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自尊心について考え直す

僕は『自尊心』という言葉が嫌いだ。

しかし、巷には『自尊心を高めよう』というメッセージで溢れかえっている。

ちなみに自尊心とは『自己肯定感』ともある程度同義語らしいので、そちらの方が馴染みのある人はそちらで考えていただいても構わない。

多くの人が自尊心を高めたいと言い、そしてお節介ながらにそれいか移入してくる人間がいる。

そもそも、自尊心とは自分に対する評価のことである。

自尊心が高いとは、自分に対する評価が高いことであり、逆に自尊心が低い人というのは自分に対する評価が低い人のことである。

そして、なぜだか自分への評価が低いことはよくないことであるとという風潮ができつつある。

しかし、心理学者の中には自尊心の存在すら否定する人もいる。

例えば、トロント大学の臨床心理学者ジョーダン・ピーターソンは『自尊心など存在しない』とはっきりと述べている。

自尊心の存在の有無に関して、ここで結論づけることは控えようと思うが、
自尊心は外向性という性格的特徴に紐付きやすい。

なので、もともと自尊心が高い人もいれば、逆にもともと低い人もいる。

本来、それらは別に良いも悪いもないはずである。

しかし、自尊心が低いのはダメだと思い込んでいる人が顧客となって、自尊心を高めたい人たちのビジネスがたくさん展開されている。

人々の自尊心を高めたい人たちは自分の強みや長所に目を向けさせようとする。

そして、それらを書き出させ、成功できると信じ込ませようとする。

例えば、アファメーションや『信じることが大事』と言った考え方がそれにあたる。

しかし、僕はこの『成功』という考え方にも疑問を感じている。

社会の中で、多くの人がいう『成功』とは富や勝利、目立つことや他人から承認されることに紐づいている。

つまり、金を稼ぐことが成功であり、周りの人に勝って目立つことが成功であり、周りから認められることが成功であると勝手に思い込んでいる。

そして、そうやって金を稼いだり、周りから認められたりすることが成功だと勝手に決めつけている人ほど、その前提を疑わず、自分以外の人のこともそこに連れて行こうとする。

その過程で自尊心を高めさせようとするのだ。

しかし、ここで言われている『成功』というのは圧倒的に他人との比較を要する。

例えば、今この世界には70億人以上の人がいる。

おそらくどの分野においても自分より優れた人なんて五万といる。

例えば、自分より稼いでいる人間なんていくらでもいて、周りから慕われている人間なんて山ほどいる。

もし、成功がそんなことで図られているのだとしたら、成功しているかどうかを確認するために他人が必要になる。

つまり、他人と比較することはよくないことだなどと言われているが、実は他人との比較は多くの人にとっては必要なものなのだ。

そして、周りと比べて自分より『上』の人間を見つけては『自尊心』が下がり、またどうにかしてあげようとする。

しかし、その都度、誰かとの比較がなされ、自分が『成功しているのか』を査定しなければならない。

そして、それは決して周りとの良好な人間関係を築いたり、仕事の能力やIQを高めることには貢献してくれない。

逆に、自尊心は高すぎるとナルシシストになりやすいと言われており、自尊心が高い人ほど偏見が強く、傲慢になりやすいという研究結果もあるほどだ。

僕は自尊心など高めなくていいと思っているし、そんなものに一喜一憂する必要もないと思っている。

ただ、したい人はすれば良い。ただ、今の時点で自尊心に振り回されて辛いのならば忘れたほうが良いだろう。

自尊心について考え直す。


最後まで読んでいただきありがとうございました。


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