「エルフ」は何を思い、何を感じた?『かたあしだちょうのエルフ』――絵本を思い出すところ#19
絵本の中の風景へ想いを巡らすとき、それを手にした幼い頃の記憶もまた、絵本の思い出の一部になっていく――そんな「絵本を思い出すところ」を編集者とカメラマンが探していきます。
勇敢なだちょう「エルフ」のお話。
黒く、力強い木版画は、
照りつける太陽が地面に落とした影みたい。
「エルフ」が知りたくて、
だちょうに会いに、やって来た。
本物のだちょうを、
目の前で見たことがある?
長い首をぐいっと伸ばして、
遠くを見つめる。
絵本から抜け出てきたような、その姿。
「エルフ」は何を思い、何を感じた?
だちょうに聞いたけど、分からない。
けれど、絵本を繰り返し読むことで
自分が「エルフ」の気持ちに
近づくような気がした。
大きな黒い目には、
何が映っているのだろう?
「エルフ」が見た空は、
どんな色だったのだろう?。
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『かたあしだちょうのエルフ』 文・絵/小野木学
鳥や獣たちと共に、アフリカの豊かな草原でだちょうの「エルフ」も暮らしていました。ある日、みんなを守るためにライオンと勇敢に戦い、片足を失ってしまったエルフ。生活がままならないエルフは、次第に草原の仲間たちから忘れられていきます。徐々に体が弱っていくエルフでしたが、こどもたちが黒豹に襲われると、なんとか助けてやらなくてはと思い、最後の力を振りしぼって戦います。やがて、エルフは木に生まれ変わり、その涼しい木陰で、動物たちは楽しく暮らしたのでした。
己の危険をかえりみず、こどもたちを助けたい一心で立ち向かうエルフの姿は、読む人の世代を超えて、深く心に訴えかけてきます。バオバブの大樹から着想を得たというエルフや、獣たちの生命力にあふれた形態の木版画は、動物たちにしっかりと向き合い描かれたことを感じる名作です。
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/3020009.html
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(撮影協力/だちょう牧場 並木屋 文・編集/齋藤侑太 写真/白井晴幸)
※だちょうの撮影の際には、牧場に許可をいただき、安全に十分配慮して行いました。
ポプラ社 齋藤侑太
1985年、茨城県生まれ。2012年、ポプラ社入社。営業職、社内デザイナー、幼児向け書籍の編集を経て、2020年から絵本の編集を中心に担当。
白井晴幸
東京都生まれ。2010年、多摩美術大学卒。作家として活動する傍らカメラマンとして本の装丁や風景、建築などを撮影している。≪Website≫