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映画『響 -HIBIKI-』感想

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過去の感想文を投稿する記事【99】

 本日、10月27日は「読書の日」という記念日なんだとか。というわけで本日は、15歳の天才女子高生小説家を主人公にした本作の感想文を投稿しようかと。

 人気漫画『響 小説家になる方法』を、欅坂46の平手友梨奈さん主演で実写化した本作ですが、公開は2018年。なので本文中の「今年公開の~」などの文言は、公開当時の話だと思って読んで頂ければ幸いです。


 いやぁ、しかし。世の中の風潮を引き合いに出した文章というのは、時が経ってから読み直すとヒヤヒヤします……本項の感想文のことです。ですが、「当時の自分がどう思っていたか」を改めて見返せるという意味では、面白かったです笑。


 よければ読んでくださいー。


至極当然


 今年で言えば『オーシャンズ8』は極端。あそこまでやったら逆に不自然過ぎて、「あんなもん逆にセクハラだよね」(←某氏談)とまでは申しませんが、飛び道具的というかイレギュラーな扱いになってしまいそう……。

 同じく今年公開の作品で言えば『インクレディブル・ファミリー』は凄く良かった。バランスが良くて、違和感がない。今まで近しいものは生まれてきましたけど、ようやく時代が変わったんじゃないかと思います。

 ……とまぁ、あくまで作り手ではなく観客でしかないからこそ、こうやって好き勝手言えるわけですが、男女のバランス・比率を考えながら制作するのって、難しいものなんでしょうかね。

 “女性の力が高まってきた”、“正しく評価されてきた” という物言いは、男社会に生きる者の言葉なのかな? ついつい使ってしまっていたかもしれません……。でも、本当にそんな時代が来たんじゃないかと素直に思わされたから、今回はそんな話を交えて語っていこうと思います。




 暴力の肯定云々の議論は他所でやっていただくとしてね、うん。言い出したら切りが無さそうですし笑。重要なのはそこじゃない。

 客観的に見る行為、言動、振る舞いだけで本作の主人公・響(平手友梨奈)は推し測れない。「そんなことやるわけない」から驚くし、「そんなことできるわけない」から憧れる。決して他人の意見には流されず、そこに信念や信条といった人格としての背骨がハッキリしている、という従来の作品群に見られる主人公っぽさが、そこかしこに表れていた印象です。それは、主人公っぽい “カッコイイ” と同義。

 そして、過去の栄光にすがっていたり、周囲を見下したり、他人のせいにしたりといった様々な “カッコイイもどき(≒かっこつけたい)” が散見していることも、響のかっこ良さがより際立っていた要因なのだと思います。



 主人公という「光」とは対照的な「影」、この物語で言えば小栗旬さん演じる山本の存在もまた重要。日の目の当たらぬ中でも孤高に戦い続けてきた男は、彼女の登場によって、より翳を落とし、彼女によって救われる……。

 苛烈な才は時として他人を振り回し、或いは殺し得るが、そういった影さえも照らす存在感、そして反発や糾弾に対する「かかってこいよ」とでも言わんばかりの姿勢、それらはやはり主人公の鑑のような姿。

 この作品では、響という少女にこれでもかってくらいに主人公気質を付加しているんだと思うんです。「主人公に主人公気質を付加する」って、そのままじゃん、というか、至極当然のことのように聞こえるかもしれないけど、だからこそ時代が変わったのだと実感しているんです。


 主人公と共に戦うバディも、親友であり宿敵でもあるライバルも女性。単に「ガールズムービー」と呼ぶのともまた違う。なんて言えば良いのか……。やっぱりどこか、まだ「男性社会」な雰囲気を感じられる中で、こんなにも真っ向勝負で面白い物語に出逢えたという新鮮さが魅力の一つなんじゃないでしょうか。こういったテイストは、なにも男の専売特許じゃないんだぞ、と思わされた感じ。

 そんな本作は、劇中で彼女が口にした “とある本への批評” がとてもしっくり来たと感じたので、そのまま引用させて頂きます。

——「ありきたりだけど切り口が新しい」——。

これに尽きるんじゃないでしょうか。だからこそ面白い。


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