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本を開けば、いつだって行くことができる。『せかいいち うつくしい ぼくの村』――絵本を思い出すところ#14

絵本の中の風景へ想いを巡らすとき、それを手にした幼い頃の記憶もまた、絵本の思い出の一部になっていく――そんな「絵本を思い出すところ」を編集者とカメラマンが探していきます。



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一冊の絵本を読んだ。
そこにえがかれたアフガニスタンに実在する村、
パグマンはとてもうつくしかった。



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まちでくらす人々は、生き生きとしていた。
日本とはすこし異なる風景は、
ぼくの興味をかきたてる。



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絵本にえがかれたモスクという建物が、
東京にもあることを知った。



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モスクはうつくしく、
いままで出会ったことのない建物で、
ぼくはこれらを作りあげた人々の
文化や暮らしをもっと知りたいと思った。



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少年ヤモがおとずれた、やねつきのバザールは、
ぼくの暮らすまちのアーケード商店街のようだ。



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大声のにぎやかなくだもの屋さんは、
このまちにもある。



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お茶を飲んで一息ついたり、
バスに乗って家に帰ったりすることも、
ぼくの日常とおなじだ。



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パグマンの村にも、
ぼくの住む東京にも川が流れている。
この水が、はるか遠い村とつながっていた、
という事実は変わらない。



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犬はちょっと雰囲気が
違ったりするのだろうか?



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春になるとくりかえし見てきた桜の花も、
その風景がパグマンと重なっていたことを知れば、
うつくしさはあたらしいものになる。



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本を開いて、ぼくはいつだって
せかいいちうつくしい
パグマンの村に行くことができる。



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『せかいいち  うつくしい  ぼくの村』 作・絵/小林豊
アフガニスタンに実在する小さな村、パグマン。春は花が咲き、夏はさくらんぼやすももが実る、豊かでうつくしいところです。その村に暮らす少年ヤモは、戦争に行ったお兄さんの代わりに、父親といっしょに活気あふれる市場へ、さくらんぼを売りに出かけます。
パグマンの風景と、そこに暮らす人々の営みが生き生きとえがかれており、私たちから遠い国の生活が、自分たちの日常と重なるようなリアリティでせまってくる名作です。驚きのラストは、絵本にえがかれたパグマン村を愛すれば愛するほど、読む人に深い気づきを与えてくれます。https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/3440040.html

(文・編集/齋藤侑太 写真/白井晴幸 撮影協力/東京ジャーミイ


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≪東京ジャーミイ・トルコ文化センター インフォメーション≫
東京ジャーミイは、トルコ・イスラームの芸術あふれる日本最大のイスラームの礼拝場(モスク)です。2000年の開設以来、東京とその近郊に住むイスラーム教徒の心の拠り所として、またさまざまな文化的イベントが催される場として人々に愛されています。
住所 〒151-0065 東京都渋谷区大山町1-19
電話 03-5790-0760
見学のご案内 年中無休、毎日午前10時から午後6時まで一般の方々に開かれています。昼の礼拝、午後の礼拝もご覧になれます。
https://tokyocamii.org/ja/
ポプラ社 齋藤侑太
1985年、茨城県生まれ。2012年、ポプラ社入社。営業職、社内デザイナー、幼児向け書籍の編集を経て、2020年から絵本の編集を中心に担当。
白井晴幸
東京都生まれ。2010年、多摩美術大学卒。作家として活動する傍らカメラマンとして本の装丁や風景、建築などを撮影している。≪Website


★著者の小林豊さんが『せかいいち  うつくしい  ぼくの村』について語ったインタビューも併せてお読みください!★