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ちょっぴり読書感想vol.4

会社員、夢を追う
はらだみずき

※ネタバレを含む場合があります。

今回は、はらだみずきさんの「会社員、夢を追う」になります。
この本は、古本屋でタイトルを見て手に取った本です。この本は、社会人2年目になり、このままでいいのか、本当に自分がしたいことなのか、辞めてどうするのかと漠然と絶賛悩み中の私にとってはまさに持ってこいの本でした。だから、手に取ったのかなと思います。まさに悩んでいる私向けの等身大のエピソードです。

この小説の大まかなストーリーは、出版社に受からず、紙の商社に入社した主人公の神井航樹が、仕事や恋愛や人間関係に奔走する、そんな若者を描いた小説です。

この小説は、おそらく著者はらだみずきさん自身の話をもとに描かれているため、冒頭とラストは現代の視点から描かれていて、物語全体が回想シーンのように描かれています。そのため、物語はバブル崩壊前の80年代後半の銀座が舞台となっている。この80年代後半の昭和を感じられるのも、タイムラグやジェネレーションギャップを感じることができてなんだかよかったです。

この小説は、主人公と関わる登場人物との関わりが上手く描かれている気がします。
父は昔ながらのお父さんという感じで、就職には安定を求める父親。しかし、主人公はそれを自分に苦労をさせたくないからだと理解しています。しかし、親子関係はそう上手くは行かない様子が描かれています。
高校時代から主人公と仲の良い3人の友人は、置かれている状況も、選択したことも、性格も違いますが、4人がそれぞれ影響をされあっている良いシーンが多く描かれています。
同期との関係も多く描かれており、最初は、同期に対して浅く付き合っていた主人公でしたが、本音でぶつかり合える同期がいてよかったとも言っています。
中学校から思いを寄せている女の子との関係も描かれています。

もちろん、会社の上司、他部署の人、取引先など、仕事で関わる様々な人達との関わりも描かれています。もちろん社会人、理不尽なことも多い。主人公は、「うまくやる」と付き合いながら働かなければならないのです。社会人の皆さんならよくわかりますよね、この苦悩。世の社会人は「うまくやる」ようになっていってしまうんですよね。学生のときはそんな社会人をバカにしているのに。

主人公は、「うまくやる」に蝕まれながらも、仕事で充実感も達成感も得て頑張りますが、それでも小説家の夢がちらつき、最終的に会社を辞めて、出版社に転職し、またまた奔走しているところで物語は終わります。

果たして、主人公は小説家になれたのか気になるところですが、はらだみずきさんはなることが出来ているので、おそらくできたんでしょうね。(笑)
この本を手に取った時、社会人2年目になったばかりの私は、今の会社を辞めるか悩んでいました。今もですが。(笑)
ただ、この本を読んで、どんな人でも悩んでいるし、ほとんどの人が「うまくやる」を抱えながら働いているということを再認識しました。嫌な仕事でも頑張れる理由ができたらできるし、譲れないものがあればできるし、本当にやりたいことがあれば転職したらいい、逃げたいときは逃げていい、何かやりがい、生きがいがあればいい、適当にしてても良い、人生は自分次第と思わせてくれるような小説でした。

また次回。


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