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映画『霧の中のハリネズミ』感想

予告編
 ↓

(ユーリー・ノルシュテイン監督作のオムニバス上映(?)の予告編なので、本作以外の映像も混ざってます)


過去の感想文を投稿する記事【119】

 毎日投稿を続けてぼちぼち一年……。

 残りの映画感想文を全部、毎日投稿していこうってなると、あと二年くらいかかりそうなので笑。毎日投稿が「365日」に届いたら、毎日投稿すんのはやめようかなーと。

 なので「365日」までの残りの間は、無作為に映画感想文を投稿していきますー。
 よければどうぞー。


「冒険しよう、探検しよう。でもちょっと怖いな」


 僕が大学4年の時、ゼミのグループ活動の中で “動物” と “擬人化” について学んでいたことがあって、僕らのグループは絵本の視点から動物の擬人化を研究していたんです。

 確かに絵本ってコンテンツは子供向けのものがほとんどですから、大人になってからも愛読しているって人は珍しいでしょうけど、映画とか小説とか「作品」と呼ばれるものやメディアの中でも、多くの人々が最初に触れる物語の一つだと思えるから、これはこれで結構面白い。


 さて、なんで絵本の話をしたかってことなんですが。本作は切り絵を使ったストップモーションアニメ。絵本の雰囲気をこれでもかと詰め込むために、この手法を選んだのかもしれない、そう思えたからなんです。画面に浮かぶ霧も切り絵でやっていると知った時は正直驚きました。
 そういった点も含めて、この映画は「絵本」に詰まっている魅力と合致している部分が凄く多いように感じるんです。絵本って子供が読むものだから、ボリュームも少ないし、激しいドラマや緻密なストーリーとはあまり相性が良くないかもしれませんけど、その代わりに子供が楽しめるようにロジカルなアプローチよりも抽象的な手法、いわゆる「絵本のような世界観」っていうものがピッタリなんです。
 こういうの、10分弱とかの短編作品に相性抜群だと思えたんです。本作は、その見た目以上に、たった一つの世界観、或いは小さな小さなメッセージを込めて作られた絵本のような映画です。


 霧の中に「迷い込んだ」ハリネズミ……、というよりは「自ら入っていく」感じかな。知らない、わからないの中、劇中の効果的な音楽と共に煽られる恐怖とか不安。でもそれと同時に、或いはそれ以上に溢れる興味や好奇心。霧の中という不明瞭な世界を、正も負も織り交ざった不思議なドキドキを携えて手探りで探すハリネズミを観ていると、何故だか自分も一緒に探検をしているみたい。
 子供たちはこの作品で人生初めての探検に行ける、大人なら子供の時分の記憶にある探検を想い出せる、そんな素敵な作品。

 「それこの前も読んだでしょ?」って言われても、大好きな絵本なら子供は何度でも読み返したくなるもの。20年以上振りにそんな絵本に出会ったような感覚なれた映画でした。


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