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みじかいやつ

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300字未満の短い読み物
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記事一覧

140字小説「登校」

140字小説「干潟」

掌編小説「舞い散る」(100文字)

宮廷画家だった妻は、王室からの依頼で遠い東の国へと旅立った。 しばらくして帰って来たのは…

掌編小説「双曲のトワイライト」(260字)

宮廷音楽家である父の命令に従い、諸国を回り修行を積むこと早十年。 帰ってきた私のフルート…

掌編小説「悪夢」(80字)

夢を見た。全てを失う夢。 地位も、富も、愛する人も、なにもかも。 目を覚まして理解する。 …

掌編小説「カレーを作ろう」(200字)

女のカバンから出てきたのは、廃棄寸前の見切り品ばかりだった。 古くなった人参、色の悪くな…

掌編小説「涙橋」(300字)

江戸にまで噂の届く、大工泣かせの涙川。常識外れのその急流、幾人の名工が挑んで橋の一つも架からねぇと来た。くやし涙を飲み込んで、川の流れはさらに勢い増すばかり。 白羽の矢が立ったのは、江戸の若い大工、清太郎。清太郎には弟があった。元々体の弱かった弟は、流行り病で虫の息。 金が欲しい。弟に薬を買ってやるための金が。 そんな清太郎に、親方が話を持ってくる。 涙川に橋を架けろ、清太郎。前金の二十両は今お前にくれてやる。これで弟に薬を買ってやれ。 泣いて喜ぶ清太郎、しかし一向

掌編小説「ロング・ドライブ」(250字)

秋を迎え、少し日が落ちるのが早くなっていた。 夜景が見たいと言われ、取得したばかりの免許…

掌編小説「かつての天才は」(150字)

生まれてすぐの頃から、周囲の言葉を理解していた。読み書きが出来るようになるのも、そう時間…

掌編小説「渇き朽ちるまで」(100字)

来たる食糧危機に備え、葉緑素を皮膚に埋め込む技術が開発された。 水と太陽光さえあれば、養…

掌編小説「花と散る」(200字)

君とは、あまりにも身分が違う。己は士族の長男として育った。しかしながら君だけが、己の草花…

掌編小説「モデル・スマイル」(300字)

娘のリコは楽しそうにクレヨンで絵を描いている。 私は夕飯の支度を進めながら、その姿を見て…

掌編小説「雷鳴」(200字)

街で小さな雷鳴を見つけた。 私を威嚇しているのか、此方に向けて唸っているように聞こえる。…

掌編小説「私の絵」(400字)

乗り物や動物ばかり描いていたから。ある時ママに「人間も描いてみたら」と言われた。 真っ白な画用紙に棒人間を何人か描いてみる。すると彼らの内の一人が、目も鼻も口もない顔で私の方を向き、「みんな同じじゃつまらないよ」と言った。 とりあえず、その子の手に、ペンを描き足してみる。 その子は嬉しそうに、手に持ったペンを使って他の棒人間たちを個性豊かにしていく。 ある子にはサッカーボールを持たせる。足にはピカピカのスニーカー。きっとすぐに土で汚れちゃうんだろうな。 ある子にはバ