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うたかたの日々或いは日々の泡沫

わたしの肺に睡蓮の花が咲いたらあなたに出会えるかもしれない、まるで悪い夢のようなきみに。

それを待っている、待ち合わせなどしなくても約束などいちどもしなくてもきっとそのひととは出会えるはずだなんて恐ろしい夢だ。

永遠に探し続けていたのに見つからない共通言語がたしかにそこにあったはずだったあなたは煙に巻かれて消えたCOPDのような咳をするきみを探せど見つからないのでわたしはまた夜道を徘徊する、宛てもなく。
そういえば吸っているのはアメスピだったかそれは感覚でしかないのに確信があることがこわい。

深いそして淡く死のにおいがするその待ち人とわたしはすれ違ったとて気づかないかもしれないし目が合った瞬間に絶対的であるかもしれない、或いは。
気配で同時に振り向くかもしれないその瞬間。

例えば。会ったことなどないのに知っているような感覚に陥ったときそれはとても危険でありこころが適切な位置にあるとは言い難いため自分の座標を見失わないように慎重に現在地を確認する必要がある。方位磁針がくるくる回っていたら立ち止まらなければならない、迷子にならないように。

例えば。言葉でこころに触れられて触れられたぶんだけ苦しくなってしまった瞬間それはもう後戻りできないというバイタルサイン、それでもあなたはこのまま生き続けますかこの賭けに勝つ自信は。脳内が語りかけるとともに自分の脳細胞が直感を感情として認識したことに後悔をするだろうおそらくは、知らなければ良かったとそれでも思う?

もし同時にお互いの存在に気づきもし寸分の狂いもなく同時に振り返ったとしてもコンマ数秒でいいからわたしより先に銃口を突きつけてくれることを願ってやまないのは死に急ぎ生き急ぐものの性分でありきっとあなたも同じだとしてそれが言葉を介さない共通言語となり得るのだとするならば。

そこにはもはや美しさなど欠片も必要ではなくただの刹那だけが空虚なわたしの脳裏に映る最期の残像ならなお良い

わたしは誰の墓にも入りたくないので火葬ならば灰になったりならなかったりした骨のかけらを海にできれば百道浜から博多湾に向けて撒いていただきたく思うし、土葬ならばどこかの土地を買ってその周りに365日枯れないようにたくさんの四季折々に咲く花を敷き詰めて永遠に咲き続けるようにしておいてほしい

それが叶わないのならばいま消えてもそんなに変わらないと思う
2度とできない恋が目の前にあるのにそれはとてもよく似ているから


𝓑𝓛𝓤𝓔 𝓜𝓞𝓞𝓝

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