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活動を始めたきっかけと代表の熱い思い【NPO法人チャイボラさんに聞いてみた②】

前回に続き、NPO法人チャイボラの大山さんとのインタビューをお届けします。
(前回はこちら↓)

ではパート2では、NPO法人チャイボラの代表である大山さんに迫っていきたいと思います!!

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~チャイボラでの活動のきっかけ~

Q.大山さんが、現在のチャイボラでの活動を始められたきっかけを教えてください。

大山さん:社会人としてのファーストキャリアは、株式会社ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)からスタートしました。わたしの父が学習塾を経営していたので、様々な子どもの姿を見ながら育ちました。

塾には、席に座っていられない子、外を走り出す子、授業を聞かずに消しゴムを食べている子などいろんな子どもがいて、わたしは子どもながらになんとなく「学びの意欲の差」を感じていました。そのときから、幼児期の家庭環境や親子の関係が、子どもの後々の人生に大きな影響を与えると感じ、就職するときに家庭幼児教育教材を取り扱っている会社を希望しました。

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Q.幼い頃からの想いが叶っての就職だったのですね。そんなベネッセを退職されたのはどうしてですか?

大山さん:ベネッセの教材を寄付したいなと思って知り合いの施設職員に連絡を取ったのですが、そのときに、「モノより人手が足りない」と言われたのがきっかけです。当時、その職員は幼児から大学生まで8人の担当をしていました。そのときちょうど入所してきた子どものひとりは、親からはネグレクトされており、トイレで用をたす習慣がないとのことでした。施設の職員達は、そのような子達を毎日安全に暮らせる環境を作ることに精一杯で、とても教材を使って何か学びの場を作るような状態では無かったのです。そのような現状を知って、いてもたってもいられなくなり、電話をした一週間後に8年間働いたベネッセに辞表を提出しました。

Q.ベネッセを退職された後は、すぐに施設で働き始めたのですか?

大山さん:社会的養護の勉強を始めて、すぐに施設で働こうと思っていました。しかし当時は資格がないと施設では働けず、30歳で保育資格を取れる夜間の専門学校に入学しました。


~児童養護施設で働くために専門学校に入学~

Q.専門学校に在籍中、現在の活動につながる出来事があったのでしょうか?

大山さん:はい、そうです。専門学校では社会的養護に関する授業があったのですが、36人いたクラスメイトの中で、児童養護施設について聞いたことがある人は4人、説明できる人は誰もいませんでした。そのような状態だったのですが、授業の担当教員が児童養護施設で働いていた人で、授業の内容もとても素晴らしく、結果としてクラス中11人が児童養護施設への就職進路を検討し始めたのです。しかしながら、半年後にはまた保育園へと進路希望を戻してしまったのです。なぜ一度児童養護施設に興味を持った人たちが進路を変えてしまうのか気になって、同様の立場の学生150人にインタビューをしたところ見えてきた一番の原因は、児童養護施設側からの情報発信が弱いことでした。

ー児童養護施設の現状と課題、任意団体を立ち上げる経緯について

施設の運営費の内訳には「広報費」という勘定科目がないですし、ボランティアや職員達が自らホームページを作っているような施設も多い状態でした。オンラインでの発信力が無いことに加えて、そもそも、人手が足りないのに採用にお金や時間がかかるという感覚が不足しているように感じました。その気づきから、もしかすると、「たとえ児童養護施設に予算が無く広報に力を入れることが難しくても、誰かが施設の情報を発信し、施設への就職に興味のある人に届けることができれば、採用数は伸ばせるのではないか」と思い、クラスメイトと任意団体を立ち上げました。

Q.当時の任意団体ではどのような活動をされたのでしょうか?

大山さん:まずは、学生に児童養護施設の子どもたちと遊ぶボランティアイベントを企画しました。色んな施設にお声がけをしていくうちに団体の認知が高まり自立援助ホームで初めて採用を兼ねた見学会を実施できることになりました。結果として、前年度の10倍に近い見学者を集めることができました。「児童養護施設であっても、採用のやり方次第で応募者は増やせる!」ということを実感しました。そしてその約1年後にNPOの法人格を取得し、クラウドファンディングで資金を集めてチャボナビを立ち上げました。

大山さんの行動力には、終始脱帽ですね・・・!

~児童養護施設で働いてみて~

Q.大山さん自身が、専門学校を卒業後に児童養護施設で働かれてみて、どのような印象ですか?

大山さん:今の施設で働き始めたときは、小学生から大学生までの児童を日中は8名、夜間は15名を一人でみていました。その多くが虐待の経験を持っている子です。いわゆるワンオペ育児に加えて、家事全般、そして職員としての会議参加などもこなしている状態で(私は正職員ではないので会議参加はありません)、子どもたちと一人ずつゆっくり話す時間を確保するのは難しいですね。

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Q.児童養護施設での仕事から離職する人は、その後はどのような進路を選ぶのでしょうか?

大山さん:別の施設に異動するというよりは、職種を変えてしまう人や、社会的養護に関する仕事そのものから離れてしまう人が多い印象ですね。これはあくまでも私の知りうる範囲の方の話ですが。

Q.大山さんが、施設職員として働くモチベーションは何ですか?

大山さん:施設に来る子どもたちは、一度親や家族と離れ離れになることを余儀なくされています。ですので、施設に来る子どもたちにとって、職員も“自分たちのそばからいなくなってしまう大人なのだ”と思わせたくないのです。施設や職員が子どもたちにとって、いつまでもある実家であり、帰れる場所であるために、わたしは一生職員を続けようと思っています。


今回も、熱い思いを持った大山さんにお話を伺うことができました!

社会的養護施設の人材確保や人材定着のために、重要な活動をされているチャイボラさんですが、その活動費は寄付や助成金で成り立っています。
寄付をしてくれる方やボランティアも随時募集されているようですので、ぜひ一度HPをチェックしてみて下さい!


インタビュー記事の続きはこちら。



NPO法人チャイボラ
公式HP / 公式Twitter(@Chaibora_npo)


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