有永 糸

ありなが いと と申します。 物書きになりたい会社員。語学留学を目指して英語勉強中。 …

有永 糸

ありなが いと と申します。 物書きになりたい会社員。語学留学を目指して英語勉強中。 書くことと読むこと、食べることが大好きです。

最近の記事

働くことを考える

気が付けば、働き始めてからもう10年が経過している。 高校生で初めてアルバイトを経験してから、受験の時期を除いてわたしはずっと働き続けてきた。 アルバイトを始めたきっかけは、自分でお小遣いを稼ぐためだった。毎週のように通っていたカラオケ代、友達とランチやカフェに行くためのお金、オシャレして出かけるための洋服代…。 学生生活を楽しく過ごすためには、自由に使えるお小遣いが必要だった。だからわたしは、放課後に友達と遊びに行くため、土日の日中をほぼ毎日、ファストフード店でレジを打っ

    • 26歳を振り返る

      先月、わたしは27歳になった。 いつの間にか、20代も後半に来てしまった。 学生時代のわたしにとって、27歳なんてものすごく大人で、誇りと自信をもってバリバリ働いている……なんてイメージしていたけど、実際はそんなに順風満帆ではなくて。 27歳のわたしは、10代のわたしがイメージしていたよりもずいぶん子どもだ。 性格も、癖も、人格も、それほど成長していない、とすら思う。 10年経ってもまだこんなに子どものままだなんて、10年前のわたしが知ったらガッカリするかもしれない。 ご

      • 身を焦がすような恋が 陽だまりの友情に変わる頃

        電車に乗って、大切な友人がわたしの町に遊びに来てくれた。 前回わたし達の地元近くで遊んだとき、「次は小樽に行くね」と言ってくれたその約束を果たしてくれた。 昔から、絶対に適当なことを言わない子だった。嘘をつかず、真面目で、賢くて、しっかりと物事を考えてから言葉を口に出す子だった。 わたし達が出会った高校時代から10年経った今も、その誠実さはずっと変わらない。 自分が乗る電車の時間を、わたしに間違えて伝えてしまった彼女。待ち合わせ場所の駅で顔を合わせた途端、謝罪の言葉が挨拶が

        • それは最高の「青春」 ~映画『カラオケ行こ!』感想~

          先月末、公開発表からずっと楽しみにしていた映画を観に行った。 歌が上手くなりたいヤクザ役を綾野剛さん、変声期に悩む合唱部の中学生役を齋藤潤くんが演じる映画、『カラオケ行こ!』だ。 綾野剛さんが大好きなわたしは、Xで映画の情報をずっと追いかけていた。 原作マンガを読んでしっかり予習してから観に行こうか迷ったが、前情報はほとんど入れずに観に行くことにした。 以前、大好きなマンガが映画化されて大喜びで観に行ったとき、わたしの1番好きなシーンが省略されていてがっかりした経験があ

        働くことを考える

          美しくて、あたたかくて、幸せだったある冬の日

          わたしは冬が好きだ。 寒いし、暖房費も高くつくし、寒さを耐えるエネルギーを得るためにボリュームのあるものを食べたくなってしまうせいで気を抜くとすぐ体重が増えてしまうし、わたしの住む地域は特に、ほぼ毎日雪が降ってJRもよく遅延する。 それでもわたしは冬が好きだ。通勤や買い物の度にどれほど大変な思いをしても、そう言い続けている。 数日前、ちらちらと優しい雪が降るだけの、穏やかで気温も比較的高めの日があった。 朝起きたときから部屋に差し込む日差しが明るく、それだけで嬉しい気持ちに

          美しくて、あたたかくて、幸せだったある冬の日

          今年のテーマ「愛」

          先日、少し遅ればせながら初詣に行ってきた。 年始は仕事で忙しかったため、初売りの人出も少し落ち着いてきた頃に帰省し、母と一緒に何年ぶりかの地元の神社へ。 昨年の感謝と今年初めのご挨拶、ささやかなお願いごとを心の中で唱えた後、楽しみにしていたおみくじを引きに行く。 もう10日も過ぎていたので巫女さんには会えなかったけど、2種類並んでいたおみくじを両方購入し、ドキドキしながら開封。 結果は「吉」と「小吉」。去年が大吉だっただけに少しだけ残念な気持ちになってしまったけど、一年の

          今年のテーマ「愛」

          年の初めに思うこと

          あけましておめでとうございます。 今年もどうぞよろしくお願いします。 2024年の幕開けは、わたしにとっては仕事の正念場だった。 みんなが休んでいる中、初売り戦争を乗り切るため駆けずり回る。販売員とはそういう仕事だ。分かっていることだし、自分で選んだ仕事なのだから、まさか今さら文句なんて言えない。 でも、年越しに家族で過ごせないのは、やっぱり寂しいと思ってしまった。だから、今年の春頃からは、帰る場所が実家になるのだと思うととても嬉しい。 大学時代から続けていた一人暮らしを

          年の初めに思うこと

          物への執着心を手放す

          ぐるりと、部屋の中を見渡してみる。 散らかっているわけではないけどなんだか雑然として見えるのは、物が多いからだ。 子どもの頃から、物に囲まれた空間で生活してきた。 母は買い物が大好きで、物を買っては溜め込むタイプだったから、その影響は決して小さくはないという気はしている。 雑誌でモデルさんが身に付けていて、友人の持ち物を見て、テレビで紹介されていて、ネットの広告をついクリックして…… 日常に潜むたくさんの誘惑にしょっちゅう負けて、わたしは「欲しい」と思った物を次々手に入れて

          物への執着心を手放す

          反抗心は悪じゃない

          わたしはわりと、「素直」と呼べる部類の人間だと自覚している。 他人の意見は尊重したいと常々思っているし、人の話はまずじっくり聞いて受け止めたいと思っている。誰かからのアドバイスは有難く受け取って自分なりにやってみようと努力するように心がけてもいる。 悪く言えば「単純バカ」とも言えるけど、素直な方が人間関係、上手くいくことも多くて。相手の言葉を素直に受け取って、それに応えようと一生懸命やっていると、そのまじめさを買って信頼してくれて、心を許してもらえたり、ポジティブな言葉を

          反抗心は悪じゃない

          思いやりの温度

          心あたたまる出来事は、たったひとつあるだけでその日一日を素敵なものに変えてしまえる。 金曜日はそんな一日だった。どんよりとした冷たい曇り空の中、優しい光を放つあたたかい光がそっと灯っているような。 その日は朝から雨が降っていて、天気も気分もパッとしない朝だった。 木曜日の楽しかった一日を過ぎた翌日だったから、尚更気分は上がらない。前日にできなかった掃除も、洗濯も、食料品の買い出しもしなければならないし、ずっと痛いままの膝をどうにかするための整骨院と、親知らずを抜くための歯

          思いやりの温度

          言葉にしなきゃ

          思っていることを上手く言葉にできなくて、代わりに涙が出てきてしまう。 「しゃべる」ことへの苦手意識は、小学生の頃からずっとあった。 学校でせっかく友達ができても、自分から話題を作ることができなくて、話しかけてもらえるのを黙って待っているような子どもだった。 そのくせ、家に帰ると突然ものすごいおしゃべりになって、母にも、弟にも、近所の友達にも、うるさいくらいよくしゃべっていた記憶がある。その日あった出来事、好きなマンガやアニメの話、突然思いついたアイデア……。話すことは山ほ

          言葉にしなきゃ

          「ムダ」って言われるのが大嫌い

          「またそうやって、お金をムダにして…」 数日前に言われて、モヤモヤしてしまった言葉。何て返したらいいのか分からなくて、考えるのも嫌で、黙ってやり過ごしてしまった。 ふと気が付いた。 「ああ、わたし、『ムダ』って言われるのが嫌いなんだな」って。 無駄遣い、無駄話、無駄足…… 「無駄」と付く言葉は非難の意図が込められて、誰かの間違いを責めたり、要領の悪さを貶すときに使われる。 「ムダなことしないの」、「そんなことしてもどうせムダでしょ」、「ムダを減らして効率的に」……。 聞き

          「ムダ」って言われるのが大嫌い

          「ふたり」って難しい。~ドラマ『いちばんすきな花』を見て~

          フジテレビドラマ『いちばんすきな花』の第一話を見て、「分かるなあ、」と思った。 「ふたり」という人数に難しさを感じている主人公達の心の痛みに、深く共感している自分がいた。 「二人組を作るのが苦手」とか、「一対一で人と向き合うのが怖い」とか、「初めましての方が上手く話せる」とか、自分が経験してきた人間関係のあれこれを思い出しては、「そうだよね」と頷きたくなる言葉ばかりだった。 こんなにわたしの「不得意」に寄り添ってくれるドラマは初めてで、一話目にしてすっかり大好きになって

          「ふたり」って難しい。~ドラマ『いちばんすきな花』を見て~

          ワクワクとソワソワとウキウキの季節

          ようやく、朝起きて窓を開けたとき部屋に流れ込む空気がひんやりと冷たく感じるようになった。 肌が確かに感じる気候の変化に、思わず笑みがこぼれる。 「わたしのいちばん好きな季節が近付いてきた。」 秋が来ると、いつもこんなふうに思って嬉しくなる。わたしは、一年の中でいちばん、冬が好きだ。冬のモコモコファッションが可愛くて好きだし、あたたかいお風呂に浸かって布団の中に潜り込むだけで幸せな気持ちになれるし、クリスマスやお正月には街が賑やかに活気づき、美味しいものがたくさん食べられる

          ワクワクとソワソワとウキウキの季節

          夢のきっかけをくれた国

          「ねえ、一緒にイギリス行かない?」 大学一年生の夏、知り合ったばかりの同級生に突然誘われた。 正直、かなり驚いたし、ためらいもした。だって、まだ二人きりで一緒に遊んだことすらない間柄だったし、わたしは海外旅行なんて行ったこともなかったから。 わたしたちがいた国際地域学科には、将来世界を舞台に活躍したいという夢を持っている人、海外留学や海外の大学院への進学を目指す人など、海外志向の学生は確かにたくさんいた。 その子とは英語の授業で教室が一緒で、確か、たまたま席が近くなって、

          夢のきっかけをくれた国

          香るしあわせ

          わたしは、紅茶味のスイーツが大好きだ。 紅茶の茶葉が生地に混ぜこまれたクッキーやパウンドケーキ、紅茶味のクリームの乗ったケーキ、紅茶味のアイスクリーム……。 もちろん、飲み物としての紅茶も好きだけれど、それがスイーツだともっとテンションが上がる。 思い返せば、わたしの紅茶愛は、託児所に預けられていた幼少期にまで遡る。 当時、託児所で毎日設けられていた「お昼寝の時間」。年少の子ども達は必ず寝なければいけなかったけれど、比較的年長の子ども達は、寝ずに先生たちの手伝いをした

          香るしあわせ