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笑えて、エモい、コンテンツが好き。

――ずっと真面目に、シリアスに展開してった後でメッセージを伝えるよりかは、笑いを起こして心を柔らかくしてからの方が良い。アイスブレイクしてからの方が相手に興味を持てるように、フリとして笑える要素は必要だなと思うんです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「笑えて、エモい、コンテンツが好き」というテーマで話していこうと思います。


📚久しぶりに『笑の大学』を

昨夜、久しぶりに三谷幸喜脚本の2人芝居『笑の大学』を見ました。僕の大好きな舞台です。

警視庁の検閲係向坂睦男さきさかむつおと、劇団「笑の大学」の脚本家椿一つばきはじめの2人による攻防戦、舞台は昭和15年、戦争の色が濃くなっていくばかりの時代です。

日本国民全員が一丸となって戦争に挑むなか、国家側からしたら、喜劇などという娯楽にうつつを抜かす輩は面白くありません。あまりに過激な喜劇を統制するために、検閲係が存在していたのです。

そんな検閲係に新しく配属されたのが、生まれてからこのかた一度も笑ったことがないという向坂睦夫という男でした。

劇作家の椿は公演許可を出してもらおうと、向坂からの注文に答え続けます。もちろん端から受け入れているわけではありませんでした。初っ端の注文で、『ロミオとジュリエット』のパロディを、シェイクスピアはイギリス(当時の敵対国)の作家だからといい理由で日本を舞台にした物語にしろと言われたもんですからたまったものではありません。

当初は「そんなことできない!」と突っ返す椿でしたが、一晩考えてみると、日本を舞台にした方が面白くなることに気付きました。向坂の注文通りに書き変えることで、脚本がさらに面白くなったのです。

つまり、この舞台は、喜劇を中止に追い込むためにいちゃもんをつけていたはずの検閲係が、いつのまにか劇作家と一緒にさらなる喜劇をつくるために脚本直しをすることになっていたという物語が展開されるのです。

面白い要素を排除しようとすればするほど、どんどん面白くなっていく。その構図がまず面白い。笑えますよね。

しかし、ただ単純に笑えるわけではなくて、ひとつの友情物語として熱い展開が待っているし、最後の最後にはエモい伏線回収がある。それまでは笑えていたはずのセリフが、最後には泣けるセリフに変わっているんですよね。

久しぶりに『笑の大学』を観て、何度も観ているはずなのに、初めましてのような感動を覚えました。何度観ても色褪せない喜劇がそこにはありました。

改めて思ったんです。僕はこういうコンテンツが好きなんだと。つまり、笑えて、エモい、コンテンツが僕の大好物なんだと思ったんです。


📚笑えて、エモい、コンテンツ

振り返ってみれば、僕の好きな作品の多くは「笑えて、エモい」んですよね。つまり、笑えるだけじゃなくて、最後にはちゃんと心動かされる展開が待っているということ。切なくなるのか、懐かしくなるのか、涙が出るほど熱くなるのか。種類は何であれ、いわゆる「エモい」要素があると、僕はぐっと心を掴まれるのです。

ちょっと前にめちゃくちゃはまっていた芸人に、ダウ九萬がいます。8人組のコント集団なんですが、彼らがつくるネタも笑えて、エモいんです。コントだから笑えるのは当然なんですけど、ドラマチックな展開が待っているから、笑って終わりにはならない。映画を観たような感動があるんです。

「ピーク」とか「花束とハイヒール」が好きです。もしよかったら是非見てみてください。



僕は高校時代、軽音楽部だったんですが、よく披露していた曲にレキシの『狩りから稲作へ』があります。レキシは、手掛ける曲すべてが日本史をテーマにしているんです。『SHAKIBU』は紫式部の歌だし、『最後の将軍』は徳川慶喜の歌。ちょっと前にクレヨンしんちゃんの映画の主題歌になった『ギガアイシテル』という曲がありましたが、これは「めちゃくちゃ愛してる!」という意味の「ギガ」の他に、日本最古の漫画とされる「鳥獣戯画」の「ギガ」にもかかっているんです。

レキシの曲は、「いや、なんでそんなことを歌にするんだよ」とツッコミたくるものばかりなんですが、僕が特に好きな『狩りから稲作へ』は特にそう。縄文時代から弥生時代にかけての大陸から稲作が伝わった頃を舞台にした、純粋なラブソングです。

縄文土器 弥生土器 どっちがスキ?
縄文土器 弥生土器 どっちがスキ?
どっちもドキ

レキシ「狩りから稲作へ」

というサビから始まるんですが、もうこの時点でくだらなくて笑える。いや、わざわざ歌にすることか!と突っ込みたくなる。しかし、歌詞の中盤にはこんなフレーズがあります。

狩り終えてひとり帰る道の上
月の明かりも揺れてる
涙拭って狩りから稲作へ
君に未来へ繋がる稲作中心

レキシ「狩りから稲作へ」

これまで狩りをして愛する人を守ってきた男が、狩る動物も少なくなってきたし、体力的にもきつし、これからは稲作の時代だから、プライドを持っていた狩りの仕事に見切りをつけるシーンです。

切ないメロディーでこのフレーズが歌われるから、笑えていたはずなのになんだか泣けてくるんですよね。胸にエモさが満ちるのです。



📚感情揺さぶる喜劇を

エハラマサヒロの「桃太郎」とか、ドラマ「コンフィデンスマンJP」とか、芸人さんの人生とか、上げ出したきりがないんですが、とにかく、笑えて、エモいコンテンツが好きなんです。

先日、僕は中学以来の親友とまた演劇をやろうという約束をしたので、ちょっとずつ脚本の構想を練っているんですが、そこで指針となるのが、「笑えるか」と「エモいか」の2つ。

やるからにはなにかひとつでもメッセージを込めたいと思うけれど、ずっと真面目に、シリアスに展開してった後でメッセージを伝えるよりかは、笑いを起こして心を柔らかくしてからの方が良い。アイスブレイクしてからの方が相手に興味を持てるように、フリとして笑える要素は必要だなと思うんです。

というわけで、感情揺さぶる喜劇をつくれるように頑張ります。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20230829 横山黎



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