令和ビデオゲーム・グラウンドゼロ

“このビデオゲーム、このクリエイターは、普通じゃない” 異色のゲームや作家と、他にな…

令和ビデオゲーム・グラウンドゼロ

“このビデオゲーム、このクリエイターは、普通じゃない” 異色のゲームや作家と、他にない切り口のテキストを紹介する独立ゲームメディア。 お問い合わせ:reibizero(アットマーク)aol.com

マガジン

  • 『月の裏側のビデオゲーム』—未知のゲームを発掘する特集

    “ビデオゲームの可能性”を追求した、あらゆるゲームを取り上げる。あなたが知らないビデオゲームの世界がここにある。

  • シーズン・テーマ

    さまざまなテーマで特集するビデオゲーム。コラムやインタビューなども行い、テーマの掘り下げを行っていく。

  • レビュー

    “何かを評するということを誰もが気軽に行うがそれはすでに暴力的でもあるのである”——ということで注目のタイトルをレビュー。本メディアならではの、独特の視点による評価を行っている。

  • 『PAUSE, RESUME』あるゲームプレイの意識の流れ

    ゲームを遊んでいるとき、プレイヤーの意識はさまざまなかたちに移り変わる。そんな意識を、若葉庭(わかば にわ)氏がそのままテキストに記述した実験的テキスト。今宵、若葉氏は何のビデオゲームに触れ、その意識を乱しているのか——

  • 両目洞窟人間ビデオゲーム “感応”小説集

    人間は体験から創作が生まれると言われる。では、体験そのものを魅力とするビデオゲームからどんな小説が生まれるのか……? インターネットの小説家、両目洞窟人間が送る、ビデオゲームに感応した実験小説集。

最近の記事

  • 固定された記事

【シーズンテーマ・日常】劇的な出来事とは別の日々とは何かを、あえてビデオゲームで体験することで見えるもの

ビデオゲームでは何らかの劇的な体験をさせるために、劇的な状況や世界観を設定していることがほとんどだが、あえて真逆の日常そのものを描いて見せるケースも多々ある。 シーズンテーマ「日常」で取り上げるタイトルでは、あえてゲームとして生きる内容また、今後はこのテーマによるコラムやインタビューも予定。 ●日常のなかの、ある瞬間ここでは、普通は鑑みられることの少ない普段の生活のなかでの行為や感情を、あえて見直してみるアプローチのビデオゲームを特集。いずれも、身に覚えがある日々の一瞬を

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    • ▼日常▼膨大な数があるシミュレーターの世界には、なんと電子レンジでマカロニが温められる2分半をただ待つシミュレーターもある。『microwave simulator』【月の裏側のビデオゲーム】

      ▲シーズンテーマ『日常』に参加しているテキストです 多種多様な要素から構成されるビデオゲームを「時間の体験」という尺度から捉えた際、ある種の極北とも呼べる作品がいくつか存在する。最低限のインタラクティブ性は担保しつつ、プレイヤーが操作可能なインタラクションを「電子レンジのボタンを押す」一点に絞った『microwave simulator』も、そんなゲームのひとつだ。 冷凍食品を温める間の2分半を眺めて過ごす行為がゲームプレイの大部分を占める本作は、長大なボリュームやリッチ

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      • ▽NEWS▽近藤銀河氏の『フェミニスト、ゲームやってる』が5月24日に発売開始。『The Last of Us Part II』などの大作から、『アンパッキング』などインディーゲームシーンのタイトルを、過去にない論点で批評する一冊

        近藤銀河さんのゲーム評論集『フェミニスト、ゲームやってる』が5月24日、晶文社から刊行されます。本書は先日、惜しまれながら閉鎖されたWebマガジン「wezzy」にて、ゲームに伏流するフェミニズム性やクィアネスをすくい上げてきた連載が書籍としてまとまったもの。 執筆 / 鳥の王国 編集・記事タイトル / 葛西祝 本書は『The Last of Us Part II』や『アサシン クリード オデッセイ』などのAAAの話題となった大作のほか、『アンパッキング』のようなインディー

        • ▽NEWS▽仏教SFアクションRPG『悟遊戯 OHENRO 88』開発開始。人類が絶滅した西暦56億年の世界で、「仏」のNFTデータを集める長い旅の背景を、クリエイターのたかくらかずき氏にちょっと聞いた。

          ピクセルアートを中核とする現代美術家・たかくらかずき氏が新作のビデオゲーム『悟遊戯 OHENRO 88』の開発を発表した。人類が死滅した地球上で、ロボットとデータだけが残るなか、かつて人間の一部が信奉していた仏教の世界を旅するアクションRPGとのことだ。 いまやピクセルアートはどこもかしこも飽きるくらいにあふれかえっているし、TVCMでも90年代のアーケードやアクションを元にした映像が腐るほどある。そんな中、たかくら氏のコマーシャルワークやファインアートの作品が異質なのはピ

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        【シーズンテーマ・日常】劇的な出来事とは別の日々とは何…

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        • 『月の裏側のビデオゲーム』—未知のゲームを発掘する特集
          9本
        • シーズン・テーマ
          2本
        • レビュー
          2本
        • 『PAUSE, RESUME』あるゲームプレイの意識の流れ
          1本
        • 両目洞窟人間ビデオゲーム “感応”小説集
          2本
        • 『過ぎ去りし日に向けた花かご』——池田伸次・自叙伝
          3本

        記事

          『MapFriend』はGoogleストリートビューのいびつな風景が持つ恐ろしさを確認させる、批評的な短編ホラーADV。【月の裏側のビデオゲーム】

          いまやGoogleマップは生活や仕事に欠かせないものだ。特にストリートビュー機能は行先を事前に確認するときに重宝している。東京のおいしいカレー屋のチェックから、ベルリンの旅行前に興味深いストリートアート美術館の場所を見ておくところまで頻繁に使っている。 ストリートビューは現実をシミュレーションしたマップとして優れているが、よく見ると違和感があるものを映し出してもいる。地球上の都市部のほとんどを、気づかないうちに路地裏まで360度カメラが撮影し、マップの情報にしている事実もそ

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          『MapFriend』はGoogleストリートビューのいびつな風景が…

          英語圏を席巻するゲームエンジン「bitsy」のシーンについて——まるで日記や詩を作るみたいに、ゲームを作れるゲームエンジン

          シーズンテーマ『日常』で特集しているテキストです bitsyとは、ミニマルなゲームエンジンです。ブラウザ上で動作し、プログラミングの知識もいらず、シンプルな操作でゲームを作れることを特徴としています。bitsyは開発の手軽さから、このエンジンのコミュニティが築かれていることも大きな特徴ですし、決められた期間にゲームを作って持ち寄るゲームジャムにおいてもしばしば利用されています。この記事では、bitsyを使って作られたゲームを「日常」というテーマからいくつか紹介します。 執

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          ▼日常▼ADHD当事者が生きる世界を、ゲームプレイすることで体験する『ADHDventure』【月の裏側のビデオゲーム】

          ▲シーズンテーマ『日常』に参加しているテキストです 発達障害の一種であるADHD(注意欠如・多動症)の当事者が生きる世界とは、果たしてどのようなものなのだろうか。『ADHDventure』は、言葉では伝えづらいそうした多様な脳とともにある人々の日常を、ミニゲーム形式のさまざまなタスクに取り組むことで体験するシミュレーションゲームだ。 本作はitch.ioの公式ページからウェブブラウザでプレイでき、クリアまでの時間は10〜15分ほど。日本語への翻訳には対応していないものの、

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          ▼日常▼ 謎の痛みの原因をいくら医者に聞いても診てもらえない……クリエイター・npckc氏の実話からゲームデザインされた難病診断ライフシム『気のせいだ』

          シーズンテーマ『日常』で特集しているテキストです 『気のせいだ(原題:you're just imagining it)』は心をかき乱される一作である。というのも、僕自身が昨年2023年に、本作のクリエイターであるnpckcさんとゲームイベントなどでお話させていただくことが多かったからだ。 npckcさんはさまざまなジェンダーアイデンティティを持つ主人公を描いた『A YEAR OF SPRINGS』や、特殊な開放で切り抜けるホラーの『a pet shop after da

          ▼日常▼ 謎の痛みの原因をいくら医者に聞いても診てもらえない……クリエイター・npckc氏の実話からゲームデザインされた難病診断ライフシム『気のせいだ』

          ▼日常▼ ベトナムの旧正月で、家族が集まる前に料理を作らなきゃ。ローファイな絵柄で描かれる、新年に向けて料理を作る『TET』【月の裏側のビデオゲーム】

          ●シーズンテーマ『日常』で特集しているタイトルです 年末年始は好きだ。長く積もった澱を洗い落とすような気持ちになるから。年が変わるめでたい日は、おそらく世界のどの国も変わらないものだろう。 ただ年が変わるその日の風景は、国ごとにまったく歴史や文化は違うので日本とは程遠いことも多い。その違いは食事によく現れている。韓国や台湾などアジア諸国は文化的に近いものがあるが、新年の食卓に並ぶ食べ物はおせちやお雑煮の並ぶ僕の国とは距離がある。 こと、ベトナムにおける旧正月に関してはさ

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          前に進むということは、それだけで希望そのもの【PAUSE, RESUME #1】

          6行ずつ文章を綴ります。 いくつかのスクリーンショットを置きます。 新たなるゲーム実況であり、 新たなるゲームレビューの形なのです。 いいえ、そんな大言壮語は、持ち合わせてはいません。 ただ、こんな感情を写したくなっただけです。 企画・執筆 / 若葉庭 編集・ヘッダーデザイン / 葛西祝 誰しも、幸せに、手が届く。必ず。必ずだ。 だから、ビデオゲームをプレイしているときには、 じぶんのことを写真に撮ってほしくなる。ほんとうはね。 彼女の祖母の誕生日だった、

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          【REVIEW】『Open Roads』とは何か。3世代に渡る女性たちのADVから映る、断絶と希望の物語

          『Open Roads』は、祖母・母・娘の断絶の希望に満ちた物語だ。ゲームは娘たちが母を拒絶すること、そしてその拒絶を赦すことを描き、その断絶を持って父の系譜、異性愛規範の系譜、ジェンダー差別の系譜を覆そうと試みる。 ハラスメントの問題を抱えたFullbrightから独立したOpen Roads Teamは、本作の中で『Gone Home』のスタイルをより発展させ、過去を探るアドベンチャーゲームの形式を、過去と現在が密接に結びつく語りへと展開している。 執筆 / 近藤銀河

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          「シーズン・テーマ」制による、ビデオゲームの特集をスタートします。

          令和ビデオゲームグラウンドゼロは今後、「シーズン・テーマ」によるゲームの特集を進めていきます。初回のテーマは「言語」、そして「日常」の2本立てで行く予定です。 執筆・ヘッダーデザイン / 葛西祝 シーズンテーマとはなにか? 「シーズン・テーマ」とは、ひとことで言ってしまえば「雑誌が行う特定テーマの特集を、半年から1年くらいかけ、長くやるようなもの」です。名前のとおり、ひとシーズンかけ、ゆっくり更新していくイメージですね。 雑誌の特集って、テーマに沿っていろんな記事を扱

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          【シーズンテーマ・言語】——架空世界の言葉の調査から、現実に存在する言葉を扱うタイトルたち

          シーズンテーマ「言語」。近年のゲームでは架空の言語を調査していくタイトルや、現実の言語にアプローチしたタイトルが数多く見当たる。 言語を題材にするゲームは決して難しいものじゃない。架空の言語解析する行為がパズル的なゲームプレイに繋がるほか、言葉がわかることで作中の世界観を知ったり、登場人物とのコミュニケーションを取ったりすることで物語の展開が広がるなど、ゲームプレイとして豊穣な要素が数多く含まれているのだ。 また、小説から詩のような、既存の言語表現を扱ったビデオゲームもい

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          『ゲームパビリオンjp』レポート。『Dear Flower』や『Culture House』など14タイトルを紹介

           2024年3月30日に梅田スカイビル10階アウラホールで開催された『ゲームパビリオンjp』に参加してきました。そこでいくつかゲームを試遊させていただいたのでそのプレイレポをさせて頂きます。 執筆 / 両目洞窟人間 編集 / 葛西祝 『Dear Flower』シンプルなグラフィックから生まれるSFのADV 『Dear Flower』はポイントクリック型ゲームです。ゲームを始めると何の説明もなく、ロボットが出てきます。少し遠くには閉じられた扉があります。  何をしたら…と

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          ▼言語▼考古学者が古代言語を解読し、過去の歴史を探るSFアドベンチャー『Heaven's Vault』【月の裏側のビデオゲーム】

          シーズンテーマ『言語』で特集中のテキストです 歴史を調べることは、同時にいまの自分の立場にあるかを知ることでもあるという。では歴史家や考古学者は、その調査のなかで自らの立ち位置をいつも思い知らされているものだろうか? 実際そうなのか定かではない。だが少なくとも、『Heaven’s Vault』の主人公アリヤ・エラスラは考古学者として、何万年も前の世界の言語をひとつ解き明かすとともに、自分の存在を確認し続けている。 『Heaven’s Vault』は何万年も過去である古代

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          ▼言語▼考古学者が古代言語を解読し、過去の歴史を探るSF…

          ▼日常▼仕事のために生き急ぐな。ゆっくりした歩みから見える景色もある。『Gradually|じょじょに』【月の裏側のビデオゲーム】

          ▼シーズンテーマ『日常』に参加しているテキストです ランゲームの形式を用いたミニマルな体験を通じて、クリアまでの間にあるプレイの潜在的な豊かさを照らす『Gradually|じょじょに』。目標へ向かって急ぐことに焦りや不安を感じる、そんな人たちに「立ち止まってもいいんだよ」と温かく寄り添う短編ゲームです。 itch.ioの公式ページより、PCのブラウザでプレイできます。クリアまでおよそ5分程度ですが、そこには豊穣な体験に満ちています。 執筆 / ドラゴンワサビポテト 編集

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          ▼日常▼仕事のために生き急ぐな。ゆっくりした歩みから見…