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大学生必見!!!大学院の研究室選び方講座(後編、実践編)

こんにちは、海外で現役ポスドク(生命科学系)をしておりますポス山毒太郎と申します。このnoteはあくまで毒太郎の体験を元に、偏見に基づいた感想を語っていく場です。ですのでほとんど統計値などは出てきませんので悪しからず。

今記事は”大学院の研究室選び方講座”の前、中、後編の後編にあたります。
前、中編はこちら。

これらの記事を先に読んでいただいた方が、本記事の理解もより進むと思います。よろしかったら別タブで開いておいて、後で読んでいただけましたら幸いです。

さて、前編では大学院進学を目指す学生様のモチベをあげ、中編では”いい研究室”を選ぶコツについて語ってきたポス山毒太郎ですが、今記事では実際にどのようなステップで研究室を選ぶのに至るか語っていきたいと思います。

同じ大学内で、大学院に進学する場合はそれぞれの研究室との距離も近いのでより詳細な情報を得ることができるでしょう。これは学歴ロンダ組ではなく、生粋のSラン大学生の大きなメリットです。今回は筆者のような、学歴ロンダ組に向けての側面が強いです。

また実際にはそれぞれの事情があると思うので、この記事ひとつでは皆さんの需要に応えきることはできないと思います。ですので、現在所属する研究室の先生に相談した上で、筆者の記事はあくまで読み物として読んでいただきますと幸いです。また研究室に行ったときの質問あるあるもまとめていますので、ご参照いただければと思います。


ではステップごとに語りたいと思います。

Step1. やりたい分野を選ぶ

前回、前々回でも言いましたが、まずはやりたい分野を大体でいいので選んでください。勿論ここで自分のやりたい分野が狭く決まっている場合は、その研究室に絞れば良いです。

Step2. 研究室を検索する

分野を選んだら、ネットで研究室のホームページをひたすら検索してみてください。自分の興味のある研究分野で検索してもいいですし、とにかくいい大学に行きたいと言う方は、ここと思ったSラン大学の当該学部のホームページからそれぞれの研究室を検索するのも良いでしょう。もちろん学会でこの発表を聞いて良かったなぁというのも全然アリです。

そこで業績やラボのメンバーなどを確認してみてください。ホームページによっては、卒業生の就職先を載せているところもあるので、就職を目指している方はここもチェックしましょう。

本来は研究室に連絡を取る前に、研究室の最新の論文をひとつ程度は読んでおきたいですが、ポスドクならともかく大学生でそこまでしなくとも良いと筆者は思っています。教授も大学生にそこまで期待してないと感じます。ただしどうしても特定の研究室に行きたい場合は、その研究室から出ている論文をしっかり読んでおきましょう。そちらの方がポイントが上がることは事実です。

現在所属している大学の研究室と同じ分野を選ぶ場合は、現在所属している研究室の先生に相談するのも良いでしょう。

Step3. 研究室に連絡をとる

ネットサーフィンをしていたら、気になった研究室がいくつか出てきたと思います。そうしたら研究室のボスにメールをしてみください。ここで一つの研究室に絞る必要はありません。大体ラボのホームページの”アクセス欄”、もしくは”メンバー欄”に載っているので、そこに連絡します。いきなり教授で大丈夫です。ただし「秘書に連絡してくれ」という場合もあるので注意しましょう。大体は研究室ホームページの”アクセス”とか”リクルート”などの項目があってそこに書いてあるはずです。

Step3.1 大学院生を募集してない研究室に興味がある場合

研究室によっては”大学院生を募集していない”と書いてあるところもあります。そこが、”どうしても”入りたいと思った研究室であるなら無視してメールするだけしてもいいと思います。その場合は流石に研究室から出ている論文を読んで、「これがやりたいです!!」というくらいの情熱的なメールを送りましょう。ただし研究室の都合(研究費等)もあった上で大学院生を募集していないので、ダメ元であることを忘れずに。

Step3.2 メールでの注意点

メールするときに大学院に進学後、博士号まで考えている方は、「博士課程まで行きたい」と言う旨をこの初回のメールで伝えるべきです。基本的に研究室は人手不足ですので、博士課程まで行くと言っている学生は欲しいはずです。

修士で就職を考えている場合は、初手のメールでは自分から言う必要はありません。おそらく聞かれると思いますので、聞かれたら素直に答えましょう。とりあえず修士進学で、その後は就職か、博士課程進学か迷っている場合も、聞かれたら素直に答えましょう。
 
正直、修士から就職のつもりで入っても、入ったら研究が楽しくて博士課程に進学することもあります。また逆に、博士課程まで希望で入ったものの、ラボが合わなかったり、研究が楽しくない場合は、修士後に就職する学生もいます。教授もそこら辺はよーーーくわかっているので安心してください。

当該研究室の論文を読んでいる場合は、”この論文を読んで先生の研究室に興味を持ちました”くらいを言っておくといいでしょう。すると教授からの評価も若干上がると思います。

よっぽど人気の研究室でなければ、やはり他所の大学から、自分の研究室を選んでくれるのは嬉しいと思います。ですので教授もきっとメールを返してくれるでしょう。ただ多忙である可能性もありますのでメールを見落としている可能性もあります。その場合は3−4日程度待ってもう一度メールして下さい。個人のgmailなどよりかは大学から支給されているメールアドレスから送るのがいいかもしれません。

Step 3.3 断られたら他の研究室を紹介してもらう

もし仮にある研究室の大学教授にメールしたところ、「ウチに大学院生の空きはないから無理」と言われた場合は、「同分野で教授のおすすめがあるか聞いてみる」のもありです。教授の人格によりますが、業界を知る教授がいい先生を紹介してくれることもあります。意外と皆さん親身に相談に乗ってくれるでしょう。そしてその紹介先の先生へのメールに、「ー教授に相談したら紹介されましたので先生にご連絡差し上げました」の旨を添えると先方の教授も無碍にはできないでしょう笑。

若手の教授にはめんどくさがられるかもしれませんが、ある程度成熟した研究室の教授は世話好きな方も多いです。若手のうちは恩は売るものではありません、買うものです(断言)!!

ある教授の紹介で、別の教授を紹介されて、そこに大学院生に入ったとします。そしてその後、学会でその教授に会ったら挨拶をしてお礼しましょう。誠実に連絡すれば、教授も誠実に答えてくれるでしょう。ただし相談して、変な教授を紹介された場合、そこが魅力的でなくても義理で連絡を取らないといけなくなる可能性もあるので少し注意は必要です。

話は戻りますが、教授の感触が良かったら研究室見学のスケジュールを決めて下さい。あなたが県を跨いで別の大学に見学に行く場合、複数の研究室を1日で見れるようにスケジュールを教授と決めて下さい。繰り返しになりますが、複数の研究室を並行して検討することは当たり前ですので教授にそのことを明かしても問題ないはずです。

 Step4. 見学に行く

そこで連絡を取り合ったらいざ見学!です。もしかしたら現在は筆者が学生のころと異なり、ZOOMなどでミーティングをすることもあるかもしれません。そこらへんは教授の言う通りにしましょう。
見学したら、教授と話したり、ラボの学生などと話すことができると思います。

教授や、ラボのメンバーに色々相談してみてください。

例えば、「自身が研究室に入った場合、具体的にどんな研究内容を行うことになるか」聞くのを筆者はお勧めします(前編、参照)。
ただし研究室に入る前の学生に、研究室の機密情報であるプロジェクトを教えてくれないこともあります。
また、ここで説明を受けても実際に入学するのは半年以上後です。ですのでいざ入ったら違うプロジェクトを言い渡されることもあります。
また教授によっては、「プロジェクトはお前が考えるんや、人に聞くな!!」という教授もいるかもしれませんが、ポスドクならまだしも大学生にここまで要求する人はあまりいないでしょう。

またあるあるですが、ラボのメンバーにはコアタイム(研究室にいないといけない時間)やラボミーティング、論文紹介(ジャーナルクラブ、JC)の時間を聞いてもいいと思います。9時−5時のラボなのか、9時-9時のラボなのか、はたまた9時−1時(午前)のラボなのか。ただし角が立つので教授には聞かないほうが良いと思います。

ラボの色によりますが、ラボミーティングが”毎週土曜日”にあったら、色々覚悟してください笑。土曜日に研究室に行くことが必須となります(それが悪いこととは言っていない)。流石に日曜日にラボミーティングがある研究室は聞いたことがありません。

また修士で就職している人がどれくらいいるか、とか博士で就職しているがどれくらいいるか(どこに就職しているか)とか、皆博士号を取れているかとか聞いてみてください。

またバイトをしている人がいるのかなどを聞いてもいいと思います。厳しい研究室ではバイトを禁止している可能性もあります。

また続いてお金の話関連ですが、ティーチングアシスタントのような形で研究室からお金をもらえるかも聞いてみるのも良いでしょう。

上級者向けとして、前回の記事でも述べた”学振DC採用者”がいるかどうか聞いてもいいと思います。ただし学振DC採用者がいない場合は、ラボメンバーから「どうせ俺らはDCには採用されてないですよ」と角が立つ場合もあるので事前に研究室ホームページで確認しておきましょう。ご注意を。

学振DCがよくわからない方はこちらの記事もどうぞ


逆にラボメンバーから色々聞かれることもあると思います。筆者が見学に行った時は、やたら威圧的な先輩がいましたが、入学後に聞いてみると「威圧的にしても来るような根性のある奴に来てほしかった」と独自の理論を宣っておりました。その時に「いやいやいや、勝手に門番ぶるなよ」と思ったことは忘れていません。よっぽどヤバイやつがラボにいる場合は別ですが、結局あなたの入学を決めるのは教授なのであまり気にしないでおきましょう。


Step4.5 大学院入試の過去問を入手する

さて、色々聞くことができたでしょうか?
ここで見学に来た時に大事なことが、大学院入試の過去問を入手することです。

はい結局どこに行っても過去問です。
 
ある程度成熟している研究室だったら、何も言わなくても研究室側からくれるかもしれませんが、希望する学部の入試試験の過去問を手に入れてください。教授にいきなり言うと、ムッとされる可能性があるので、ラボの学生か秘書さんに最初は聞いてみるのがいいと思います。


Step 4.9 ラボ見学時の質問リスト

一部、上記と重複しますが、ありがちな質問リストを下にまとめます。
研究関連
・研究室に入ったら具体的にどんなプロジェクトをやらせてもらえるか?
・コアタイムはあるか?また学生は大体どれくらいラボにいるか?
・ラボミーティングや個別ミーティングの頻度、論文紹介の有無
・博士課程学生のうち、どれくらいの学生が博士号を取得できているか?

進路関連
・研究室メンバーの就職状況(企業、アカデミアを含めて)
・卒業後留学を考えている場合、留学先のツテはあるか?

生活関連
・バイトしている人がいるか?
・TAなどの形でラボからお金がもらえる機会があるか?
・学振DCや学振PD採用者がいるか?

これ大事!!過去問をゲット!!

どの質問を教授に聞いていいか、どれをラボメンバーに聞くかは空気を読んで各自考えてください笑。後でも述べますが教授、ラボメンバーは、研究室にとって都合の悪い部分は言わないので、完全に信じてはいけません。


Step 5. 教授に再度連絡を取る

面接お疲れ様です。
家に帰ったら、教授にお礼のメールをしましょう。まあそこらんへんの礼儀は流石に説明しなくともわかると思いますが。。。

複数の研究室を見学することは普通ですので、教授に別の研究室を見学する予定があることは普通に伝えて良いと思います。複数の研究室を見学した後ここだと言うところを決めたら、再度教授に連絡してみましょう。その後どうなるかはケースバイケースなので、冒頭でも述べましたが説明が難しいです。受験要項に関して事務に連絡を取るようにして下さい。

大学院受験の申請の締め切りはちゃんと調べておいてくださいね!

博士課程から研究室を変えようか迷っている方に

博士課程まで研究を頑張ろうと修士で研究室に入ったものの、ラボが合わずやめたくなることもあります。その場合、修士で就職に切り替えるか、別の研究室に博士課程から移動することを考えると思います。この際、大学を変えるか変えないかはあなた次第です。筆者が学生の頃に、修士で来ていた学生が、同じ学内で別の分野の博士課程に移っているという例もあるので、全く悪いことではないです。受け入れ先の教授が良しと言えば良しです。
どの段階で、修士課程の教授に打ち明けるかは難しい問題ですが、信頼できる研究室の先輩や上司、はたまた学生支援センターがあれば相談してみて下さい。
勿論、修士から博士まで5年間同じ研究に労力をかけれた学生に比べ、博士で研究室を変えてしまった場合、博士期限内に論文が出にくいこともあるかもしれません。しかし結局研究室の実情は入ってみないとわからないし、研究室との相性は実際にあります。

結局入ってみないと分からない

大学生が見学に来た時に、「研究室のことをあまり悪くいうな!」と教授が大学院生に釘を刺していることもザラにあります。

筆者は見学に来た学生に「その研究内容に興味があるなら隣の研究室に行ったほうが合うかもね」と言ったところ、後で教授にブチギレられました(当たり前か)。

自分の希望に100%マッチする研究室はありえないので、どんな研究室でも多少の我慢は必要だと思います。ですが自分の限度を超えて我慢することはありません、自分のためにも別の研究室に移りましょう。

いかがでしたでしょうか?今回はかなりの長編でした。一連のプロセスが多少は見えてきたと思います。

さて次回は、打って変わって大学院の「闇」に触れて行きたいと思います。
最近建設的な記事ばかりで飽きていた方もいらっしゃると思います。皆様お待ちかねです。これも前後編ですが、前編では軽めの「修士課程」の闇を語ることにして後編では「博士課程」深すぎる闇に関して語って行きます。さながら推理小説のようになっているので、後編の後半は有料としますので、皆様ご購入のほどよろしくお願いいたします。

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現場からポス山毒太郎でした!!



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