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臨床場面における架空事例 1

扱う事例について

このnoteは臨床場面において生じられると考えるさまざまな事例について、筆者がこれまでの経験や学びから得た情報をもとに、総合的に架空ケースとして作成する完全オリジナルの臨床ケースである。

臨床実践をはじめとする事例検討などで、参考になれば幸いである。

年齢・性別

年齢・性別
34 女性

主訴

主訴
家事や育児にやる気が起きなくなりその状況を改善したい。
問診票によると、カウンセリングルームに来る前に病院に行き、事前のベック(BDI)では強い鬱の傾向がありその改善を行いたいという。

状況

状況
25歳で結婚するもなかなか子どもができないことで悩む。30歳で第1子を出産する。自身も子どもが出来にくい体質については知っていた。
第二子を身ごもるも3ヶ月前に、流産。
これまでも流産の経験はあったが、今回の流産ではこれまでものとは全く違ったショックを受けた。
第1子は、発達障害の傾向が見られ実家(車で30分程)から母が家事や育児の手伝いをしてくれている。

旦那との関係

旦那との関係
今回、旦那からの紹介で病院に行ったが手首には圧迫痕が見られ、旦那等からのDVが疑われるがその点についてはハッキリしたことは言えない。流産の原因も旦那等からのDVが大きいと思われる。自傷についても検討する余地はある。(しかし、ここではケース理解を優先するため詳細は省く予定)
DVの経緯、旦那は元からイライラすると物にあたる傾向はあった。結婚して以降、会社から帰ると疲れていても求められていたものの、その中で体を強く雑に扱われることもあり、行為自体に抵抗感はあった。しかし子どもを授かりたいという気持ちは強いためにこれまで我慢してきた。そのような中で、日常的に小さなあざができるなどの外傷はあった。(どのような会話になるかについては、面接の中で考える)

母との関係

母との関係
実際はここが問題。孫の顔を見たいという両親からの強い意志があり、これまでお世話になってきたこともあり、なんとか親の期待に応えようと頑張ってきた。これまでもこれからも親の期待のために頑張ることにはなるであろう。しかし、それを脱さなければならないという自らの意思もあった。そのような状況で起こったのが、今回の流産であった。

母との過去

母との過去
母からはよく愛されていたと思う。しかし、母からは幼少期に心理的な虐待(かわいくない、あんたなんて産まなければ良かった、どうしてこんなこともできないの、なんでみんなと一緒のことをしてくれないの等)を行われていた。しかし、この言葉をかけてもらえなければ、結果として母からの注意が向かない。これまでも、大学を卒業後するまでは両親と同居。就職を機に実家を離れ、一時は心理的に安定する。その後に、今の旦那と出会い付き合う。そして結婚。

本当の主訴(コアペイン)

本当の主訴(コアペイン)
ここでの本当の主訴は、母との関係。流産で落としてしまったわが子の命に対する感情と自分の心がおかしくなっていることの自覚をしたいがそれができない自分がいるという、壊れていっている自分を助けたい。この状況に気づきたくても、気づきたくないという葛藤を自分の中でどう処理すればいいのかわからない。だからこのカウンセリングを通して私の心を助けてほしいというものである。


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