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COP27で決まったこと、決まらなかったことをわかりやすく解説(5分でわかる)

こんにちは。

先月11月6日からエジプトで開催されていたCOP27が11月20日に閉幕しました。

さて、皆さん、よく聞くCOPとはなんでしょうか。
Conference of the Partiesの略ですが、正式名称は以下のようになります。

国連気候変動枠組条約締約国会議

今回はその第27回目ということで、COP27と呼ばれています。

さて、今回のCOP27で決まったことと決まらなかったことをまとめていきましょう。

ただ、実は決まったことは少ないです。

<決まったこと>

1. 温暖化による発展途上国(特に脆弱な国々)の「損失と損害」に対して、資金支援ファンドを立ち上げることに合意

ファンド(基金)については途上国自体からの提案でした。提案では、より具体的なものでした。

「化石燃料の生産者であるグローバル石油会社などが、エネルギー価格の高騰で稼いだ莫大な利益に対して炭素税を支払わせる」

念頭にあるのは、米エクソンモービル、米シェブロン、英シェル、仏トタルエナジーズ4社の2022年の7-9月の合計純利益がなんと

443億ドル、日本円で6兆2000億円

になり、四半期としては過去2番目となったことです。過去1番目は今年4-6月なので、今年の4-9月の半年間で膨大な額の利益が4社にいったことになります。

それに対して、途上国が温暖化災害対応に向けて必要とする金額は2030年には2900億から5800億ドルになります。

こうしたことから、化石燃料生産企業の巨額の利益の一部を途上国の支援にまわすべきだという主張になります。

なるほどですね。

このような企業からの資金が今後ファンドに動かせるのかはわかりませんが、そのための受け皿として、今回、途上国支援資金のファンド(基金)の創出について先ずは合意されたということです。

2. パリ協定で合意した1.5℃目標達成のためには、2030年までにCO2排出量を10年比で45%減らす必要がある。各国はこの削減に向けて、2023年末までに目標を再検討して強化する

CO2排出量の削減目標ですが、こちらは合意した、というよりも、合意できなかったので先延ばしになった、といった方が正しいでしょう。

ここでおさらいです。

COPの最終ゴールは

「世界の気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃抑えること」(パリ協定で合意)

です。

これを達成するためIPCC(政府間パネル)が試算した産業革命以降のCO2排出量は2兆8000億トンになるそうです。

ところが2019年までに、既に世界は2兆4000億トンを排出してしまったそうです。

したがって残りのCO2排出枠は4000億トンしかありません。

現在、世界の年間のCO2排出量は400億トンです。

あと10年でCO2排出の限界値まで達してしまいます。
そのために計算上は2030年までに年間のCO2排出量を45%減らして、今世紀半ば2050年までにゼロにしなければならないそうです。

本来COP27ではCO2排出量を2030年までに45%削減、としたかったと思いますが、CO2排出については先進国ではなく、全体の2/3が途上国と言われています。しかも、この途上国には中国、インドといった大国が含まれています。

したがって、これらの途上国それぞれでより突っ込んだ削減目標を定めるべきなのですが、現状はそこまでいっていません。

そこで、おそらく今回のような先送り的な「2023年末までに目標を再検討」という表現になったものと思われます

<決まらなかったこと>

こちらはエジプトが公表した合意案たたき台からみていきます。
◯2030年までに世界の総電力供給の65%を再生可能エネルギーにする
◯石炭火力の段階的削減に向けた措置加速
◯非効率的な化石燃料補助金を段階的に削減
◯2030年までに年間4兆ドルの再生エネルギー投資
◯先進国は2030年までに排出量をネットマイナス

決まらなかったことの中で、特に大きかったことはCOP26で合意された

「石炭火力発電の段階的削減」

から、更につっこんだ石炭火力や化石燃料についての合意がなされるか、でしたが、結果的にはCOP26を追従するレベルとなりました。

こちらについて、議論の中では欧州諸国やインドから

「石炭などすべての化石燃料の段階的削減」

が提案されていたのですが、サウジアラビアなどの産油国の反対で盛り込まれませんでした。

温暖化や気候変動対策は、各国の利害が対立することと、米国、中国などの大国が煮え切らないことが進まない理由のようです。またウクライナ戦争でエネルギー危機が起きたことも、石炭、石油の需要が伸びて、温暖化対策を遅らせています。

それでも世界がこうした活動を続けることが大事ですし、COPのような活動を通じて、我々がやらなければいけないことが再認識されることは重要ですね。
引き続きウォッチしていきたいと思います。

それでは。

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