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世界の美しい瞬間 13

13 つながっている

カレーライスが食べたい。
昨今、わたしはカレーライスに片想いしている。

作っても旨いが、外食も旨い。
学食のカレーライスも好きだ。
しかし、4月は学生さんでごった返していて、いまいち昼休みに行く気にならず、なんとなくスルーしている最中。

人様の作ったカレーライスも旨い。

人様の作ったカレーは、たとえ市販の全く同じルーを使っていたとしても、自分のカレーとはどこか違う。

日本生まれ日本育ち、先祖代々日本人同士であれ、人様の作ったカレーには、何か不思議と異国を感じる。スパイスのピリリの中に、自分の生まれてこの方の歴史上、知らない味が隠れている。

残業で日々繰り越している自分のカレーは週末に煮込むとして、どこか良いカレー屋はないかと思っていた。

今日、ポストを開けると、お友だちからのハガキが入っていた。

京都に来てから知り合った方の中で、途切れずにご夫婦ともよくして頂いている、木工アーティストさんが、個展を開くという案内だった。

また彼は一段自分の足で昇ったのだなぁと、嬉しく、おめでたいなと、ハガキを裏返した。

すると、直筆で書いてあったのだ。

「ぜひいらして下さい。
個展の場所のカレーは絶品!!」

なんと、一番信頼のある情報が、そこに載っていた。

しかも、彼のキャラクターを通して、なんとも濃密で旨そうなカレーが想像できるのだ。

目的は個展でありカレーだ。
楽しみ2倍のすてきな予定ができたのである。

検索は便利で速いが、なんだか薄くて脳に残らない。後日再検索してしまう。

濃い情報は、アナログな方法を介して届く。

アナログは割と遅くて不便に感じるが、それが目の前に現れたとき、

自分はこの世界と密につながっているのだ、と深く細胞で感じとることができるのだ。

さて、恋に落ちそうなカレーを見つけに、一歩でも足を伸ばそう。

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