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PERFECT DAYS

公開は2023年12月22日だけれど
2024年映画初めにとっておきたくて我慢していた作品

鑑賞してから2ヶ月ほど経ちますが
おそらくこの先も何度か見返すことになると思うので
25歳の今のわたしが思ったことを記しておきたい


まず、

生涯映画に夢中になって生きてきた78歳のエネルギー

その監督に“作品の心臓”とまで言わせる68歳俳優


すさまじい。言葉が出ない。

そして、ヴィムヴェンダースが現役であるこの時代に
共存してくれてありがとう。

以下、ややネタバレを含みますので
また観ていない方は映画館に行ってから読んでいただけると



この作品を一言で言うならば
“平山というフィクションの存在をドキュメントで追う映画”

今まで色んなジャンル・作風の映画と
出会ってきたつもりだけど、初めての感覚

それでいて、
違和感なくスッと自分の中に入ってくる

これはきっと異なる文化で生きてきた監督の視点を
日本をよく知る俳優が演じているからなのだろう

そして
“演じる”という行為にこの世で一番真摯な俳優だからこそ
“平山”という人物がリアルだったのだろう、と



この作品を観る上で事前情報として
知っておいた方がいいなと思うことが1つだけあって

この映画は
The Tokyo Toilet(TTT)が起源であること

TTTは、
かのUNIQLOで有名なファーストリテイリング社長の
息子(現:取締役)が推進する

2018年にスタートした
渋谷区のトイレをリノベーションするプロジェクト

良くも悪くもあくまでこの作品は
そのキャンペーンの一貫なのです。

それはつまり、
主役は “平山”ではなく
あくまで “トイレ”だということを意味するとわたしは思う


これを知っているかいないかで
この作品を美しいと捉えるか、皮肉と捉えるか
大きく変わってくると思うので前述しておく



長々と書きましたがこれを踏まえた上で
それぞれがどう思うかというのは自由

私はこの作品を“美しい”と捉えた
というより“捉えられた”の方が適切かもしれない

これは今わたしが幸せで、満たされていることの証明



「現実ではこうはいかない」
「この仕事で本当にこんな生活が送れるのか、無理だろう」
「そもそも平山の実家は太いじゃないか、心の余裕が違う」

といった意見も多々目にするが、


そんなことどうでもいいと思えるくらい
まず一番に“日常に潜む美しさ”に目を向けられるくらい

今自分は幸せな境遇であるということを思い知らされる


そしてそれは過去に苦い経験をした裏返しでもある


約一年前、中学生からの長年の夢であった
“ファッション誌の編集”という職につけることができた

自分でもまさかこんなに早くこの夢が実現するとは
思ってもいなかったので、ちょっとだけ誇らしかった

でもやっぱり“好きなことで稼ぐ”のは想像以上に厳しく
その“現実”“理想”で飲み込めるほど

わたしはこの仕事だけに愛情を注ぐことは
できないんだなあと、周りとの差を思い知った


わたしは欲張りなので
“好きなこと”を仕事にしたい。

でも“好きなこと”は1つだけではないので
その1つによって他の好きなことが制限されるならば
それは違うと心のどこかで思ってしまう



自分のキャパを超えて頑張り続けた結果
手の抜き方は忘れるし、繰り返しのように見える毎日に
潜むイレギュラーな幸せに気づけなくなる

空を見上げることなんてなくなるし
満月には気づかないし
何を食べたいのかも分からなくなる

身を削って働いた結果
失った代償がでかすぎる

まもなく1年が経とうとしている今やっと
少しずつ本来の感情を取り戻しつつある



これからをどう生きたら
何をしたら
こんなに魅力的な人になれるんだろう


ということを考え、もがきながら
自分と自分の感情に素直に生きていきたい


そして欲を言えば
暖かい大人とだけ関わって生きていたい




p.s. 家の鍵いつ閉めてるの?

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