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日本の面接の非常識【容姿、年齢、プライベート】

筆者はアメリカに移住しての就職活動経験がある。当時は日本で当たり前のように思っていた就職活動とは大きく違うことに面食らったが、なるほどと思うことも多々あったのでここでは見習いたい部分を紹介したい。

基本的なアメリカでの面接の考え方はとてもシンプルで、職務を遂行する能力を持っているかを見極めることに重点が置かれている。
アメリカに比較すると日本では応募者が会社に長く勤められるかが重要な判断基準である。そのため、熱意のある志望動機やコミュニケーション能力が高い人物を求める。

小話:アメリカの面接スタイル
基本的には面接の流れは以下のように進む。
履歴書を送付→電話での1次面接→対面での面接(1-2回)

1次面接以降の内容は大抵以下のような流れになる。
1.自己紹介(名前、学歴、職歴を簡単に言い、何ができるのかをアピール)
2.面接官による質問
3.応募者による質問

履歴書に顔写真や人種の記載は禁止

無論アメリカでは人種による差別は禁止しているが、履歴書の審査は容姿の印象が入り込まないことも意図して行われている。人間は見た目から受ける印象で、その人物の評価を全く変えてしまうことが知られているためだ。又、1次面接では顔を合わせず電話で済ますのがアメリカ流で、これも同様の理由による。

年齢差別の禁止

履歴書に年齢を記載すること、面接で年齢に関する質問は禁止されている。

話が脱線するが、典型的なアメリカ人はカムバックストーリーが好きだ。
つまり、何か失敗をした人が努力して成功するというものである。
私が聞いた話を紹介すると、学歴もなく長年配達の仕事をしていた人が一念発起して数年間ITの勉強をして遂に希望のポジションを得られたという。
事実としてアメリカでは30,40代になってから大学に入るというのは別に珍しいことではない。やり直しのチャンスには比較的寛容な文化がある。

日本では30代に入ると未経験職種への応募は難しくなると言われるが、それも雇用の流動性を著しく鈍化させている要因の一つかもしれない。年齢差別の原因は、若い方が物事の吸収が早いという先入観にあるが、実際には20-50代では学習スピードの違いは顕著ではないそうだ。
30歳で新しいことを始めたとしても定年まで35年もある。それまで生きてきた以上の時間である。40歳でも25年、50歳でも15年もあるのだ。私はそれだけ時間があれば何かに習熟するのに十分な時間だと考えるが、日本の企業はそうではないらしい。

恐らくアメリカでは禁止されている質問

プライバシーや個人の信条についての質問はアメリカでは決してされないし、もしかすると訴えられる可能性すらある。又、これらの質問は容姿から受ける印象と同様、偏見を生む可能性があると私は考えている。
以下は私が日本の就職活動で聞かれた質問である。

  • 持病の有無

  • 家族構成

  • 趣味

  • 愛読書

  • 通勤時間

  • 信条としている言葉

  • 将来どんな人間になりたいか

男女差別的な質問も無論NGである。

  • 結婚後も働き続けるか

  • 男性が多い職場で長く続けられないと思うがそれでも働きたいか

まとめ

アメリカでの面接の仕方を経験してみて、合理的でより平等な方法だと考えるようになった。というより日本のスタイルが、いつの間にか本筋から外れてしまったかのような印象を受ける。なぜなら、本来面接というのは仕事をする人を雇うために行われる、それなら仕事をする能力が高い人を選ぶというのが第一優先であるはずだ。アメリカの面接スタイルはそれを洗練し、人間に起こり得るバイアスをできるだけ取り除くようなシステムを作り上げたというだけの話である。
また、日本では面接の本来の目的から外れた質問が差別になり得るということが一般に理解されていない。そもそもの話だが、肌の色が異なる人を嫌悪することだけが差別ではないということを大多数の日本人は理解していない。日本は差別が少ないと声高らかに言う人がいるが、上記に挙げた容姿、年齢、性別、持病、信条といった分野では明らかに意識が遅れている。このことを真摯に受け止め、問題だと認識する人が増えてほしいと願う。

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