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愛にイナズマ

半年前から、今年“イチ”たのしみにしていた作品
『愛にイナズマ』をついに観てしまった

やっと観れるうれしさと
終わってしまう儚さが半々

手取りはやく結論から述べると
『怪物』を超えて、2023年・私的1位

歴代の好きな映画と比べてもトップ5に入るほど
とにかく好き、そのすべてが。

上映中、生温かい涙がなんどもこぼれて
パンフレットをくまなく熟読して、また涙

以下、ややネタバレになりますので
ここまで読んで少しでも「観てみたい…!」となった方は
ぜひ、お先に映画館へ駆け込んでくださいな



この作品を一言で表すなら
“大切な人を今すぐ抱きしめたくなる映画”

そして、コロナ禍を経た“今”
このタイミングで観ることに価値がある映画


よくぞ揃ってくれました…
感謝感激…  というほどに俳優陣が豪華

W主演・初共演の松岡茉優・窪田正孝、
家族役には佐藤浩一・池松壮亮・若葉竜也の面々

さらには登場時間数分の役ですら、
仲野大賀・趣里・高良健吾とつづく
(ちなみに仲野大賀さんは初親子共演とのこと)

このキャスティングを事前に把握してから行くと
ぐんとハードルが上がってしまいますが、
その期待を優に超えてきてくれるので安心してください。


酒、カメラ、愛、家族、お金、神、雷
6つのチャプターからなる作風

これらはすべて “人の本音を暴く可能性があるもの”
と監督がパンフレットで綴っていた

一見くだらないように見えて
随所に“人として” 大切なことが埋もれている

言うなれば、人間ドラマエンターテイメント

赤の他人に夢を盗まれても感情のままに生きる
主人公・折村花子を筆頭に

堪えきれず、つい声に出して笑ってしまう
ハイレベルの会話劇のオンパレード


人間らしさをコミカルに、
だけど丁寧に

ちょっぴりクサイ演出を通して、
照れ臭い部分もあえて隠さずにマスクを剥がしていく


ただ笑えるだけではなく、
そのコミカルさの裏側には

“人間っておもしろいな・愛おしいな” と思える
人間力が詰まっている。


脚本がとにかく分かりやすいのに
それでいて秀逸で

グラスが割れる音や風景など
随所に“かみなり”の要素が散りばめられていたり、

映画の制作費としての 1,500万
バーのコロナ補助金としての 1,500万
父が完済した慰謝料としての 1,500万
特殊詐欺で儲けた汚れた金 1,500万 と

1,500万円という大金の価値を考えさせられる


“140分”
長いとは言えない時間の中で

松岡茉優のまっすぐさに連れられて
佐藤浩一の無口な優しさに触れて
池松壮亮の不器用な愛情を浴びて
若葉竜也の愛くるしさを感じて
窪田正孝の純粋さにほぐされる


昨今の卑しいニュースや社会の裏側を知り、
人が少しだけ怖くなっていたわたしに

人間はどこまでも魅力的で
イナズマのような恋だってありうるということ

どん底に落ちたとき、
それでもそばに寄り添ってくれる人は
一生物だということを教えてくれた


そして

ぜひ映画館で作品に触れて
ぜひパンフレットを手にして欲しい

なんてったって
松岡茉優演じる折村花子の撮影日記が読めるんですもの



この演出(?)が名案すぎるので
いつかどこかでオマージュするとここに宣言しておく

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