝礼》で社訓を唱えたりする《昭和》の企業を彷彿させて笑えましたね。

残念ながら、《博多よかばい食品物語》の動画はありませんでした(類似の商品があるからでしょうか?)ので、出演者が重なる別のコントを埋め込んでおきます。
でも雰囲気は相当違うんだよね。本当に残念!

さて、《サラリーマン体操》です。
スタジオはどうやら《ラジオ体操》で使われるものらしいのですが……、サラリーマンにとって重要な《トレーニング》の指導をしてくれます。
マッサージで面の皮を鍛えて厚くする、《危機回避体操》と称して土下座して謝る練習をする、など、これは本当に《自虐》!
《パロディ》を理解しない人は怒りだすかもしれませんね。
本当に土下座させたれた経験のある人も笑えない番組かもしれません。

リモート勤務などが増えた昨今、《勤め人》のパロディも変化していくのでしょうね。


【同日17:00付加】
Noter様から、「大いなる新人」ネタが記憶に残っている、というコメントをいただきました。これも確かに面白かった!
平泉成が22歳の新入社員というオドロキの設定で、社内外が引っかき回されるという内容。《組織の中で、人はいかに見た目で判断されるか》という《教え》でしょうか。っていうか、現実にはさすがにあり得ませんが……。「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」の中に出現します。
ちなみに、(笑)まで含めて正式表題です。

さらに重要なことを忘れていました!
続編を書きました(↓)。

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