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ウェルダン指定を黙らせる根拠”よく焼き”でも何故『ピンク色』になる?/中心温度が高くても「おいしく食べれる」性質と温度について

よく焼き指定でも「ピンク色」はNGなのか?

さて、お客様の中には「よく焼き」でと指定する方は、たまにいらっしゃいます。よく焼きはどこまで焼くのが正しいのか?疑問に思ったことはありませんか?

肉の火入れ加減で定義はもちろん存在しています。

■レア、ミディアムレア、ミディアム、ウェルダンの4種類

それは、主にレア、ミディアムレア、ミディアム、ウェルダンの4種類に分かれます。 最も生に近いのがレアで、中間がミディアム、肉の中心まで完全に火が通った状態がウェルダンです。

しかし、火をしっかり入れても中心部はピンク色に仕上がることがあり、それらを『もっと焼いてくれ』と指摘された人は少なくないはずです。

ウェルダンは肉の中心温度が約70~80度。レアの中心温度は55~65℃以下とされています。

ただ、厚生労働省によると、生の食肉は「中心部が 75℃ で1分間以上又はこれと同等以上まで加熱」することが望ましいとされています。 これは「食材が全体的に(中心部まで)75℃となるように1分間以上キープしなければいけない」ということになっています。

牛ステーキがレアでよいとされる厚生労働省の記述は以下

Q3 本規格基準の対象となる生食用食肉(牛肉)とはどのようなものですか。 (A) 1 今回の生食用食肉(牛肉)の規格基準の対象となるのは、生食用食肉とし て販売される牛の食肉(内臓を除く。)で、いわゆるユッケ、タルタルステー キ、牛刺し及び牛タタキが含まれます。また、これらを食材として惣菜を調 理する場合には、規格基準に適合した生食用食肉(牛肉)を使用する必要が あります。また、調理後の惣菜については速やかに提供することが望ましい です。 4 2 なお、ステーキについては、これまでのところ腸管出血性大腸菌及びサル モネラ属菌を原因とする食中毒事例が報告されていないことから、本規格基 準の対象にはなりません。

Microsoft Word - Q&A(セット).docx (mhlw.go.jp)

Q.食肉による食中毒防止のための加熱条件として、中心部を 75℃で 1 分間加熱することが必要とされていますが、これと同等の加熱の条件はどのようなものがありますか?A.「75℃、1 分」と同等な加熱殺菌の条件として、「70℃、3 分」、「69℃、4 分」、
「68℃、5 分」、「67℃、8 分」、「66℃、11 分」、「65℃、15 分」が妥当と考えられます。また、調理の現場においては、中心温度計の適切な使用により、食肉の中心部の温度が目標とする温度を下回らないことを確認し、確実な加熱殺菌が行われるようにする必要があります。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000365043.pdf

基本的には、以前紹介したように豚も鶏肉もレアでも安全上は問題はありません。これは以前解説した記事を参照にしてください。

食品衛生上、牛肉と豚肉における細菌が主に表面に存在する理由は、肉の内部は生きている間は無菌状態であるためです。主な汚染源は肉の表面です。

細菌が肉の表面にしか存在しない主な理由は、生きている動物の体内環境が無菌であり、細菌は動物が屠殺され、肉が処理される過程で外部から付着するからです。

中心温度が高い場合でも「ピンク色」になってしまう理由について

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