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補正下着とストレスホルモン、フタル酸エステルと男性不妊と子宮筋腫、運動と不安症状、生活習慣と呼吸器疾患、うつと農薬、感情制御と腸内細菌、地中海食とアルツハイマー、納豆菌死菌の整腸作用、週末の運動と心血管リスク|9/11(月)〜16(土)医学論文&健康関連ニュースまとめ

9/11(月)〜16(土)にラハール公式X(Twitter)で紹介した、医学論文や健康関連ニュースをまとめました。

https://twitter.com/rahall_jp




【論文紹介】補正下着とストレスホルモン


『被服の圧迫に関する研究ー整容用下着類の着用による尿中ノルエピネフリンの増加ー』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjh1946/46/2/46_2_709/_pdf

ガードルやボディスーツなどの、強い圧迫を伴う整容用下着を着用すると、ストレスを感じたときに出るホルモンであるノルエピネフリンの血中濃度が大幅に高くなっており、整容用下着はヒトにとってストレッサーになっているようだよという論文です。

ガードルとボディスーツの比較では、より被覆面積の広いボディスーツ着用後の方が、ノルエピネフリンの濃度は高くなっていました。また、整容用下着の着用を毎日続けて慣れることによるノルエピネフリン濃度の低下は観察されませんでした。

著者は「健康で快適に過ごすために着用されるべき被服類が,ストレッサーとなっていることがあるとすれば好ましい着装状態であるとはいえない」「被服は人の生から死まで不可欠に長時間着用するものであるだけに,日常生活における被服着用の快適性は,心理的にも生理的にも極めて重要」と述べています。

💭圧迫の強いインナーは血流の妨げにもなりますし、人体にとって健康的とは言えません。ゆったりと着心地の良い衣類を身につける事で余計なストレスを減らし、毎日を快適に過ごしたいものです👙🩳

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【論文紹介】フタル酸エステルと男性不妊


『Urinary bisphenol A, phthalates, and couple fecundity: the Longitudinal Investigation of Fertility and the Environment (LIFE) Study』

尿中のフタル酸エステル(食品容器や衣服、シャンプーや香料など、日用品での含有は多岐に渡る)の代謝物が、男性の不妊と関連していたよという論文です。妊娠を目指している501組のカップルが調査されました。

尿中のフタル酸エステル代謝物が多いことは、男性の生殖能力の約20%減と関連していました。
著者は「妊娠に関してフタル酸エステルが人体に与える影響は、喫煙や肥満と匹敵する」と述べています。

💭妊娠を希望するカップルの男性は、日常の中でフタル酸エステルの暴露を減らすよう気をつけると良いかもしれません。プラスチック製品や化学繊維を天然素材の物に替えたり、フタル酸エステルを含まないシャンプーや洗剤などを選んで使うのもおすすめです👔🧴

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【論文紹介】フタル酸エステルと子宮筋腫


『Mono-(2-ethyl-5-hydroxyhexyl) phthalate promotes uterine leiomyoma cell survival through tryptophan-kynurenine-AHR pathway activation』

一般的に使用されているプラスチック製品に広く含まれる化学物質のフタル酸エステル(フタル酸モノ-(2-エチル-5-ヒドロキシヘキシル)=MEHHP)が、子宮筋腫細胞の増殖を促し、発症に関与している可能性があったよという論文です。

症状のある子宮筋腫患者の女性は、MEHHPの尿中濃度が著しく高く、MEHHPが子宮筋腫と診断されるリスクと関連することが明らかになりました。
また、筋腫細胞にMEHHPを加えて培養したところ、筋腫細胞のアポトーシスが減り生存率が高く(筋腫細胞が増えやすく)なりました。

💭プラスチック製品に含まれる成分を体内に取り込むことは危険性があり、なるべく避けることが推奨されます。化粧品や洗顔料などの原材料にも気を付けていただけると良いですね。芳香剤や消臭剤に含まれることもよくあるため、注意が必要かと思います🧴

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【論文紹介】運動と不安症状


『Resistance exercise training for anxiety and worry symptoms among young adults: a randomized controlled trial』

レジスタンス運動を行うことで、若年者の不安症状が有意に軽減したよという論文です。平均年齢26歳の28人の参加者が、8週間のesistance exercise training (RET)を行う群と行わない群に半数ずつ分けられ調査されました。

💭「筋トレはメンタルに良い」ということは、ここ数年の間で一般的な認知が大きく進んできましたね。なにか不安に思うようなことがあったら、じっと動かずに思い悩むよりも、体を動かすことで、不安が解消したり軽減したりするかもしれません🏋🏽

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生活習慣と呼吸器疾患の死亡率


『生活習慣と呼吸器疾患による死亡リスクとの関係が明らかに』

✅66万4,926人の追跡調査
✅生活習慣と呼吸器疾患による死亡リスクとの関連を検討
✅運動習慣のあること、歩行速度が速いことが、死亡リスクの低さと強い関連
✅喫煙の有無に関わらず、運動は呼吸器疾患による死亡リスクを抑制する重要な因子

💭運動習慣を持つことは、呼吸器のみならず心と体すべての健康にとって、非常に重要です。日頃なかなか運動する時間が取れない、という場合は、「歩くときは早歩きにする」ことを心がけると良いかもしれませんね🚶

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【論文紹介】うつと農薬


『Occupational exposure to pesticides and symptoms of depression in agricultural workers. A systematic review.』

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S001393512300991X

農家(農業従事者)はうつリスクが高いということが知られていますが、農薬への暴露とうつ症状には明確な関連があるということを明らかにしたシステマティックレビュー論文の紹介です。

農業従事者に対する農薬の影響を、過去10年間の27の論文を元に調べました。
調査された論文のうち78%が、農薬への暴露とうつ症状の関連を示していました。
研究で高頻度で報告されていた農薬は、有機リン酸塩が17件、除草剤が12件、殺虫剤(ピレスロイド)が11件でした。

これら農薬の使用量の増加とうつ病に伴う健康リスクを考慮すると、定期的に農薬にさらされている農業従事者の精神的健康を観察し、農薬を使用する企業の監視するための、より厳格な措置の実施が重要だ、と著者は述べています。

尚、これまでの研究で、がん、先天奇形、喘息、気管支炎、糖尿病、肥満、不妊症、筋骨格系の異常、内分泌の変化、腎臓障害、遺伝毒性、睡眠障害、アルツハイマー病・パーキンソン病・筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患、行動障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症、精神神経障害など、さまざまな健康問題と農薬が強い相関関係にあることが報告されています。

💭農薬の害は、消費者だけではなく生産者にも及んでいるということは、忘れずにいたいですね。無農薬の野菜をなるべく選んで食べるようにしたり、オーガニックコットンやオーガニックリネンなどの繊維の衣服を身に着けることで、生産者の健康に少しでも貢献することは、善い行いだと思います🥬👕

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感情制御と腸内細菌


『幼児期の感情制御は腸内細菌叢と関係するー腸内細菌叢を活用した新たな発達支援を目指して』

✅緑黄色野菜の摂取頻度の低さや偏食が、感情制御の発達リスクに
✅前頭前野の感情制御能力は幼児期に顕著に発達し、成人期の心身の健康や社会経済力を予測する

✅腸内細菌叢の基盤は3〜5歳頃に出来る
✅日本の3〜4歳の幼児257人を調査
✅実行能力(感情制御と認知制御)の発達にリスクのある子供(困難群)とリスクのない子供(対照群)を比較
✅「脳―腸―腸内細菌叢相関」の研究で、感情制御と炎症と関連する菌との関わりが明らかに

💭感情の制御がなかなか上手く出来なかったり、あるいはその面に関して実年齢よりも幼く感じられるようなお子さんには、なるべく緑黄色野菜の摂取を増やせるようにしてあげられると良いのかなと思いますね🥗

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【論文紹介】地中海食とアルツハイマー


『Association of Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay and Mediterranean Diets With Alzheimer Disease Pathology』

地中海食またはMIND食とアルツハイマー型認知症の関連を調べたら、これらに近い食事を摂っていた人は脳年齢が若く、アルツハイマーの特徴が少なかったよという論文です。581人(死亡年齢:91.0±6.3歳)の脳組織が解剖され調査されました。

✅地中海食(地中海沿岸地域の食事方法):未精製の穀物・野菜・豆・ナッツ・果物・オリーブオイル・魚介類をよく摂り、乳製品や肉は少ない食事方法

✅MIND食:地中海食にDASH食(高血圧予防食)を組み合わせたもので、地中海食をベースに、赤身肉やバター及びチーズは減らし、緑色野菜・ベリー系の果物・魚介類などの摂取量を増やした食事方法

地中海食をよく食べる人は食べない人と比べて脳年齢が約18年若く、MIND食では約12年若かったことが示されました。
また、特に緑色野菜を週に7サービング(1サービングは1食分として食べる量)以上食べていた人は、それ以下だった人と比べ、脳年齢が約19年若かったとのことです。

「食事を替えるだけで脳に大きな差が生まれることを示唆した点が、この研究はエキサイティングである」と著者は述べています。

💭脳年齢を若く保つために、可能な範囲で地中海食やMIND食に取り組んでいただけると良いと思いますね🧠🥗
以下のようにざっくりまとめて覚えると、献立に取り入れやすいと思います。

✅地中海食:未精製の植物性食品全般+オリーブ油+魚介類
✅MIND食:地中海食+ベリー系果物

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納豆菌死菌の整腸作用


『納豆菌死菌の整腸作用に関する効果を確認』

https://www.teijin.co.jp/news/2023/09/13/20230913_01.pdf

✅納豆菌の死菌(死んだ菌)のプレバイオティクス(生きた有用菌のエサ)作用により乳酸菌とビフィズス菌が増加
✅整腸作用に関わる短鎖脂肪酸も増加

💭「死んだ菌は食べても意味がない」わけではなく、生きた菌のエサとして、腸内環境改善にしっかり役立ちます。納豆を含め、さまざまな菌の生菌・死菌を含む発酵食品を、バランスよく食べて行けると良いですね😋

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【論文紹介】週末の運動と心血管リスク


『Accelerometer-Derived “Weekend Warrior” Physical Activity and Incident Cardiovascular Disease』

Weekend Warrior(週末だけ運動する人 WW群)と毎日運動する人(対照群)を比較調査したら、「3メッツ以上の身体活動+週に150分以上の運動時間」であれば、WW群と対照群は心血管リスクが同等に低下していたよという論文です。

心血管イベント(心房細動・心筋梗塞・心不全・脳卒中の発症)に関して、加速度計を使って身体活動を記録された89,573人が解析されました。

💭仕事やライフスタイルに合わせて、毎日運動できる人も、週末のみの運動の人も、合計150分以上の運動が出来ると良いですね🏃🚴🐕🧘💃🪘🪴

〈3〜4メッツの運動の例〉
これより激しい運動なら🆗

✔️歩行やランニング
✔️自転車に乗る
✔️犬の散歩
✔️ピラティス、パワーヨガ、太極拳、気功
✔️ダンス
✔️打楽器の演奏
✔️簡単な庭の手入れ

参考 https://www.nibiohn.go.jp/files/2011mets.pdf

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