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「指導してはだめ!」と言われたら見えたもの

「傍目八目」という言葉がある。
意味は「第三者のほうが当事者たちよりも物事をよく見ることができる」というものだ。

これと同じことがバスケットの指導現場にも言える。
そして、そのことをつい最近痛感した出来事があったので、記事にしておく。

その出来事とは「クラブの練習」だ。
私は現在、中学校でバスケを教えているが、外部コーチと協力して指導にあたっている。

外部コーチはとても素晴らしい方で、ヘッドコーチの私の考えを理解してくれて、相談にもいつも乗ってもらっている。非常に熱心な方だ。
そして、その外部コーチが中心となってクラブチームを作り、夜に体育館を借りて練習することとなった。

練習場所は、私が勤務している中学校だったので、練習を観に行ってみた。もちろん、その場で指導することはできない。私が指導してしまうと、部活と同じ扱いになってしまい、規定違反となってしまうからだ。

そんなわけで「いつも教えている選手が練習しているのをただ見るだけ」という状態になったわけだが、そのことから多くのことを学ぶことができた。

客観的に練習を観て感じたこと

①楽しそう

まず、印象に残ったことは選手が楽しそうに練習している姿だ。
外部コーチはガチガチに教える方ではないので、やることだけ伝えてあとは見守っている。

選手は「ギャー!」とか「イエーイ!」などと言いながら楽しそうに練習していた。それを観て自分の指導があれやこれやと細かく言い過ぎているのかもしれないと反省することができた。

また、バスケットはやはり「ただやるだけで楽しいもの」だということを再確認することもできた。

「楽しくやる=夢中になる」ということになってきて「ただ必死にやる」というのが子どもたちに合わなくなっているのかもしれない。

ちなみに、似たようなことを下の記事にも書いている。


②良いところがよく見える

指導してはいけない、という制約を抱えて練習を見ると、驚くほど冷静に選手の動きを見ることができた。

その結果、良いところがいつもの練習のときよりはっきりと見えるようになっていた。

いつもの練習は「この練習でうまくなってほしい!」という思いが強すぎて選手のできていない部分に注目してしまいがちになる。

しかし、指導できないとなると上のような思いはほぼ無くなる。だって、指導できないのだから。

ある意味、リラックスして穏やかな気持ちで選手の動きを見ることができる。実際、「あの選手は3Pがこれだけ入るようになったんだ」とか「コンタクトに負けないでドリブルつけているな」とか様々な良い面を見ることができた。

そして、練習が終わったあとにそれを選手にフィードバックすることができたのも良かった。

③課題も見つかる

②でも述べたが練習を冷静に見ることができるとチームや選手の課題が見つかる。

ちなみに、うちのチームは「ドリブルからのパス」と「ピボット」、「キャッチ」が最大の課題になっていると感じた。

これを踏まえて来週からの練習を組み立てることができる。
指導しないことでよりよい練習につなげることもできるのだ。

④保護者とコミュニケーションがとれた

クラブの練習は2時間だった。その間、私は練習を観ながら保護者とずっとバスケの話をしていた。

バスケが好きな子供の親も、もれなくバスケが好きでウィンターカップやBリーグの話で盛り上がることができ、とても楽しかった。
私の職場にはあまりバスケ談義をする相手がいないのもあったかもしれないが…。

また、普段はなかなか関わることのない方ともお話することができて関係を深めることができた。

バスケットのチームを運営していく上で保護者の協力は必要不可欠だし、保護者との信頼関係ができていれば、子どもへの指導も浸透しやすくなる。

そういう意味でも保護者と関わることができたのは私にとって、とても貴重なことだった。

まとめ

このように、普段指導しているとなかなか見えてこない部分が指導する立場から離れてみるとよく見える。

そして、そこから見えたものは今後の指導に役立つものばかりだ。

ちなみに、私のようにクラブの練習に行かなくても、日々の指導の様子をビデオに撮って振り返って観てみれば、同じようなことはできる。

一度、やってみたことがあるがとても良い勉強になる。もし、気が向いたらやってみてほしい。

では。

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