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『ゲームパビリオンjp』レポート。『Dear Flower』や『Culture House』など14タイトルを紹介

 2024年3月30日に梅田スカイビル10階アウラホールで開催された『ゲームパビリオンjp』に参加してきました。そこでいくつかゲームを試遊させていただいたのでそのプレイレポをさせて頂きます。


執筆 / 両目洞窟人間
編集 / 葛西祝

本記事は無料で最後までお読みいただけます。購入後には感謝の言葉が記されています。



『Dear Flower』シンプルなグラフィックから生まれるSFのADV


『Dear Flower』はポイントクリック型ゲームです。ゲームを始めると何の説明もなく、ロボットが出てきます。少し遠くには閉じられた扉があります。
 何をしたら…と思って、あちこちクリックすると、それに合わせてロボットが動いたり、物に反応したりします。
 物への反応はいくつかあり、スイッチを押す、座る、物を動かすというもの。
 そうこうしているうちに「何をしたらいいか」が見えたような気がして、それを試してみると扉が開きました。
 このゲームはどうやらギミックや謎を解いて進めていくようです。
 続いて現れたのは先程のロボットに代わり、女性のキャラクター。ここでもパズルを解かなきゃいけないようです。
 その次はフードを被った男性。どうやらこの三人を操作していくゲームのようです。
 パズルはすぐに「こうかな…」とわかるものから「ええーどうやるのー」と戸惑うものまで。その分、解けたときの爽快感があります。
 手描きでモノクロのデザインがとてもかわいらしくまるで絵本のような世界観ですが、プレイデモの終盤にはなにやら不穏な気配が漂う”影”が現れました。
 本編にどのように関わるのだろうと思ったところで、プレイデモは終わりました。


とにかくキュートな雰囲気と歯ごたえのある謎解きが魅力となっているゲームのようです。
リリースは2024年夏頃予定。
開発元のPopiicorn GameのXはこちら



『Postale』遠くの惑星に住む男の子と恋する乙女ゲーム


『ポステール』は近未来の遠くの惑星を舞台にした乙女ゲームです。主人公は地球から遠くの惑星にやってきて、そこで知り合った三人の男性とやりとりしたり、配達業に勤しんだりします。
 設定も結構凝っているようで、テキストを読み進めていくとその都度でTipsが出てきます。それをクリックすると世界観を補強するテキストを読むことができます。(例えばその惑星では紙が貴重だから、紙の名刺を使うことが上流階級の証であるとか)
 ふとしたことから宅配業務をすることになった主人公が街の人の依頼に応えていきます。
 「花束を贈りたい」や「弁当を届けてほしい」といった依頼。 
 マップ画面で、頼まれた場所をクリックすると、待ちわびている人影がいるので、その人に荷物を渡します。
 その都度、喜んでもらえるのでこちらも仕事に精が出るってものです。

 同時に三人の男性(和装であったり、クールなところがあったり、天然であったりする)と交流していきます。
 宅配しながら交流、宅配しながら交流。
 そうこうしているうちに、仕事の楽しさ、キャラの魅力がわかっていくのが楽しいゲームでした。
 作者はときなし。作者のXはこちら
『ポステール』は現在PliCYで体験版が公開中。



『Ichima-san』市松人形になって空き巣から逃げるステルスアクションゲーム


『Ichima-san』は和風ステルスアクションゲームです。主人公は市松人形で突如家に入ってきた人間の空き巣に見つからないように気をつけながら、家を探索するというもの。
 ホラーゲームなのかなと恐る恐るプレイすると、そうではないことがわかります。
 家中に散らばったこけしや置物と話すことができ、彼らからはアドバイスやそうでもない緊張感の無い言葉をもらうことができます。それがおかしくて妙にほっこりしてしまいます。


 雰囲気としては『塊魂』の最初の方の面に近いでしょうか。市松人形という小さきものから見た家といい、走り回ってエネルギーを集めるところといい、私は『塊魂』を思い出したりしました。
 市松人形は走り続けると体力がなくなってしまうので、たまに人形のふりをして体力を回復しなければいけませんが、それが寝転がっているように見えてとてもかわいらしいです。
 そんなふうにしながら、家を探索していましたが、空き巣に見つかってしまって私はゲームオーバーになってしまいました。
 クリアするには人形のふりを活かしたり、空き巣の目をかいくぐる行動が必要なようです。
 開発はsewohayami。Xはこちら
『Ichima-san』は2024年夏リリース予定。
 steamでは体験版が配信中です。



『メランバララン』巨大要塞を燃やして破壊するアクションゲーム


『メランバララン』は街に近づく巨大要塞「オンブ」を破壊するアクションゲームです。
 プレイヤーは一匹のサラマンダー「パットン」となって「オンブ」が街に到着する前に破壊しきることがクリア条件となります。
 サラマンダーなプレイヤーは火を吐くことができるので、とにかく「オンブ」を燃やしまくります。「オンブ」の背中には木で出来た箱や壁がいっぱいあるので、火の吐きがいがあるってものです。そして破壊するたびに「バキッ!」と文字が出るエフェクトが爽快感を後押しします。
「オンブ」には囚われている仲間もいます。仲間を救出すると能力を開放することができ、ボタン入力で「フィーバータイム」に突入して、より破壊力のある攻撃を放つことができます。
「オンブ」にはパットンよりも背の高い建築物もあるのですが、土台を破壊しきると、連動して全て壊れるようになっています。これがまた爽快感があります。
 とにかく破壊破壊破壊!と気持ちの良いアクションゲームでした。


『メランバララン』は専門学校HAL大阪の卒業制作・発表展『未来創造展2024』でHAL大賞を受賞した作品だそうです。
『メランバララン』はsteamにて2024年4月19日発売予定となっています。



『立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー』タイトル以上に変な恋愛ゲーム


『立ち絵が変なポーズの恋愛アドベンチャー』はタイトル通り、キャラクターの立ち絵がいちいち変なポーズの恋愛アドベンチャーゲームです。
 ゲームパビリオンjpでは会場専用の体験版をプレイすることができました。
 主人公が梅田スカイビルにやってきてゲームを体験するという、まさにゲームをプレイしている私と同じことをやっているはずなのに、どこかずっとおかしい。
 いや、立ち絵が変なのはずっと変なのですが(いわゆるジョジョ立ちも出てくる)、それ以上にシナリオもかなり変。
 選択肢もあるのですが、その選択肢の数がまず16個くらいあったり、それぞれ変な選択肢だったり。
 今度は5秒以内で選ばせる選択肢があったり、でもその前に「特にゲームの進行には関係ありません」って注意書きがあったりと変です。
 ゲームも国語教師がインディーゲームを開発していて何故できるかと問われたら「国語教師だからいろんな言語に堪能で、だからプログラミング言語もできたのよ~」っていやいやそんなわけないとツッコミたくなるけども、徹底してツッコミが不在のまま進んでいく感じが気持ちいいです。
 これはゲームパビリオン用の体験版でしたが、本編でもこのようなカオスさが繰り広げられているのでしょうか。
 とにかく楽しみです。
 リリース予定は2024年。
 開発はななにのん。
 作者のXはこちら
 フリームではお試しバージョンの「あるいはオリジナリティの無い卒業までの日々編」が公開されています



『TOKYO PINBALL』ドット絵の秋葉原を駆け回るピンボールゲーム


『TOKYO PINBALL』は見下ろし型のピンボールゲームです。
 ドット絵で描きこまれた秋葉原を思わせる街並みでピンボールが楽しめます。
 ボールを跳ね返していると、そのボールが喫茶店に入ったり、屋上ではバンドがライブをしていたり、背景では電車が走っていたり、ビカビカと光ったり、とにかく視覚的にとても楽しいです。
 ピンボールとしての手応えも十分で、私は「ああ…!うう…!」とボールを落とさないようにするのに精一杯。
 台揺らしなどの技もペナルティなく使えるそうなので、それを使いこなせばもっと点数を稼げるんだろうなと思ったりしました。
 作者は『カービィのピンボール』等が好きで、ボールの跳ね返りを追求していくうちにこのゲームを制作したそうです。
 開発はRikiya Minami。
 作者のXはこちら
『TOKYO PINBALL』はsteamとitch.ioで現在配信中。



『Louloudi Asteri ~Save the Solar System~』立体的に弾を避けまくるシューティングゲーム


『Louloudi Asteri』は3Dサイドビューシューティングゲーム。
 最大の特徴は奥行きや手前があるという立体的な操作が必要なこと。
 左スティックで上下左右を動かし、右スティックでローリングやサイドステップをすることが可能です。
 これを使いこなして敵弾を回避したり、もしくは敵を倒していったりします。
 目まぐるしさやその操作に戸惑ってしまいますが、初心者でも大丈夫なように自動回復の多段ライフシステムが搭載されています。なので多少被弾しても大丈夫です。
 作者のプレイを見せて頂きましたが、上達するとまるでサーカスのように敵弾を回避し、地形をくぐり抜け、強敵も見事に倒すことができるようでした。
 開発は星花。作者の方のXはこちら
 リリース予定は2024年。 



『三文字限定対戦クロスワード』三文字の単語をいかに見出すかが問われるパズルゲーム


『三文字限定対戦クロスワード』は5×5️のマスに3文字の言葉を入れていって対戦をしていくゲームです。
 クロスワードの要領で3文字の言葉を交互に入れていきます。言葉を入れるのは上下左右どの方向でも対応しています。


 面白いのはマスが全て埋まってもゲームが続くことです。埋まった中から、まだ見つけていない三文字の言葉を見つけるのが難しい。
 言葉は英語もあり。
 なので必死に頭の中の単語帳を必死にめくりながら、なにかないか、なにかないか…と探しますが、なかなか見つからない。持ち時間も減っていくので、なかなかスリリングです。
 試遊では偶然座った少年と対戦しました。最初こそスムーズに進んでいましたが、マスが全て埋まってから、必死の攻防戦が始まりました。なんとか粘ってみましたが、結果は少年の勝ち。若い子の柔軟な頭の強さを思い知りました。
 開発はMASAYOSHI TADA。作者のXはこちら
『三文字限定対戦クロスワード』はUnity roomや各種携帯アプリストアで公開中。



『Culture House』グロテスクな生物を培養するADV


『Culture House』は奇妙なゲームでした。
 ある失踪した博士が残した美術館のような家(20世紀のモダニズム建築がモチーフとのこと)を訪れた主人公はコウニアという病気に対抗すべくジェニオと呼ばれる生物を培養することになります。
 マイクロピペットを使って微生物を吸い込み、それをトマトジュースなどの液体を垂らしているシャーレに落とします。
 そうしてコウニアを培養していくのですが、その最中に家を探索しているといくつかの奇妙なことが起きています。
 物理法則を無視して、空中に漂うランプや傘や豚。それらをカメラで撮ると結晶を得ることができます。それはジェニオを育成するのに、どうやら用いるそうです。
 それから「近づかないでほしい」と語るガスマスクをつけた少女。奇妙なことが続く中、少しばかり眠ると、ジェニオが大きくなっています。それはとても奇妙でグロテスクな姿です。
 製品版では7日間のジェニオの培養と終末が繰り返されるそうです。
 静謐な空気とグロテスクな生物の培養、そして奇妙な出来事にとても興味をそそられる作品でした。
 開発はフツララ。
 作者のXはこちら
 2025年後半にWindows版をリリース予定とのことです。



『Tell me your thoughts!』青空文庫の古典文学を読んで女の子と仲良くなる読書感想ゲーム


『Tell me your thoughts!』は小説を読んで、その感想を女の子に伝えるゲームです。『走れメロス』や『檸檬』や『山月記』など青空文庫にある著作権の切れた有名小説30作品がゲームには収録されており、それを読んで、読書好きの女の子とクイズ形式の感想を伝えることでストーリーが進むという構成になっています。


 出されるクイズもちゃんと読んでないとわからないものばかり。女の子と仲良くなるためにはちゃんと本を読もう!
 でも、同時に本の感想を聞かれ、伝えることで、読書会をしているような感覚があって良いなーとも思いました。
 作者曰く「読書離れが進んでいるので、ゲームの中で本を読んでもらおう」と作ったゲームとのこと。
 開発はミナハダ。
 開発者の公式サイトはこちら
『Tell me your thoughts!』はboothで配信中です。



『ストマックシューター』飯テロに備えろ!胃袋を守るために戦うシューティングゲーム


『ストマックシューター』は胃袋を舞台にしたシューティングゲームです。唐揚げやエビフライ、アジフライが敵として襲いかかってくる中、健康な胃袋を取り戻すために戦いに挑みます。
 独特の味わいがある絵が特徴的ですが、意外と難易度は高め。容赦のない弾幕に何度か散ってしまいました。
 散りながらもたどり着いたボス戦では演出も挟み込まれます。


 この敵のフライがまた強くて…。クリアすることはできませんでしたが、歯ごたえのあるゲームでした。
 作者によると「『ゼビウス』が好きで、『ゼビウス』と弾幕シューティングの真ん中のようなゲームを作りたい」とのこと。
 開発はヘソライダー。
 作者の過去ゲームも公開されている公式サイトはこちら
 作者のXはこちら



『もうそんなのどうだっていい』神経衰弱で断捨離していくノベルゲーム


『もうそんなのどうだっていい』は神経衰弱とノベルゲームをかけ合わせたゲームです。どういうことかといいますと、彼氏を捨てた26歳の女性が物と思い出を整理すべく、部屋にあるものを捨てていきます。


 画面上には6枚の絵柄が異なるカードが現れて、一見共通項はなさそうなのですが、思い出が重なっていたらカードは一致し、手札にすることができます。
 手札にしたカードをクリックするとその思い出を見ることができるというもの。そこには26歳女性の過去が浮かび上がってきます。元彼とのゲーセンデートの思い出、唯一の友人との思い出、家に来た父親の部下との思い出……。
 思い出を振り返るとその物を捨てるかどうか問われます。
 捨てたいような捨てたくないような思い出の数々に、心が揺れ動く、そんなゲームでした。
『もうそんなのどうだっていい』は夏頃公開予定。
 開発はきつねのてぶくろ図書館。
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 作者の公式サイトはこちら



『INVERTED ANGEL』AIで物語が分岐するノベルゲーム


『INVERTED ANGEL』は家に突然やってきた”彼女”と名乗る女性の正体を推理するゲームです。ゲームはインターホン越しに行われて、何故か自分のことをよく知っている”彼女”の言動や何故か繋がっている”メッセンジャーアプリ”の言葉から”彼女”の正体を考えていきます。
 推理は選択肢ではなく、実際に文章を打ち込むというもの。その内容をAIが分析して、そのニュアンスによって物語が分岐していくというものだそうです。
 試遊ではAIによる分岐という点まではわからなかったのですが、可愛らしい雰囲気、それに反してのサスペンスフルな展開、そして自らテキストを打ち込む推理…このゲーム性に続きが気になる…となりました。
開発はSCIKA。
作者のXはこちら



『SP(L/R)ITE』過酷な選択を迫られるウォーキングシミュレーター


『SP(L/R)ITE』はウォーキングシミュレーターゲームです。製品版と試遊版ではストーリーが異なるそうなのですが、試遊版では誰もいない家で目覚めた子供が家に散らばる光る断片を探し、記憶を取り戻すというものでした。
 道中を導いてくれる声だけの神様がいるのですが、それが何故かハイテンションなギャルっぽい喋り方をしていたのがどうもおかしかったです。
 そんなハイテンションなギャルに導かれるまま、記憶を取り戻していきましたが、最終的に思い出す記憶もとても辛いもの。また最後に選ばされる選択もなかなか辛く厳しいものがありました。
 作者さんによると「このゲームのライターはそういうのが得意」とのことでした。
 製品版でも心をすり減らすような選択が待っているのではないかと思われます。
 開発はトライコア。
 開発者の公式サイトはこちら
 作者のXはこちら



両目洞窟人間
一般男性。生活をしながら趣味で短編小説を書いている。
実の弟と『はぐれラジオ純情派』というPodcastもやっている。
●Twitter:@gachahori ●公式サイト:にゃんこのいけにえ
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