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いちばんすきな顔


関東は今日梅雨入りしたらしい。

道端の、咲きかけの紫陽花に目をひかれた。雨はあまり好きじゃないけれど、生き物が生きている感覚にどきっとする瞬間がある。

わたしは、完全なものより不完全なものの方が、美しいと思う。










雨のにおいには名前がついている。

ということを、おとなになってから知った。そのにおいの名前は「ペトリコール」というらしい。正確にいうと、雨自体のにおいの名前ではなく、雨が降る前に土から感じられるにおいのことだそう。

まだまだ世界は知らないことで溢れていると思った。言い換えれば、知らなくてもよい(知る必要のない)ことでもあるけれど。

でも、こんなに小さくて見過ごしてしまいそうなもの(瞬間)に名前がつけられていることに感動すら覚えた。

ペトリコールという言葉を知っているから何か役に立つとか、そういうわけではない。けれど、知らなかったことを知れたときの感動やちいさな興奮が、1日の中のちいさな幸せに繋がっている気がした。



わたしが一番すきな子どもの表情は、「わからない」から「わかった」に変わる、目の中に光が点る瞬間だ。

不完全なものは美しく、いとおしい。







子どもたちにも知らなかったことを知れたときの感動やちいさな興奮を伝えられたことが、とてもうれしい。

そしてそれが、子どもたちの人生の中のたった中の、ちいさな幸せに繋がっていればいいなと思う。





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