や〜っと来た金沢 ①

2023年4月3日 09:59

2年前、GOTOトラベルを利用しての金沢旅行が、直前になって、コロナ再悪化さいあっかでキャンセルに。あちこち周って来た私が、なぜか日本海側に1度も行った事がなく、
「私は日本海の土地とちに縁えんがないのかしら…」
ガッカリしていましたので、想おもいの募つのる恋人こいびとに再会さいかいする気分？エンジンのかかり具合は上々じょうじょう、下調したしらべも楽しかったです。

親友のような、ダメな後輩こうはいのような、気のいい弟のような、いつもの夫おっとを連れて、出発です。

★ 北陸新幹線ほくりくしんかんせん「かがやき」

全席指定の新幹線。

ファーストクラスのような軽食とドリンク飲み放題の「グランクラス」プレミアムシートがあると聞き、好きなのに列車れっしゃにあまり詳くわしくない私は「一生に一度、話のネタにそんなのにも、乗ってみたい」とトライしかけたんですが
「え、は？　往復おうふく4万円プラス？2人で8万円プラス？それに加くわえて普通料金もかかるぅ？え〜？…やめます！」
ムリ。高たかすぎますJRジェイアール。

◎ 金沢駅

★ 鼓門つづみもん

テレビや雑誌で散々さんざん見たけれど、やっぱり実物じつぶつは違いますね。胸むねが高鳴たかなる。

能楽のうがくの鼓つづみをイメージして、到着とうちゃくしたお客様きゃくさまに傘かさを差さし出す「おもてなし」が、金沢駅のコンセプトだそう。あら嬉しい。

☆ 噴水時計ふんすいどけい

巨大な駅舎に気を取られて見過みすごしがちの駅前の噴水ふんすい。が文字盤もじばんになっていて、小さな噴水ふんすいが文字盤もじばんになって形作かたちづくる時計とけいや「WELCOMEようこそ」などメッセージになる。なんか地味じみに健気けなげで好き。

◎ にし茶屋街ちゃやがい

金沢は昔から、お茶屋文化ちゃやぶんかがあり、歌や踊り、芸事で成り立っていた。芸者が行き交っていた時代の、その色いろっぽい佇たたづまいを、大切に遺のこしていていて、ほの灯あかりに三味線しゃみせんの音おとが聴きこえて来そう。日本海の風吹かぜふく都みやこの栄華えいがを今も感じられるのが、金沢人気なのですね。

★ 落雁らくがん　諸江屋もろえや

江戸時代末期えどじだいまっきから170年も続いている店。
どれも丁寧ていねいな仕事。
だが、私にはこの落雁らくがんの高尚こうしょうな味が今ひとつわからない。
「こちらも（試食ししょく）ございます。あ、こちらもどうぞ」
甘党の夫が勧すすめられるままに、じゃんじゃん食べて
「さすがに腹はらいっぱいだよ」
迷ってました。

たらふく食べた夫が、決めました。落雁らくがんの間にあんこがサンドした「万葉まんようの花」
パティシエの次女も（土産に）大喜びしてました。

★ 甘納豆あまなっとう　かわむら

こちらも人気抜群にんきばつぐんの老舗しにせ、朝から観光客がやって来ます。

2階の喫茶「ノマノマ」で、念願ねんがんのブレイク。

○ 私は、三種さんしゅの豆茶まめちゃセット

で、飲み終わった後、急須きゅうすの蓋ふたを開けてビックリ！

　↓ ↓ ↓ ↓ ↓

大量の蒸豆むしまめが。謎なぞだった小皿の粗塩あらじおは、これをつけて食しょくす。これこそ豆まめ、素すの豆まめの味。ホカホカな豆はかなりな量りょう、でも美味しい。

1階の売場うりばの奥の中庭なかにわイートイン席せき。水の中に椅子いすって、リノベーション時の斬新ざんしんな試こころみ？うっかり色々濡いろいろぬらしちゃいそう。豆、コロコロポッチャンって転がりそうなのに。

★ 谷口吉郎たにぐちよしろう・吉生記念よしおきねん「金沢建築館かなざわけんちくかん」

金沢が生んだ有名な父子、二代建築家のミュージアム。数年前に出来たばかり。父子おやこでありながら、違ちがいも美意識びいしきも感心しながら見てまわる。

○ 父・吉郎よしろうは、日本を代表するモダニズム建築の大家たいか。ホテルオークラのロビーや東宮御所とうぐうごしょ、国立劇場など名建築は数々。

谷口吉郎たにぐちよしろうは、金沢の由緒ゆいしょある九谷焼窯元くたにやきかまもとの家に生まれた。

でも、窯元かまもとは言わば頑固がんこな職人気質しょくにんきしつなはずだが、吉郎よしろうの父は、あの時代に家族も商売も放ほおり出して、長い船旅でヨーロッパに視察しさつに2度も行っている
「おいおい九谷焼くたにやきに託かこつけて〜〜」
今にして思えば、父からの新しものへの並外なみはずれた好奇心こうきしんは脈々みゃくみゃくと子から孫へと受け継つがれて行く事になる。

私が谷口吉郎たにぐちよしろうに驚いたのは、1930年代に彼は自宅に床暖房ゆかだんぼうをつけている。「実験だった」と記してあるが、1930年にそんな発想があったなんて。この人は画期的かっきてきに前まえのめりだったのだと思う。

○ 息子・吉生よしおはハーバード大を出て、打ちっぱなしコンクリートと水盤すいばんと緑みどりを使う。スタイリッシュと自然しぜんを融合ゆうごうする建築で一世いっせいを風靡ふうび。NYの近代美術館新館MOMAしんかんや葛西臨海水族館かさいりんかいすいぞくかん、金沢にも数多くの建築があり、この自身と父の「金沢建築館かなざわけんちくかん」の設計建築せっけいけんちくも、もちろん吉生本人よしおほんにんのもの。嬉うれしかったに違いない。

展示は撮影出来ませんでしたが、かなり専門的せんもんてきなものも多く、建築を目指す人のための設計図せっけいずや資料しりょうなども大量たいりょうにありました。

○ カフェ

コロナ対策のテーブルガードも、中央のほのかな灯あかりで素敵すてきに。小さなグッドデザインが全体をサポート。

★ 柳宗理記念やなぎそうりきねんデザイン研究所
（金沢美術工芸大学）

美しいデザインの鍋なべやキッチングッズでおなじみ、柳宗理やなぎそうりのデザインの数々が展示。無料です。（売ってはいませんでした）

優しいデザインの数々は、今の時代にも新しく感じられ支持されている。意外にも彼は、東京の原宿はらじゅく生まれでしたが、金沢で教鞭きょうべんを取り、96才で亡くなるまでデザインに携たずさわっていたと言う。センス際立きわだつ根ねっからのデザイナーだ。

★ 主計街茶屋街かずえまちぢゃやがい

柳宗理研究所やなぎそうりけんきゅうじょも、この辺りの寺町てらまちにあります。この裏手に文学的ぶんがくてきとも言いましょうか、人目ひとめを避さけた抜け道のようなコチャコチャした路地が多くある。泉鏡花記念館いずみきょうかきねんかんから「暗くらがり坂」「灯あかり坂」を通って浅野川あさのがわにかかる橋はしまで。忍しのんで歩く妙みょうな艶なまめかしさは創作意欲そうさくいよくを掻かき立てるのだろう。

◎ 浅野川あさのがわにかかる橋はし

◼️ 中なかの橋

★ 鈴木大拙館すずきたいせつかん

先ほど出てきた谷口吉生たにぐちよしおの建築。素晴らしい出来映できばえだ。外国での評価も高く有名で、ひとめ見ようと外国人客も沢山訪れていた。

仏教学者ぶっきょうがくしゃで禅文化ぜんぶんかを英語で世界に広めた。96才逝去。

彼の妻は、8才年下のアメリカ人・ベアトリス。ニュージャージー州の出身で禅ぜんの研究を同じくしていて日本で出会った。実子と養子、2人のハーフの息子を持ったが、61才で大拙たいせつらを遺のこして早逝。話にはあまり出て来ないが、禅文化ぜんぶんかの英語訳えいごやく、多分かなり彼女がサポートしたはず。

◎ 鈴木大拙館すずきたいせつかんの庭園ていえん

「わぁ！」
綺麗きれいに苔こけむした黄緑色きみどりいろのこんもりした世界に思わず声を上げる。誰もいない静寂せいじゃくの中で生命いのちが確かに息いきをし、まさに草燃くさもゆだ。黄緑色きみどりいろが彩度さいどのバリエーション豊かに輝いている様さまは万国共通ばんこくきょうつう。
「ああ」
言葉ことばなど必要いらない。

★ 甘味処かんみどころ　つぼみ　

ミシュラン2つ星の日本料亭「杉の井」の姉妹店。大人気店なので、週末はかなり並ぶそう。平日だった私達は、すんなり入れましたが、全席が女子、全員が葛切くずきり食べてました。人気店あるあるなのかしら、作り方が少し雑ざつな感じ。葛切りは確かに美味しいけど、器うつわがダサい。盛り付けにセンスが足りない。これ見たら京都人は、ちいと、笑わらうな。東京人とうきょうじんの私あたしも笑わろた。良い所も勿論もちろんあるのだから、ほんと勿体もったいない。まず初心しょしんに戻もどるべき店みせ、ガンバレ。ちょっと宣伝せんでんが過すぎるのだ。