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番外編⑨:「インサイドセールス」を読んで、大切そうなことをまとめてみた

今回は、インサイドセールス(茂野明彦 著)を読んだので、自分にとって大切そうなことをメモしてみました。

この本は、2020年頃に購入して以来、何度か読み返しています。
今回、改めて読んでみて、自分にとって大切そうなことをメモしてみました。
もし、自分のまとめ(メモ)をみて「この本を読んでみようかな」と思ってくれる人がいたら嬉しいです。
※ このnoteのまとめ(メモ)には、自分の解釈が多分に含まれております。


第1章 インサイドセールスとは

インサイドセールスの3つの役割

インサイドセールスには、大きく分けて3つの役割(下記)が存在する。
「インサイドセールス」と言っても、どの役割・機能が必要であるかは企業によって異なるため、個別に検討する必要がある。

  1. SDR(Sales Development Representative)
    SDRはマーケティング活動によって獲得した見込み顧客情報を受け取り、電話やメールでアプローチすることで商談機会を獲得する。

    ここでのアプローチは、短期的な視点(テレアポ)だけではなく、見込み顧客が製品を検討できる状態(BANT情報などの必要情報が揃った時点)になったら商談設定して営業担当者に引き継ぐといった、中長期的なアプローチも指す。

    また、営業担当の新規商談数の状況などを把握して、過去に獲得した古いリードや失注リードの開拓、未商談顧客へのアウトバウンドコールなども実施する。

  2. BDR(Business Development Representative)
    BDRはターゲット企業を選定し、場合によっては同一企業内で複数の商談機会を獲得する(アカウントベースマーケティング )。

    BDRのターゲットは大手で社数が少ない、もしくは市場が限定的であるビジネスが多いため、1社ごとに営業部門と作戦を練り、場合によってはアカウントプランを立てながらアプローチの方法を探る。

    近年ではCxOレターなどの方法がよく利用される。

  3. Online Salses
    非対面で成約まで完結させるオンライン営業。
    これまで難しいとされていた大手企業への営業活動もオンライン商談で代替できるようになってきた。

インサイドセールスの3つの配置タイプ

インサイドセールスの配置には、大きく分けて3つの役割(下記)が存在する。
どの配置が適切であるかは、各企業のビジネスモデルによって異なるため、個別に検討する必要がある。

  1. 分業タイプ
    SDRとBDRだけを配置する場合は、この分業タイプとなる。

    分業タイプで見込める最大のメリットは「生産性の向上」である。
    ただし、部門間での連携コストは一定量発生する。
    大手企業向けの高額製品の場合は、分業タイプが最適である。

  2. 独立タイプ
    SDR、BDR、Online Salesをインサイドセールス部門内に配置する場合は、独立タイプとなる。独立タイプは、主に低単価でリードタイムの短い商材を扱う企業に選択されることが多い。

    独立タイプのメリットは「自部門内で完結できるため、成約までのコントロールがしやすい」という点である。ただし、自部門内の役割は増えるため、教育コスト等が増大する。
    売り切りモデルの低単価製品を中小企業に販売する場合は、独立モデルで十分対応可能である。

  3. 混合タイプ
    ターゲット企業の規模が多岐に渡る場合は、1と2の混合タイプを採用することが多い。すなわち、大企業には1、中小企業には2を選択する形となる。

    一見すると柔軟でメリットばかりのように感じる混合タイプであるが、その最大のデメリットは業務や予算策定における設計難易度が圧倒的に高くなる点である。そのため、混合タイプを志向する場合、いきなりすべてを混合タイプで始めることは本書では推奨せず、まずは一部で分業タイプをスタートし、徐々にインサイドセールス部門を増員してOnline Salesも配置していくという段階的なアプローチを推奨する。

第2章 なぜ今インサイドセールスが必要なのか

本章には、顧客側の視点、企業側の視点から、インサイドセールスが必要な理由が記載してあった。そのうち、個人的に印象に残った理由を2点メモする。

インサイドセールス が必要な理由①:顧客の購買行動の変化

現在の顧客の購買行動は「最初に検索し、情報収集を繰り返して、出会ったときには購買の57%の購買プロセスが完了している」という状況である。

これはB to Cに限った話ではなく、B to Bでも同様である。このような状況を受け、多くの企業がB to Bマーケティングに取り組み、ウェブサイトの改修やコンテンツ整備などに投資をはじめた。

しかし、それによって商談機会の獲得に至らないリード情報が増え、結局、受注コストが増加するという新たな問題が発生した。この問題の原因は、獲得したリード情報が活用されていないことが要因である。すなわち、マーケティング部門からリード情報を渡された営業はまず選別し、温度感の高そうなリードのみアプローチし、残りはそのまま放置するという現象が起こる。また、温度感の高そうなリードに対しても、営業はすぐにはアプローチしないこと(リードの対応は後回しになっている状況)がよくある。

これでは、せっかく獲得したリード情報が台無しであるため、リードへのアプローチのスペシャリストであるインサイドセールスが必要になった。

インサイドセールス が必要な理由②:サブスクリプション・モデルの台頭

売り切り型ではないサブスクモデルの台頭により、営業担当の負担が増加した。

具体的には、営業担当は既存顧客との継続交渉、契約中のライセンス増加など、既存顧客への対応の負荷が大きくなった(逆にいうと、サブスクモデルを成功させるためには、既存顧客の対応は最重要事項である)。

そのため、新規の問い合わせや新規顧客との商談設定を担うインサイドセールス(SDR、BDR)の必要性が高まった。

第3章 インサイドセールスチームの立ち上げ

インサイドセールスチームの大前提

まず大前提として、インサイドセールスチームは、カスタマーサクセス(単なる部門の名前ではない)の考え方を持つ必要がある。

特にサブスクの場合は、契約はスタートラインであり、いかにサービスを通して顧客に便益を享受してもらうかという点が本質となる。インサイドセールスがカスタマーサクセスの考え方を理解せず、「商談機会の獲得」を目的とした「単なるテレアポ」と化すことだけは、避ける必要がある。

また、この「インサイドセールスのテレアポ化」は、ザ・モデルの誤った認識による分業体制によっても発生する。営利組織において売上を上げることは至上命題ではあるが、短期的な売上を追うようなやり方だけでは限界がきて、長期的成長は見込めないということを、肝に銘じるべきである。

インサイドセールスのビジョンを決める

インサイドセールスチームの立ち上げにおいてまず必要なのは、ビジョンを決めることである。

ここでいうビジョンとは「具体的な役割と存在意義が一言で理解できる抽象的なメッセージ」である。この際、絶対にやってはいけないのが「とりあえず決める」「メンバー間で意見がまとまらないのでマネージャーが決める」ということである。

また、著者の場合、ビジョン策定の際にはあくまでもファシリテーターに徹して、メンバーひとりひとりが自分の仕事を考え、議論しながらビジョンを生み出すというプロセスを大切にする、とのことであった。

※ 上記メモ以外にも、本章には「インサイドセールス立ち上げで絶対にやってはいけないこと」、「ビズリーチでの立ち上げ事例」などの記載がありました。

第4章 インサイドセールスの採用

今回のメモには記載しませんが、「インサイドセールス(管理者/実行者)」に求められるスキル・マインドや、採用面接時の見極め方など記載がありました。興味のある方は、書籍をご参照ください。

第5章  成約率を高めるインサイドセールスのKPI

KPI設計の前にやるべき準備

インサイドセールスを機能させるために、KPI設計の前に、下記3点の準備が必要である。

  1. 有効リードの定義を決める
    例えば、基本ルールとしては、社名や連絡先が正しくない情報や、個人や学生リードは、有効リードから除外する。ターゲット外の企業リードについては、事業の初期であれば、まずは対象を広げてアプローチして、そこからの学習を期待するため、有効リードとする。
    ※ 上記以外にも、書籍にはリードの温度感・確度による棲み分け、アクションに対する反応による棲み分けをどうするか、などが書いてあった。

  2. 商談化の条件を決める
    商談化の条件は、客観的に判断できる条件を設定すべきである。
    また、事業フェーズによって商談化条件は変化するため、1度決めた条件から1年以上変更していない組織は見直す機会を作ることが推奨される。
    ※ 上記以外にも、書籍には対中小企業、対大手企業の商談化条件の例などが書いてあった。

  3. 失注の定義を決める
    当たり前であるが重要なのが、失注に対しては「その理由を明記して、次アクションやその期日を明示すること」である。そして、失注理由が解決できない限り、再度商談を行ったところで受注することはない。インサイドセールスは「失注理由が解決できていないのに、商談を再設定する」といったことはしないように留意する必要がある。
    ※ 上記以外にも、書籍には失注理由の切り口例などが書いてあった。

常にチェックすべき基本項目

上述の準備が整ったら、基本項目のチェックからはじめるとよい。
以下、SDR、BDR、マーケティングチームのチェック項目(例)を記載した。

SDR
・リード数(有効リード数、リードソース別のリード数)
・リードのフォロー完了率
・各リードからの商談獲得率

・架電数(着電数)
・メール送信数(到達数、開封数、URLのクリック数)
・架電数とメール送信数を合計したアクション数

・商談獲得件数
・商談獲得金額
・有効商談数(商談化数)

・受注件数
・受注金額

BDR
・営業と合意したターゲット企業のリスト件数
・ターゲットリストのうちのアプローチ完了率
・リード数(有効リード数、リードソース別のリード数)

・CxOレターの送付数
・架電数(着電数)
・メール送信数(到達数、開封数、URLのクリック数)

・商談獲得件数
・商談獲得金額
・有効商談数(商談化数)

・受注件数

マーケティングチーム
・ハウスリストの件数(これまでのマーケティング活動で獲得したリード数)
・ハウスリストのうち、クッキー情報を取得できているリード数

・メール送付可能な件数
・マーケティングメールの送信数
・マーケティングメールの到達数
・マーケティングメールの開封数
・マーケティングメール経由のURLクリック数
・オプトアウト(メルマガ登録解除数)と送信一回あたりの解除率

・各種マーケティング活動による獲得リード数と獲得単価
・獲得リードのうち、過去に接触のないホワイトスペースのリード数
・獲得リードのうち、ターゲットないのリード数

・マーケティング施策あたりの商談獲得単価
・マーケティング施策あたりの受注単価

インサイドセールスチーム立ち上げ初期、中期、後期のKPI

インサイドセールスチームの各ステージによって、一般的にどのようなKPIを設定設定していくべきかを紹介。

初期
初期に重視すべきKPIは「商談獲得数」である。はじめは質にこだわらずに、量に振る。活動を通じた学びによって「質」を高めていくイメージ。

また、ここで重要なのが、営業側と商談品質の合意形成をしておくこと。「量に振り切るため、質の低い商談が紛れてしまう可能性があること」を営業に事前に伝えて、営業とインサイドセールスが共に議論することで、質を高めていく。

中期
まず、ここでいう「中期」の目安は、「一定数以上の商談を、コンスタントに提供できるようになっている状態」である。中期に重視すべきKPIは「有効商談数」になる。

初期で量に振り切ったことで、下記2点が発生する。

  • サンプルデータの蓄積:
    これによって、質の高い商談条件が明確化されていく。

  • 営業の生産性低下:
    大量の商談数を供給したことにより発生する。

上記を鑑みて、中期は本当に必要なものだけを商談として営業に渡す。
そして、有効商談数へのKPI変更だけでなく、下記方法により、有効商談の定義自体も見直すと良い。

  1. 成約した企業情報を分析する(業種業態、企業規模、成長率、その他定量情報)

  2. 成約した商談情報を分析する(検討の背景、商談者の特性や役職、その他定性情報)

  3. 集めた情報を営業担当の肌感と相違ないか確認し、条件設定する

  4. 設定した条件で商談供給が可能か、インサイドセールスチーム内で確認する

  5. 4が不可の場合、営業、インサイドセールスを交えて議論する

後期
まず、ここでいう「後期」の目安は、「商談化率75%以上、チーム設立から2年後くらいの状態」である。後期に重視すべきKPIは「成約数」である。

※ 上記メモ以外にも、本章には「各KPIを設定する理由の詳細解説」、「KPI設定・運用で陥りがちな罠」、「他部門との連携方法」に関する記載がありました。

第6章以降 

今回のメモには記載しませんが、「インサイドセールスの具体的なテクニック」「チームマネジメントの方法」などの記載がありました。興味のある方は、書籍をご参照ください。

以上です。



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