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64歳リタイアおっちゃん。出羽三山の羽黒山の山伏巡礼体験で思う事。生まれかわりの旅。The Journey of Rebirth.

3月末で退職し、早2ケ月半となりました。

自分のこれまでの人生をゆっくり見つめてみたいな、と思っていたところ、とあるTV番組で、山形県鶴岡市は羽黒山での山伏巡礼体験の特集がありました。

「生まれかわりの旅」
自分の人生を変えることができる。
現生でもやり直すことができる、、、!
The Journey of Rebirth.

この言葉が、ストレートに心に響きました。


ネットで調べたところ、確かに年に何回か、山伏さんに同行し、羽黒山巡礼が開催されているとのことでした。

さっそく、山形県鶴岡市にある出羽三山の羽黒山のふもとの宿坊(山伏さんが経営している)にて6月開催の1泊2日の山伏巡礼体験に応募しました。

羽黒山のふもとに構える、宿坊「大進坊」の山伏さん(山伏の世界では先達とお呼びします)にお世話なりました。

全国から(今回は、福井、東京、そして私)6名の参加者がいました。

出羽三山というのは、月山、湯殿山、羽黒山の三山の総称です。
羽黒山は現世を、月山は前世を、湯殿山は来世を現し、三山をめぐることで「人生の生まれかわり」が果たせると言われています。


初日は、夕食に精進料理を頂き、身を清めました。
とても美味しく、日本海の鶴岡の美味しい食材にびっくりしました。

巡礼の支度をします。

いわゆる行衣(山伏の白装束、これは死を表すそうです)を着衣。
注連と呼ぶ、首に巻く環を身に付けます。
注連は、複雑に編み込まれ、背中部には鏡に見立てた特別な締があります。
この鏡は、災いに対し ”結界” を作る意味があるとの事でした。

山伏さんは、本当の鏡を背にまといます。


食後、7時を過ぎて、あたりが暗くなってから、夜の羽黒山 国宝五重塔で瞑想を体験しました。
提灯に明かりをともし、薄明りの中、五重塔を目指し歩きます。
法螺貝の音が、厳かな夜に響きました。
到着後は、先達のご指示で、好きなところに座り、一斉に明かりを消し五重塔に向かって瞑想をします。
真っ暗な闇と星空の元、、、。


色々な思いがこみ上げました。

じっくり自分の過去に・今の自分に向き合い、
そして、これからの将来を思いました。
私の人生は、人に(特に妻に)与えた苦しみ、、実に情けない、反省点の多い人生であったこと。
また、アスペルガーの母から受けた苦しみにもがき、妻に苦労を背負わせてしまったこと。
真実の自分の姿が分からず、心に蓋押して、偽りの人生、ごまかしの人生を送ってしまったこと。

もっと言うなら、自分の弱さに向き合う勇気がなかった根本的な自分の問題。
これに向き合ってこなかった!

暗闇の中で、瞑想しながら、涙が止まらなくなりました。

これからの行く末は、明るく生まれ変わりたいな、、と願いながらの瞑想でした。


翌朝は、
早朝のお勤め(御祈願)に参加させて頂きました。


行衣に注連を身に付けます。

宿坊にある神殿に向かい、祝詞を奏上しました。
この祝詞は、その後、山上で何回も奏上することになります。
初めての体験で、厳粛な思いになります。

その後、いよいよ、羽黒山の2446段の石段登ります。
普段は休憩が無ければ、1時間ほどの時間で登れるそうですが、
今回は、先達の案内で、3時間をかけてゆっくり登りました。

国宝五重塔で、
隣接する5-6か所の神々社殿で、
都度、先達の法螺貝に続き、祝詞を読みます。
自然、神に向き合う貴重な時間でした。

途中、石段のコースから外れ、整備のされていない沢を下り、中腹にある伊弉諾神社にて祝詞を奏上しました。
この場所は、太古からのブナ林の斜面で、目の前にはすがしい緑の木々が迫ります。

ここでは、先達の案内で、思い思いの場所で、瞑想の時間を満喫しました。鳥の声、沢に流れる川の音、風の音、五感が研ぎすまされるような時間でした。


山頂では、出羽三山神社の国宝三社合祭殿にて昇殿参拝、祈祷をして頂きました。
また、特別に、三社合祭殿の禰宜の方から、特別なお話を伺う機会もありました。本当にありがたいことです。

「人生で、苦しくて死にたいとか、やり直したいとか、自分の過去の行いを悔いているとか、なぜ生まれてきたとか、なぜ生きているのかとか、色々考えてしまうものです。
人生はやり直しがきかないと思うでしょう。
でも、魂は、輪廻転生をします。意味あって生まれてきています。
だから、生まれた命を最後まで大切にしたいものです。
皆さんは、出羽三山神社で生まれ変わりの旅を経験しています。
これは、現世で生まれ変われることを意味しています。
辛くなったり、苦しくなったり、絶望したり、色々なことがあっても、やり直せます。
出羽三山を巡礼し、生まれかわりの旅をしてください」

このようなお話でした。
私でも、生きている意味がある。
そして、現生でも生まれかわれる。
こう思ったら、涙が流れました。


2446段の石段を歩くことは、私の人生を振り返る、大きな山であったと感じました。

一歩一歩が自分の人生の生き直しであり、蘇りであり、生まれ変わりに繋がると信じて、人生も一歩一歩が大切なんだと、改めて感じました。

羽黒山 2446段の石段

江戸時代には、東国では、
・西のお伊勢参り、
・東の奥参りと称して、
両方をお参りすることが「人生の通過儀礼」の一つとされ、全国からの参拝者で賑わったと聞きました。

1泊2日の羽黒山巡礼の後の3日目は、来世を現す、湯殿山神社も参拝してきました。
赤い鳥居が素晴らしく、大自然と一体なったような気持ちで、心が明るくなりました。


前世をつかさどる月山は、7月1日が山開きです。
いつか月山神社に参拝し、
羽黒山、湯殿山、月山の出羽三山の巡礼を完了したいな、と思います。


私は、昨年のちょうど今の時期は、8ケ月間にわたり会社に行けなくなり休職していた時期、
妻と相談し、思い立って、伊勢神宮に参拝してきました。
外宮、内宮をゆっくり巡り、早朝のすがすがしさに心洗われる思いをしました。
私も、今回の旅で、西のお伊勢参り、東の奥参りが叶いました。

まだ、「生まれかわりの旅」の余韻に浸っている状態で、先の事はこれからです。


これからの残りの人生で、
何をするか、
どこに向かって生きるのか、
人生を見つめ直す、良い機会になりました。


皆さん、私の様に、色々有って気持ちの切り替えをしたいと思っている方には、もし機会がありましたら、出羽三山の羽黒山の宿坊に泊まって、山伏さんの巡礼の旅に飛び込んでみることをお勧めします。
きっと、非日常の体験が待っている事と思います。


<注釈>
五重塔の写真は、以前に訪問した時のものです。
今は、屋根の葺き替え工事中で、足場に覆われています。


最後までお読みくださり、ありがとうございました。



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